北朝鮮では現在も、新型コロナウイルスの感染拡大を徹底的に封じ込める「ゼロコロナ」政策を続けています。しかし、1月下旬からは再び感染拡大の波が押し寄せている模様です。
中国との間の国境封鎖が長期化して経済的に疲弊する中で、ゼロコロナ政策にこだわる北朝鮮指導部と、封鎖解除を望む住民の思いには隔たりも出始めています。感染者が爆発的に増えている中国との国境を開けば、北朝鮮でも感染者が急増することは避けられず、金正恩政権のコロナ政策は正念場を迎えつつあります。
「平壌(ピョンヤン)で発熱者が急増し、24日夜から29日まで封鎖される」。中朝国境でこうした情報が駆け巡ったのは24日午前でした。中朝関係筋によると、平壌訪問中だった地方住民は24日午後10時までに平壌を離れるよう促されました。公式メディアは感染拡大を具体的に報じてはいないものの、同日付の朝鮮労働党機関紙「労働新聞」は、防疫機関や住民による感染対策の強化を呼び掛ける記事を掲載しました。
一方、北朝鮮専門英語ニュースサイト「NKニュース」は24日夜、平壌在住者の証言として「平壌市内でロックダウン(都市封鎖)のうわさが広がり、食料品などの買い占めが起きている」と伝えました。
また、NKニュースは、北朝鮮の官報を引用し、平壌市民は25日から29日まで自宅待機し、毎日複数回の検温が求められていると伝えました。
官報には、新型コロナウイルスへの言及はありません。平壌で拡大している疾患には一般的な風邪も含まれているといいます。
都市封鎖が他の地域でも実施されているのかどうかは不明で、公式メディアはこの件について報じていません。
専門家は平壌封鎖について、新型コロナウイルスの感染再拡大への対応の可能性が高いとし、北朝鮮の医療システムは世界的にも脆弱(ぜいじゃく)だと指摘しました。設備の整った病院は少なく、集中治療室(ICU)はほとんどありません。
国民約2500万人は、新型コロナのワクチン未接種とみられています。ただ、中国からワクチンがいくらか届けられた可能性があるとの報道もあります。
2023年1月25日(水)
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