富山大と富山県衛生研究所などの研究チームは16日、新型コロナウイルス感染症から回復した患者の血液を基に作った「スーパー中和抗体」を、オミクロン型に対しても感染予防効果を持つよう改良することに成功したと発表しました。分子シミュレーション解析の技術を活用したもので、この技術を今後の広範な変異型にも応用することを目指します。
スーパー中和抗体は、ウイルスの特定の部分に結合して人などの細胞への侵入を防ぎ、感染を予防します。これまでの研究では、オミクロン型に対しては感染予防効果が落ちることが報告されていました。同チームは今回、分子シミュレーション解析を用いて抗体内のウイルスとの結合箇所を変異させ、オミクロン型にも効果を持つよう改良しました。
今回の手法を使えば抗体医薬品の改良設計が1カ月程度で可能になるといい、今後の広範な変異型にも迅速に対応できるといいます。
成果は16日付けの国際学術雑誌に掲載されました。同チームは、「今後同様の事例を積み重ねることで分子シミュレーション解析での予測精度の向上が見込まれ、ウイルスの非常に素早い変異速度を超えて、対抗できる中和抗体開発が進むことが期待される」としています。
2024年1月17日(水)
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