新型コロナウイルスに感染した千葉県船橋市の23歳の男性が死亡したのは救急搬送を適切に行わなかったためだとして、男性の両親が国と県、市の3者に合わせて1億円余りの賠償を求める訴えを起こしました。
両親の弁護士によりますと、新型コロナ患者の救急搬送を巡って国を訴えるのは初めてです。
訴えを起こしたのは、緊急事態宣言中の2021年8月に新型コロナウイルスに感染して死亡した千葉県船橋市の当時23歳の男性の両親で、5日に東京都内で会見を開きました。
訴状によりますと、基礎疾患があった男性は8月23日に感染し、保健所の指示で一度は宿泊療養施設のホテルに入ったものの、男性から十分な治療を受けられないと告げられた両親が29日に自宅へ連れ戻しました。
自宅でも発熱などの症状悪化を訴えたため、両親が繰り返し救急搬送を要請しましたが、受け入れ先の病院が決まらないなどとして搬送を断られました。
30日の5回目の要請で男性は自宅から救急車に乗せられましたが、約1時間半にわたって搬送先が決まらず、そのまま車内で心肺停止となり、病院に搬送後に肺炎で死亡しました。
両親は、保健所を運営する船橋市と、搬送先の病院を調整していた千葉県に加え、国に対しても「都道府県に必要な指示を行う権限があった」などとして責任があると主張していて、合わせて約1億300万円の賠償を求めています。
弁護士によりますと、新型コロナ患者の救急搬送を巡って国を訴えるのは初めてです。
会見で男性の父親は、「世間ではコロナは終わったような印象ですが、自分たちは今からが闘いです。夢も希望もある青年が、何の治療もしてもらえず死ぬ社会は終わりにしてください」と涙ながらに語りました。
訴えについて、千葉県と船橋市はそれぞれ、「訴状が届いていないのでコメントは差し控える」としています。
2023年12月5日(火)
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