耳の穴の入り口から鼓膜までの外耳道の皮膚にできる湿疹の総称
外耳道湿疹(がいじどうしっしん)とは、耳の穴の入り口から鼓膜までの空洞である管腔(かんくう)、つまり外耳道の皮膚にできる湿疹の総称。
湿疹は、かゆみを伴う皮膚の炎症の総称で、浮腫(ふしゅ、むくみ)、紅斑(こうはん)、丘疹、水疱(すいほう)、膿疱(のうほう)など湿潤を主な症状とし、痂皮(かひ、かさぶた)、鱗屑(りんせつ)などもみられます。
湿疹は体のどの部位の皮膚にもできますが、耳の穴の入り口から鼓膜まで2センチから2・5センチほどの長さがあり、軽くS状に曲がっている外耳道のうちでも、外側3分の1に位置する軟骨部外耳道は皮膚の直下に軟骨があるために、外的刺激に対して弱く、浮腫や紅斑を生じやすい特徴があります。
また、外耳道には柔らかい毛があり、汗腺の一種の耳垢腺(じこうせん)と皮脂腺という二種類の腺から常に分泌物が出ていて、細菌が入り込むと付着しやすい環境になっているため、顔面や頭部の湿疹が波及して、外耳道に湿疹が起こることもあります。中耳炎などの耳垂れ(耳漏)が原因で、その細菌が侵入して、外耳道に湿疹が起こることもあります。
洗髪時や水泳時などに水が耳に入ったままになって、細菌感染を起こし、外耳道に湿疹が起こることもあります。白髪染めや整髪剤などの化学物質をつけた刺激などが原因で、外耳道に湿疹が起こることもあります。
本来、耳には自浄作用があり、耳垢腺と皮脂腺の分泌物と、は表面がはげた皮膚が混じった耳垢(みみあか)を自然と体外へ排出する働きがありますが、耳かきや綿棒、不潔な指先で必要以上に外耳道をいじることで、外側3分の1に位置する軟骨部外耳道や、内側3分の2に位置する骨部外耳道の皮膚が傷付き、入り込んだ細菌によって、湿疹が起こることもあります。
細菌感染や外傷以外にも、衣服や装身具に付属する金属や、補聴器で使うシリコンなどが接触することによるアレルギー、耳垢腺や皮脂腺の分泌異常、アトピー性皮膚炎などが原因で、外耳道に湿疹が起こることもあります。原因が特定できないケースも少なくありません。
外耳道湿疹にはさまざまな症状がありますが、耳のかゆみ、耳の詰まる感じのほか、透明な耳垂れが出ることもあります。細菌が感染すると、耳の痛みが生じ、はれてくることもあります。外傷では、炎症を伴うため、耳を押したり、引っ張ったりすると、耳の痛みを生じ、食事の際の咀嚼(そしゃく)による痛みも感じます。
耳は体の中でも傷付きやすい部位の1つですが、少々の炎症であれば自然に治ることもあります。しかし、悪化してしまう可能性があるため、外耳道の中にかゆみや違和感が生じる場合には、耳鼻咽喉(いんこう)科を早めに受診することが勧められます。
外耳道湿疹の検査と診断と治療
耳鼻咽喉科の医師による診断では、視診、問診、触診を行い、外耳道湿疹の原因を見極めます。
耳鼻咽喉科の医師による治療では、外耳道の消毒を行って清潔にした上で、抗生剤やステロイド剤(副腎〔ふくじん〕皮質ホルモン)を含んだ軟こうの塗布、抗生剤の内服を行います。
耳の痛みがある場合には、鎮痛剤を内服して痛みを抑えます。耳のかゆみがある場合には、かゆみ止めを服用してかゆみを抑えます。
先行する上気道感染があり、中耳炎の合併が疑われる場合には、中耳炎の治療を併せて行います。金属などに接触することによるアレルギーが疑われる場合には、原因物質を突き止め、それとの接触を回避します。
軽快した後は、再発防止のためにも耳かきや綿棒の使用を制限します。健康な状態であれば、耳垢は自然に排出される仕組みになっているので、耳掃除を頻繁にやる必要はなく1~2週間に1度くらいで十分です。
また、耳に極力水を入れないよう心掛けることも大切です。
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