煙が少ないとされる「加熱式たばこ」も通常の紙巻きたばこと同様に、吸うと新型コロナウイルスに感染したり、重症化したりしやすくなる傾向があることがわかったと、大阪公立大と大阪国際がんセンターの研究チームが発表しました。両方のたばこを吸う人は、よりリスクが高いといいます。論文がイギリスの科学誌「サイエンティフィック・リポーツ」に掲載されました。
研究チームの浅井一久准教授(呼吸器内科学)らは、インターネット調査会社が2022年2月に行った生活状況調査のデータを活用。オンラインでのアンケートに回答した3万130人のうち、2020~2021年に1度だけ感染した1097人について、喫煙と感染、重症化の関係を分析しました。
その結果、感染者の割合は、吸ったことがない人で2・34%、通常の紙巻きたばこだけ吸う人では2・58%だったのに対して、加熱式たばこだけ吸う人は4・81%、両方吸う人では19・27%に達していました。
一方、感染者のうち入院した人の割合は、吸ったことがない人は23・3%だったのに対して、通常の紙巻きたばこだけ吸う人は37・6%、加熱式たばこだけ吸う人は37・7%とほぼ同じで、両方吸う人は69・5%と最も高くなりました。
いずれの結果でも、性別や年齢による明確な差はなかったとしています。ただ、1日に吸う本数、吸い始めた時期と種類、入院期間の違いなどは調べていません。
喫煙とコロナ感染の関係を巡っては、喫煙者ではウイルスが気道の奥から体内へ侵入しやすくなるほか、ワクチン接種後にできる抗体の量も減りやすく、感染や重症化のリスクが高まることが海外の研究で判明。世界保健機関(WHO)も注意を呼び掛けています。
黒澤一・東北大教授(産業医学)は、「喫煙が新型コロナの感染や重症化のリスクを高めることは指摘されているが、加熱式たばこの影響も確かめられたことは意義深い。喫煙者や家族は注意してほしい」と話しています。
2023年2月3日(金)
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