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2022/07/30

🇲🇴うっ血

うっ血とは、血液を心臓に戻す道筋である静脈や、毛細血管内の血液の流れが悪くなって、臓器や組織に血液が滞って増加している状態です。うっ血が持続すると、局所の細胞は低酸素症のため変性、委縮、壊死(えし)を起こします。

うっ血性心不全や心臓弁膜症、急性心筋梗塞(こうそく)などの心臓に起因する全身性うっ血、静脈血栓症のように静脈が血の固まりである血栓や炎症などにより閉塞、もしくは狭窄する局所性うっ血などがあります。

🇭🇰うっ血乳頭

視神経の乳頭にむくみが起きて、はれ上がった状態

うっ血乳頭(にゅうとう)とは、眼底にある視神経の乳頭にむくみが起きて、大きくはれ上がり、充血した状態。

眼球の奥にある中心窩(か)から少し鼻のほうに寄ったところにあって、眼球壁を貫く視神経乳頭を中心として、視神経は一本のコードのように伸びて、脳とつながっています。視神経乳頭は、網膜の視神経が束ねられて眼球から脳側に出る部分に相当します。

うっ血乳頭は、脳腫瘍(しゅよう)のほか、水頭症、髄膜(ずいまく)炎、硬膜下出血、くも膜下出血、脳膿瘍(のうよう)などで、頭蓋(とうがい)の内圧が上昇したり、眼内圧が異常に低下した時に起こります。

初期には無症状なこともありますが、一般症状としては、頭痛、吐き気、嘔吐(おうと)などのほか、時折、視野が暗くなる発作があります。進行すると、視力の低下、視野狭窄(きょうさく)がみられ、視神経は委縮してきます。

この疾患を起こす原因は、脳腫瘍などいずれも命にかかわる疾患ですので、急いで医師の治療を受けることが必要です。

うっ血乳頭の検査と診断と治療

無症状の脳腫瘍もあるので、うっ血乳頭がある場合、医師による精密検査が必要です。

眼科的な検査のみでなく、脳神経外科的な検査が行われます。眼科的には蛍光眼底検査で視神経乳頭の状態を調べ、脳神経外科的には脳神経症状、頭部X線検査、CT(コンピュータ断層撮影)検査、MRI(磁気共鳴映像法)検査、脳血管撮影などによって調べ、診断が行われます。

うっ血乳頭自体の治療は行われませんが、脳神経外科との連携により探求された原因疾患の治療を行います。頭蓋の内圧が高まって視神経を圧迫し、乳頭をはれ上がらせる原因疾患が取り除かれずに、うっ血乳頭が持続すると、視神経委縮を起こして失明に至ることもあります。

🇹🇼うっ滞性皮膚炎

下肢の血液循環が滞るために生じる慢性の皮膚疾患

うっ滞性皮膚炎とは、下肢の静脈の循環不全によって生じる慢性の皮膚疾患。うっ滞とは、血液などが正常に循環したり流れたりすることができずに、静脈内などに滞留した状態を指します。

特に中年以降の女性に多くみられ、静脈瘤(りゅう)や血栓性静脈炎など下肢の静脈の血行障害によって、膝(ひざ)下3分の1の部位に発症します。動静脈ろう、先天性静脈拡張症などの先天性疾患でも起こりますが、この場合は年少時より生じます。

遺伝的に静脈の弁が弱い体質に加えて、長期間の立ち仕事、肥満、加齢、出産などが誘因となって、膝下3分の1の部位に静脈瘤などができ、血液のうっ滞が生じます。この血液のうっ滞が慢性化すると、血管から皮膚への酸素や栄養の供給が不足し、皮膚炎や色素沈着などの症状が出ると考えられています。

長い時間立っていた日やよく歩いた日の夜に膝下がむくみ、翌朝には軽くなるという症状がまず現れます。むくみを繰り返していると、その部位の皮膚表面に光沢を帯びた湿疹(しっしん)ができ、内出血のために褐色の色素沈着が現れます。さらに変化が進むと、表面にかさぶたがついた楕円(だえん)形のかゆみのある紅斑(こうはん)がいくつも現れ、次第に大きくなってきます。

また、皮膚の細胞へ十分な血液循環が保たれなくなるため、皮膚が委縮したり、皮膚表面に軽いダメージを受けただけで容易に皮膚潰瘍(かいよう)を生じます。これらの皮膚炎の症状は、細菌感染が加わったり,外用薬や消毒薬が原因で接触皮膚炎を起こすと悪化することもあります。

膝下3分の1の部位に静脈瘤ができて治りにくい皮膚炎があれば、皮膚科、ないし皮膚泌尿器科を受診する必要があります。足首から先のむくみなどもがみられる場合には心臓病や腎臓(じんぞう)病の可能性もあるため、ドプラー血流計や超音波診断装置のある皮膚科、皮膚泌尿器科、あるいは血管外科を受診し、血流不全についてさらに詳しく調べる検査を受ける必要があります。

うっ滞性皮膚炎の検査と診断と治療

皮膚科、皮膚泌尿器科の医師による診断は、うっ滞性皮膚炎によって出る臨床症状によって行います。皮膚炎が急に悪化する場合には、外用薬や消毒薬による接触皮膚炎の可能性があるので、パッチテストを行います。

治療の基本は、うっ滞性皮膚炎の皮膚が直接刺激や外用薬の影響を比較的受けやすいため、安静を保ち静脈の血行障害を改善させることです。長時間の立ち仕事や歩行は避け、休憩時間や就寝時は下肢を高く挙げて休むようにします。弾性ストッキングや弾性包帯を用いるのも効果的で、弾性ストッキングなどは静脈を圧迫することにより、静脈が伸びたり傷付いたりするのを防ぎます。

皮膚炎に対してはステロイド外用薬を塗ります。抗アレルギー薬なども、かゆみに応じて使用します。

症状が強く大きな静脈瘤があるもの、うっ血が著しくて下肢を高く挙げておいても改善しないもの、慢性の静脈血行不全があるもの、血栓性静脈炎を繰り返すものなどに対しては、表在静脈の皮下抜去(ストリッピング)、流入静脈の高位結紮(けっさつ)、局所の静脈瘤の切除、硬化薬注入、レーザー療法などによる治療などが行われます。

しかしながら、手術や硬化薬注入によって、静脈瘤を切除したりすべて排除しても、この疾患は治りません。治療は主に症状を軽減して外観を改善し、合併症を防ぐために行います。

🇹🇳うつ病

次のような質問に「ハイ」、「イイエ」で答えてみてください。

1)最近、寝付きが悪い。夜明けに目が覚めてしまい、眠れない。

2)午前中が特に気分が沈んで、何もする気がしない。

   ……朝刊に目を通すのも、おっくうだ。

3)食欲がない。食べ物が砂を噛むようで、美味しく感じない。

4)体重が減ってきた。

5)いつも疲れた感じで、ぐったりしている。

6)異性に魅力(性欲)を感じない。

   ……恋愛とかセックスなど煩わしくて、やる気が起きない。

7)何をするのも面倒くさいのに、じっとしていると不安でイライラする。

8)このまま消えてしまえればどんなに楽だろう、と思う。

 質問に3つ以上も「ハイ」があるようでしたら、あなたはうつ病の候補者かもしれません。

 ただ、うつ病の自己診断をしてもらおうというので、このような質問を並べたわけではありません。うつ病というのがどういう病気なのかをわかっていただくために、その特徴的な病状を列挙したのです。

●「うつ病」は決して「怠け病」ではない

 人間は本来、誰しも「面白いことがあればやってみたい」「お金を稼いでいい思いをしたい」「きれいなものを見たい」「美味しいものを食べたい」といった「欲」や「好奇心」をもっています。これが人間の生きる意欲・バイタリティというものです。

 うつ病は、このバイタリティの電圧が下がってしまい、「見たい、やりたい、稼ぎたい」というのがおっくうで、どうでもよくなってしまう病気なのです。

なぜそんなことになるのかは、十分にわかっていませんが、脳内の神経伝達の一部が、一時的に悪くなって、情報(刺激)の伝わり方が部分的に悪くなっているのではないか、と考えられています。

 ですから、うつ病の人がやる気をなくしてぐったりしているのは、決して怠けているわけではないのです。脳、あるいは神経という臓器が一時的に不調になっている「体」の病と考えた方が分かりやすいかもしれません。

 よく、うつ病の人に「頑張れ! 立ち上がれ!」といった励ましをするのは逆効果だというのは、そのためです。病人自体が人一倍「頑張ってなんとか立ち直らなければ」と思っているのですが、どうしても体が、気持ちが、ついていかないのです。それを励まされたらますます追いつめられてしまいます。

 風邪で高熱を出して伸びてしまっている人に「頑張れ、立ち上がれ、働け!」とは普通いわないでしょう。それと同じことです。 

●うつ病で一番の危険は「自殺」してしまうこと 

 うつ病の病状の特徴をはじめに列挙しました。この8項目の7番目までは、本人にとってつらい症状ではありますが、すぐさま命に関わるようなものではありません。

 しかし、8番目の「このまま消えてしまえればどんなに楽だろう、と思う。」というのだけは、非常に危険な症状です。これが一歩進めば、消えるための自殺に簡単につながるからです。

 一般には、自殺などという行為は、よほどの悩みや苦しみに追いつめられた末の一大決心がないとできないこと、と思われがちですが、うつ病の自殺は違います。うつ病の患者さんにとっては、自殺が一番楽な救いの道なのです。うつ病から治った人に、その頃のことを聞くと「自殺がとてもすてきな、甘美なものに思えた」といいます。

 しかも困るのは、自殺は、病気が重い状態の時はあまり起こりません。そんな時は、ぐったりしてしまって自殺という行動を起こす意欲もなくなっているからです。むしろ、病いの初期の頃とか、治りきる直前とかに、突然起こるのです。

 「あんなに元気になっていたのに、何故!」というような場合が多いのです。

 ともかく、うつ病で最も注意しなければいけないのは、この突発的な自殺です。これを防止するために医師だけでなく、家族や周囲の人々も十分に気をつけなければいけません。 

●「うつ病」になりやすい人、なるきっかけは? 

 現代社会は、うつ病を引き起こすストレスに満ちあふれています。しかしながら、誰も彼もがうつ病になるわけではありません。やはり、なりやすいタイプの人、なりにくい人があります。なりやすい人とはどんなタイプでしょう。

・几帳面な人

・何事もこだわりがあって、いい加減にできない完全主義者

・他人に不義理ができない「気配り」の人

・責任感、義務感の強い人

いわば、現代のサラリーマン社会、組織社会では優秀で「いい人」のタイプです。こういう人は当然組織の中で信頼され責任あるポストに昇進するでしょう。そして、そのまかされた仕事が自分のこだわりや「完全主義」でこなせている間は「いい人」であり「有能な人」で有り続けます。しかし、いつかは仕事が溢れ、手に負えなくなり、どうしようもなくなる時がきます。

その時、適当にやりすごせればいいのですが、几帳面な性格だとそうはできず、破綻の重圧に押しつぶされることになってしまいます。いわゆる「燃え尽き症候群」といえるものです。

しかし、うつ病はそういう「重圧」のようなものだけでなく、仕事が一段落してヒマになったとか、昇進したとか、引っ越し、新居を建てた、息子や娘の進学、就職、自立、といったおめでたいはずのことがきっかけで起こることもあります。要するに人生の節目、生活の大きな変化で起こる場合もあるのです。

●うつ病の治療はどうするか

うつ病においては、励ますとか、いろいろ身近で親切に面倒を見てあげるといった心理的な介助は、かえって本人の負担になってこじらせてしまう場合もあります。

対処法の第一は、専門医(精神神経科)にかかって、抗ウツ薬による治療を始めることです。現在では、脳神経の減退した情報伝達を回復させるいい薬剤が何種類も開発されていて、うつ病治療は格段に進んでいます。

また、患者をストレスから解き放って、休養させることも大切です。サラリーマンの場合には、怠け病という偏見を解き、本人の不利にならぬように休養をとれるよう周囲が手配りする必要があります。主婦などの場合は、案外身近な姑との確執とか近所への気兼ねがストレス要因になっていることもあります。

自殺の危険が大きい場合、昼間独りでいなければいけないといった生活状況の場合などには、いっそ入院させた方がいいかもしれません。

●数カ月かかるが、必ず治る病気

――うつ病の治療は――

・薬剤・休養・自殺防止の3つがポイントです。これを守って経過を見ていけば必ず治る病気です。

ただ、3ヶ月から場合によると6ヶ月くらいの時間がかかります。薬を飲んだからといって、風邪の熱が解熱剤で翌日には下がった、というような治り方はしません。一進一退で、時には少し悪くなったんじゃないかと思える日もあれば、今日はいやに調子がいい、という日もあり、そんな状態を繰り返しながら次第に軽快していき、ある日気付いてみたら、全く元通りの健康な状態になっていた、というような経過をたどります。

ですから、途中で焦っていらいらしたり、絶望的になって治療を放棄してはいけません。経過の途中には、時にはいらいらや不安がつのって、いてもたってもいられないような状態(パニック)に陥ったり、不眠や不安が強くなったりする場合もあるかもしれません。そういう症状にはそれぞれ対処する薬剤を処方することもできますので、医師に相談して下さい。

●おわりに

うつ病は、働き盛りの責任ある立場の男性とか、一家の中心になっている主婦などがかかりやすい病気ともいえます。しかし、数ヶ月で必ず治りますし、治ったあとは以前と同じ活動的な姿に戻れるのですから、この病気によって職場や家族関係などに回復できない破綻を作ってしまうことは避けなければなりません。

 そのためには、家族や職場など、周囲の人々もこの病気の特徴をよく理解して、適切に対処していただきたいと思います。

🇨🇳運動器機能低下症候群

骨や関節に障害が起こり、寝たきりなど介護が必要になる危険性の高い状態

運動器機能低下症候群とは、運動器(locomotive organs)の障害のために要介護となる危険性の高い状態を指します。ロコモティブシンドローム、ロコモシンドローム、略してロコモと呼ばれることもあります。

運動器は身体機能を担う筋・骨格・神経系の総称であり、筋肉、腱(けん)、靭帯(じんたい)、骨、関節、神経、脈管系など、身体運動にかかわる組織・器官の機能的連合です。

内臓脂肪が蓄積し、糖尿病や高血圧、高脂血症によって動脈硬化から心臓や脳血管の病気につながるメタボリック症候群(メタボリックシンドローム)と対になる症状といわれ、骨や関節に障害が起こり、寝たきりなど介護が必要になる危険性の高い状態です。

加齢だけでなく、運動不足になると踏ん張りが利かない上に骨がもろくなり、転倒による骨折が増えることが多くなります。座って靴下を履く人は体のバランスをとれず、踏ん張りが利かなくなりつつあることを示しています。

運動器機能低下症候群の対象となる主な疾患としては、骨粗鬆(こつそしょう)症、変形性関節症、関節リウマチ、脊椎(せきつい)圧迫骨折、大腿(だいたい)骨頸(けい)部骨折、腰部脊柱管狭窄(せきちゅうかんきょうさく)などがあります。

🇨🇳運動ニューロン疾患

運動神経だけが障害される進行性の神経変性疾患の総称で、筋委縮性側索硬化症が代表

運動ニューロン疾患とは、骨格筋を支配する神経細胞である運動ニューロンのうち、大脳からの運動の命令を筋肉まで伝える運動神経だけが選択的に障害され、運動神経以外の感覚神経や自律神経、脳の高度な機能はほとんど障害されない進行性の神経変性疾患の総称。MND(Motor Neuron Disease)とも呼ばれます。

代表的なのが筋委縮性側索硬化症(ALS:Amyotrophic Lateral Sclerosis)というまれな疾患で、日本では特定疾患、いわゆる難病に指定されています。

筋委縮性側索硬化症の特徴は、上位運動ニューロン(一次運動ニューロン )と下位運動ニューロン(二次運動ニューロン)の両方が侵されることです。上位運動ニューロンは、大脳皮質の運動領野から起こって、延髄または脊髄(せきずい)までいく神経系。下位運動ニューロンは、延髄または脊髄から末梢(まっしょう)神経を経て、筋肉に達する神経系。

運動ニューロンが侵されるため、大脳から「手足を動かせ」という命令が伝わらなくなることにより、力が弱くなり、筋肉が委縮していき、同時に脊髄の運動神経線維である側索(錐体〔すいたい〕路)も変性を起こしてきます。一方、体の感覚や知能、視力や聴力、内臓機能などはすべて保たれることが普通です。

運動ニューロンが侵される運動ニューロン疾患には、下位運動ニューロンだけが侵され、筋委縮の強い脊髄性進行性筋委縮症や、延髄の神経核が侵され、飲み下しにくくなる嚥下(えんげ)障害、言語障害などの延髄症状の強い進行性球まひなどもあります。いずれも経過をみると、最後には同じ状態となります。

筋委縮性側索硬化症の原因はまだ、よくわかっていません。一部には遺伝的に発生するものもあり、体質も問題にされています。また、一部の発症者はがんに合併するので、何らかの因子が関与しているのではないかとも考えられています。1年間で新たに発症する人は人口10万人当たり約1人で、男女比は約2:1と男性に多く認めます。

発症は一般的に遅く、40〜60歳代に起こります。一般的には、手指の筋肉が次第に委縮し、力が入らなくなります。時には、足先から委縮が始まります。

委縮は次第に体の上のほうに進んで全身に及び、ついには舌の筋肉も委縮して、嚥下困難、発語困難となり、さらに進行すると呼吸筋もまひして、呼吸も十分にできなくなります。筋肉の委縮とともに、脊髄の下位運動ニューロンが変性するために、筋肉が勝手に細かくピクピクと収縮を起こすのも特徴です。

進行性に悪化するために、多くは平均3〜5年で死亡します。進行性球まひは進行が早く、平均約1年7カ月といわれています。時には、数十年に渡って徐々に進行するものもあります。

運動ニューロン疾患の検査と診断と治療

神経内科の医師による筋委縮性側索硬化症の診断では、筋委縮が起こる部位の分布は特異的で、筋電図や、筋肉の組織の一部を切り取って顕微鏡などで調べる筋生検などで、運動ニューロンの病変を確かめられます。

末梢性筋委縮を示すものに、末梢神経炎や進行性筋ジストロフィー症の末梢型があり、時には区別の困難なこともあります。

神経内科の医師による治療としては、進行を遅らせる作用のあるリルゾール(商品名:リルテック)という薬が日本でも承認されて、使用されるようになりました。しかし、その効果はごく軽微。

一般的には、対症療法的にビタミン剤や、弱い筋弛緩(しかん)剤を用い、筋委縮が進行して呼吸障害を来した時には、呼吸管理を自動調節する機械であるレスピータを用います。

体の自由が利かないことや、疾患に対する不安などから起こる不眠には、睡眠薬や精神安定剤(トランキライザー)を使います。筋肉や関節の痛みに対しては、毎日のリハビリテーションが大切になります。

生活上の注意としては、疾患が進行性であることや特別な治療法のない点で、発症者は精神的にショックを受け、次第にわがままになる傾向がありますので、家族の理解が必要です。

疾患が進行してくると、食べ物を飲み込みにくくなりますが、このような場合は流動食よりも、ゼリーなどで半固形食にしたほうが飲み込みやすく、栄養もよく取れます。飲み込みにくさがさらに進行した場合には、腹部の皮膚から胃に管を通したり、鼻から食道を経て胃に管を入れて流動食を補給したり、点滴による栄養補給などの方法があります。

入浴も、一時的には浮力がついて手足を動かしやすくなりますが、疾患が進行すると入浴させるのが非常に困難になります。

2022/07/17

🇩🇴ウンナ母斑

新生児に多くみられ、後頭部から頸部にかけて現れる赤いあざ

ウンナ母斑(ぼはん)とは、新生児の後頭部から頸(けい)部(うなじ)にかけて現れる赤いあざ。正中部母斑の一種です。

正中部母斑には、このウンナ母斑とサーモンパッチが属し、サーモンパッチのほうは新生児の額の中央、上まぶた、上唇、鼻背など顔の中央に近い部分に現れる、紅鮭(べにざけ)の赤身に似た淡紅色ないし暗赤色のあざです。

ウンナ母斑の原因は、皮膚の真皮表層で毛細血管が拡張したり、増殖するためだとされています。毛細血管の内部の血液によって、皮膚の表面が赤く見えます。母斑には、盛り上がりなどの凹凸はなく、平らです。サーモンパッチに比して、赤みがいくぶん強く、濃淡のむらは少なく、境界線は不明瞭です。新生児の20〜40パーセントに現れると見なされています。
 
生まれ付き現れるものが多いため、親が経過を見守ることが、大切になってきます。欧米では、コウノトリが新生児を運んでくるとの言い伝えから、ウンナ母斑を「コウノトリのくちばしの跡」とか、 新生児の誕生を祝って天使が付けたキスマークだなどといいます。

消えるまでには時間が必要ですが、悪性になることはない上、3歳くらいまでには半数が自然に消えるとされています。成人まで残ってしまう確率は、10パーセント程度だとされています。

病変の部分によっては髪の毛で隠れることもあって、治療をしないという人も多くいます。しかし、ウンナ母斑は、病変の部分や合併する症状でスタージ・ウェーバー症候群、クリッペル・ウェーバー症候群という疾患の可能性を持っていることがあるので、治療をしない場合でも一度、皮膚科の医師を受診しておくと安心できます。

ウンナ母斑が残っている成人で、どうしても気になる人も、皮膚科の医師の治療を受けることが勧められます。

ウンナ母斑の検査と診断と治療

皮膚科の医師は通常、見た目と経過から診断します。スタージ・ウェーバー症候群やクリッペル・ウェーバー症候群が疑われる場合には、画像検査などが必要になります。

ウンナ母斑は、髪の毛に隠れて目立たない部位に生じるので、ほとんど治療をせずに経過をみます。単に色調だけを自然経過よりも早期に淡くしたい場合には、パルス色素レーザー治療を行います。ただし、毛根を焼いてしまうので、その部分の髪の毛が薄くなってしまうこともあります。0歳児でレーザー治療を始めるかは、家族の希望に従って行われます。

成人まで残っていても、悪性になることはないため、大半は治療をしません。美容的に気になる場合には、パルス色素レーザー治療を行います。パルス色素レーザー治療は、傷を残さずに赤みを消退させることができます。術後に残った傷が目立ちますので、手術を行うことはありません。

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 警察庁は、自宅で亡くなる1人暮らしの高齢者が今年は推計でおよそ6万8000人に上る可能性があることを明らかにしました。  1人暮らしの高齢者が増加する中、政府は、みとられることなく病気などで死亡する「孤独死」や「孤立死」も増えることが懸念されるとしています。  13日の衆議院...