アメリカなどの国際研究チームは5日、乳幼児に肺炎などを引き起こすRSウイルス感染症に対するワクチンの臨床試験(治験)の結果を発表しました。アメリカのファイザー社が開発中のワクチンで、接種した妊婦から生まれた赤ちゃんでは、生後3カ月以内で57・1%の発症予防効果が確認されました。アメリカの医学誌「ニュー・イングランド・ジャーナル・オブ・メディシン」に掲載されました。
ワクチンは、妊婦に接種することで赤ちゃんが抗体を持つことを狙ったもの。治験では、日本やアメリカなど18カ国の妊娠24~36週の妊婦7358人をワクチンを接種したグループと、有効成分が含まれていない偽薬(プラセボ)を使ったグループとに分け、生まれてきた赤ちゃんの予防効果をみました。その結果、発症を予防する効果は生後3カ月以内で57・1%、同半年以内で51・3%。重症を予防する効果は生後3カ月以内で81・8%、同半年以内で69・4%でした。
倦怠(けんたい)感や頭痛などの副反応がみられたものの、ファイザー社は「安全性に問題はない」としています。
別の論文では、60歳以上の高齢者への効果も発表。RSウイルスに関連した呼吸器疾患への発症予防効果は62・1%だったといいます。
RSウイルスワクチンはファイザー社のほか、イギリスのグラクソ・スミスクライン社やアメリカのモデルナ社なども開発を進めています。承認されれば世界で初めてのRSウイルスワクチンとなります。
国際研究チームは、「妊婦がワクチンを接種することで、生まれてくる子供が重い症状になるのを防ぐ効果が認められ、安全面での懸念は確認されなかった」としています。
2023年4月7日(金)
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