2022/08/26

🇩🇴紫斑病

紫色の出血斑が皮膚、粘膜に現れる疾患

紫斑(しはん)病とは、皮膚および粘膜に点状、斑(まだら)状の出血を起こす疾患。紫斑が多数現れ、主症状となるものの総称です。

じんましんなどの紅斑は押すと赤みが消えますが、紫斑は押しても色が消えないのが特徴です。紅斑は血管が拡張し、充血するために起こるもので、押すと血管がつぶれて中の血液が移動するので、一時的に赤みが消えます。それに対して、紫斑は皮膚または皮下組織への内出血で、血液は血管の外に出てしまっているので、押しても色は消えません。

紫斑病には、さまざまなものがあります。代表的なものとしては、単純性紫斑、慢性色素性紫斑、アレルギー性紫斑病(血管性紫斑病、シェンライン・ヘノッホ紫斑)、特発性血小板減少性紫斑病(突発性血小板減少性紫斑病)があります。

単純性紫斑は、しこりのない点状の出血斑で、四肢、特に下肢に好発します。20歳代の女性に多くみられ、合併症はなく、血液検査でも異常を認めません。原因は不明ですが、血管壁の弱さが関係するものと考えられ、アレルギー性紫斑病の軽症型ともいわれてます。激しいスポーツなどは控えて、なるべく安静にしていれば、紫色の出血斑は褐色、黄色に変わって消えていきます。過労や生理の時に悪化しやすい傾向と、春、秋に多い傾向があります。

慢性色素性紫斑は、点状の出血斑、丘疹、毛細血管拡張、色素沈着などが下肢に好発し、慢性に経過します。多くの場合、かゆみはありません。中年以降に多くみられますが、時に小児、若年者にもみられます。真の原因は不明ながら、血液の異常はないことが多く、微小循環障害と血管壁の弱さが関係するものと考えられます。時に、高血圧、静脈瘤(りゅう)を合併します。

アレルギー性紫斑病は、小児に多くみられ、主に四肢に大小さまざまな紫斑、丘疹、膨疹が出現してきます。重症例では、水疱(すいほう)、びらん、潰瘍(かいよう)が続発します。同時に、腹痛、嘔吐(おうと)、下痢、下血、食欲不振、関節痛などを伴います。合併症として腎(じん)炎を起こすこともあり、注意が必要です。

原因ははっきりとはわかっていませんが、小児では細菌やウイルスの感染によることが多く、特に溶連菌によることが多い傾向にあります。成人では薬剤アレルギーによることが多い傾向にあります。

特発性血小板減少性紫斑病は、血小板が著しく減少することによって起こる自己免疫疾患です。血小板が自身の肝臓や脾(ひ)臓で破壊されてしまって減少し、出血を止めにくくなります。急性型は小児に多く、慢性型は大人の女性に多くみられ、皮膚の紫斑や粘膜からの出血が全身にみられます。歯茎や鼻からの出血、血便、血尿、月経過多などの症状が起こります。体がだるい、熱っぽい、貧血などの症状も起こってきます。重症の場合は脳出血を起こすこともあります。厚生労働省が特定疾患として認定しています。

紫斑病の検査と診断と治療

血液に異常のある紫斑病では、出血しないように注意することが大切です。特に特発性血小板減少性紫斑病では、脳内での出血には注意しなければいけません。小児はアレルギー性紫斑病に伴って、腎炎を続発させることが多く、血尿や蛋白(たんぱく)尿がみられます。ぶつけた覚えがないのに、紫斑ができる場合は早めに受診します。

いずれの紫斑病でも、検査で原因を見付けることが治療につながります。

アレルギー性紫斑病の治療では、症状が紫斑のみである場合、無治療で経過観察します。機械的刺激のある部分で紫斑が悪化するため、安静を心掛ける必要はあります。また、腎炎の発症の可能性があるため、定期的な尿検査が必要。

腹痛、関節痛などで日常生活が困難となった場合、入院治療が必要となります。その上で、急性期症状の改善には、副腎(ふくじん)皮質ステロイド剤の投与が有効です。特に腹痛を伴う場合では、消化管からの吸収に期待できないため、ステロイド剤を静脈内投与することが多くなります。

特発性血小板減少性紫斑病では、急性型は自然に治癒することが多いので、ほとんどの場合は経過観察します。急性から慢性へ移行する確率は、高くありません。慢性型の場合は副腎皮質ステロイド剤を投与し、それでも血小板数が増加しなければ、血小板の破壊にかかわっている脾臓を摘出することで、良好な経過を得る可能性が高くなります。なお効果が不十分な場合は、免疫抑制剤などが使われます。

0 件のコメント:

コメントを投稿

🟪小中学生の体力調査、中学生男子はコロナ感染拡大前を上回る

 全国の小学5年生と中学2年生を対象に、50メートル走など8つの項目で体力や運動能力を調べる今年度の国の調査で、中学生の男子の合計点は新型コロナウイルスの感染拡大前を上回りました。一方で、小学生の男女は低下傾向にあり、スポーツ庁は運動の機会を増やす取り組みに力を入れていく方針で...