世界保健機関(WHO)のテドロス・アダノム事務局長は6日の記者会見で、新型コロナウイルスの起源解明について、新たな感染症に備えるという科学的側面からだけでなく「700万人近くが亡くなり、大勢の人が苦しんでいることからも、道義的な責務がある」として、引き続き注力する構えを示しました。大規模な感染が最初に確認された中国に対して、すべての情報を提供するよう改めて求めました。
中国疾病予防コントロールセンターは5日、湖北省武漢市の「華南海鮮卸売市場」で採取した検体の分析結果をイギリスの科学誌「ネイチャー」に発表。タヌキなど宿主となり得る動物がいたことを確認したものの、「これらの動物が感染していたと証明できない」とし、新型コロナの起源は特定できなかったとしました。
だが、WHOで新型コロナの技術責任者を務めるマリア・バンケルコフ氏は、同市場で取り扱われていた動物の入手経路や、市場で働いていた人たちの血液検査データなどはまだ得られていないと指摘し、WHOが中国側に提案してきた調査も「これまでに実際に行われたかどうかすら不明だ」と述べ、中国の対応への不満を示しました。
バンケルコフ氏は、確度は不十分ながら武漢市の研究所からウイルスが流出した可能性が高いとの報告をまとめたアメリカのエネルギー省に対しても、結論に至ったデータの開示も要求したと言及。あらゆる可能性を検討するため、WHOの科学諮問団との情報共有が必要だと訴えました。
2023年4月7日(金)
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