地球温暖化による気温上昇が続き、2040年に世界の平均気温が産業革命前より2度上昇すると仮定すると、夏場の熱中症による救急搬送者数が東京、大阪、愛知の3都府県で2010年代と比べて倍増するとの試算を、名古屋工業大(名古屋市昭和区)などの研究チームが18日までに発表しました。救急医療の逼迫(ひっぱく)が懸念されるとしています。
研究成果は15日付のオランダの科学誌に掲載されました。
研究チームによると、日本の平均気温は過去100年間で約1・2度上昇。2021年の国内の熱中症による搬送者数は5~9月で4万7877人で、うち56・3%が重症化しやすい高齢者でした。さらに高齢化が進むことで、搬送者数の増加が懸念されています。
研究チームは、国連の気候変動に関する政府間パネル(IPCC)による最も気温上昇が高いシナリオに基づき、3都府県の気温を算出し、熱中症の搬送者数を予測しました。2040年には東京都などの平均気温が約1・6度上昇し、7~8月の1日当たりの平均搬送者数は東京都が132・9人、大阪府が105・3人、愛知県が105・4人で、2013~2019年の平均の1・8~2倍となりました。
熱中症は、高温多湿な環境に長時間いることで体内に熱がこもって発症します。高齢者は発汗などの体温調節機能が若年者に比べ低下しているため、重症化率が高くなります。2040年の平均気温が現在と同等だとしても高齢化が進むため、熱中症搬送者は1・2倍程度増えるといいます。
2024年4月21日(日)
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