2022/08/16

🛏不眠症

睡眠不足感が強く、日常生活を送る上で支障が起きる状態

不眠症とは、実際の睡眠時間の長短にかかわらず睡眠不足感が強く、日常生活を送る上で支障が起きる状態のこと。

この不眠症には、入眠障害、中途覚醒(かくせい)、熟眠障害、早朝覚醒という4つのタイプがあります。

入眠障害は眠ろうとしてもなかなか眠れないため、苦痛を感じるタイプの不眠症

入眠障害とは、床に就いて眠ろうとしてもなかなか眠れないという、寝付きの悪さを特徴とするタイプの不眠症。不眠症と判断される目安となるのは、就床後30分から1時間以上眠れないという症状が週に2回以上、かつ1カ月以上続いており、本人が苦痛を感じている場合です。

例えば、明日重要な試験や会議があるために緊張して眠れないというような状態は、単なる一過性の不眠です。試験や会議が終われば、きちんと眠れるようになるからです。ところが、不眠症の場合は夜中に何度も目が覚めたり、よく眠ったという気がしないなど頻繁に睡眠に関する問題が起きており、入眠障害では眠りに入る時に問題が起きています。

入眠障害の原因は、2つあるとされています。まず1つの原因は、精神生理性不眠(神経症性不眠)と呼ばれるもので、精神的ストレスが問題を引き起こします。明日のことが不安で眠れない、今日あったことを思い出してしまって眠れないなど、人によって眠れない理由はさまざまですが、その背後には精神的ストレスが隠れています。最初は一過性の不眠なのですが、眠れるだろうかと不安になってくると不眠症の症状となってきます。

精神的ストレスが原因となっている場合には、イライラや緊張を鎮めてリラックスできるように就寝30分〜1時間前から照明を落としたり、音楽を流したりと工夫をするのがお勧めです。眠りやすい環境を作ることを心掛け、騒音や温度調整をするのもよいでしょう。

入眠障害のもう一つの原因は、床に就くのが早すぎることにあります。高齢者になって時間にゆとりができると、早く床に就いてしまいがちになりますが、人間の体内時計による自然な眠りの準備が整っていない状態なので、なかなか眠れなくなってしまいます。人間の体内時計のタイマーは、朝起きて太陽の光を浴びたところから14~16時間後に眠くなるようにセットされているのです。

この原因の場合は、眠気を感じていないのに布団に入って、なかなか眠れないと焦ってしまうより、眠気を感じるまで布団に入らないという改善方法があります。ただし、眠気を感じるまでの間、テレビを見たり、パソコンやゲームに時間を費やしてしまうと、脳が興奮してしまうので避けましょう。

そのほか、入眠障害の原因には、夜間の睡眠時などに下肢を中心に不快な感覚が起こり、むずむずする不穏な運動を生じて、慢性的に寝付けない病状を示す、むずむず脚症候群などの疾患が隠れている場合もあるので、注意が必要です。

生活面での工夫をしても入眠障害が続くようであれば、不眠症専門の外来や、神経科、心療内科を受診することが勧められます。

医師による入眠障害などの不眠症治療では、精神的な療法を行ったり、薬による治療を行うことになります。一般的には睡眠薬による治療ですが、人それぞれ原因も違ってきますから、睡眠薬の服用については医師に相談しながら治療を進めていくことが大切です。

最近の睡眠薬は、安全性が高くなりました。以前はバルビツール酸系の薬が主に用いられていましたが、依存しやすいという問題などから最近は比較的安全なベンゾジアゼピン系が多く使われています。ただし、疾患を併せ持つ人が他の薬と併用する場合は副作用などの恐れもあるため、使用には医師の診断が必要で、症状に合った薬を処方によって服用します。

すべての薬にあるように、睡眠薬にも副作用はあります。最大の特徴は、薬が効いている間に布団から起きてしまうと、効果がすべて眠気、ふらつき、頭重感などの副作用に変わってしまうこと。従って、服用したらすぐ布団に入ること、増強作用のあるアルコールと一緒に服用しないこと、用量用法は医師の指示を守ること、突然、服用を中止すると症状が悪化する場合もあるので、医師と相談しながら漸減することなどが必要となります。

中途覚醒は夜中に寝ている途中で2回以上、目が覚めるタイプの不眠症

中途覚醒とは、いったん寝付いても朝まで睡眠が持続できないで、何度も目が覚めるタイプの不眠症。不眠症の中で、最も多くの人がかかりやすいタイプです。

この中途覚醒は、睡眠の途中に2回以上目が覚めるものをいいます。途中で目が覚めても、すぐにまた眠れる人もいれば、なかなか次の眠りに入れない人もいます。高齢者の場合は、この中途覚醒が不眠症の大きな症状となります。

寝付きが悪いわけではないのに夜中に目が覚めてしまう、目が覚めた後もう一度眠るまでに時間がかかるといった状態になるのが、典型的な症状です。全体的に浅い眠りになっていることが多く、何度も繰り返し起きてしまったり、眠っても疲れが取れない、睡眠時間の割に日中眠くなったり集中力が低下するという症状も現れます。

実際、眠っている途中に一度起きてしまうと、入眠から浅い眠りのレム睡眠へ、さらに深い眠りのレム睡眠へと続く眠りのリズムを初めからやり直さなければならないために、脳も体もしっかり休息することができません。

睡眠と覚醒のリズムを生み出す脳の仕組みそのものの不調が原因で起きるほか、実にさまざまな原因で起きます。例えば、さまざまな精神的な病気の部分症状として起きるほか、さまざまな病気に起因する体のあちこちの痛み、ぜんそくなどによる呼吸困難やせき、消化器系の病気による腹痛、前立腺(ぜんりつせん)肥大症によって高頻度に起こる夜間の頻尿などが挙げられます。

また、睡眠薬代わりに寝酒をする人は少なくありませんが、少量のアルコールは寝付きをよくするものの、大量のアルコールを長期に渡って飲み続けていると、深い眠りであるレム睡眠を減らしてしまうために、浅い眠りであるレノンム睡眠ばかりになってしまい、しばしば中途覚醒を起こします。

中途覚醒の原因として近年、注目を浴びているものに睡眠時無呼吸症候群もあります。この病気は、睡眠中に10秒以上に渡って呼吸が止まり、1時間に5回以上みられる場合に診断されます。

すなわち、深い睡眠に入ろうとすると呼吸が止まり、息苦しくなって目が覚めてしまうために、一晩中深い睡眠に入れなくなります。全体として一晩に6~7時間眠ったとしても、常にウトウトしたような浅い睡眠でしかないために、昼間に眠気を催して居眠りばかりして、上司に叱責(しっせき)されるという事態に陥ってしまいます。

睡眠時無呼吸症候群では、本人が息苦しさを翌日に覚えていないために、自覚的には昼間の眠気だけしかないことが少なくありません。もっとたくさん寝ようと早くからベッドに入る努力をしても、睡眠の質が不良なためにいくら長時間寝ても昼間の眠気や、集中力の低下、活力の喪失は改善されません。

意外と知られていないが決して少なくない中途覚醒の原因として、周期性四肢運動障害という病気もあります。この病気は睡眠時無呼吸症候群と同様に、深い眠りに入ろうとすると、周期的に反復する瞬間的な手足、特に下肢の運動が現れます。

つまり、まどろみから深い睡眠に移行しようとすると、足がピクンと動いてしまうのです。通常、20~30秒周期で足の動きを繰り返し、悪化すると回数が増え、多い人では1時間に100回以上起こる場合もあります。足が動いても、多くの場合本人は気付きませんが、足がピクンと動くと、脳は目覚めてしまうので眠りが妨げられます。このために深い睡眠に入れずに、昼間に眠気を催します。

中途覚醒の裏側には他の病気が隠れていることが非常に多いので、常日ごろから体の状態をチェックしておくとよいでしょう。また、どんな病気が絡んでいるにせよ、精神的ストレスがたまっている状態だと、中途覚醒が起きやすいことがわかっています。

精神的ストレスがかかった状態で眠ると、眠っているつもりでも脳はリラックスして休むことができません。浅い睡眠状態で眠ることになるため、途中で何度も目が覚めたり、ささいな刺激で覚醒することになります。

精神的ストレスからくるイライラや緊張を鎮めるためにには、リラックスできる音楽や読書、入浴や食事など生活面での工夫をしてみることも必要です。眠りやすい環境を作ることも心掛け、騒音や温度調整、明るさの調整をするのもよいでしょう。

昼間の眠気や、集中力の低下、活力の喪失など日中の生活に支障が出るような場合には、午前中など早い時間に10~20分の仮眠を取ることも効果的です。仮眠を取る場合には、夜眠れなくなるほど長時間寝てしまうと意味がありません。夕方など遅めの時間に仮眠を取るのも、夜の睡眠に支障が出ることがあるので、遅くても昼の休憩くらいまでの間に仮眠するようにしましょう。

生活面での工夫をしても中途覚醒が続くようであれば、医師に相談することが必要です。

医師による不眠症治療では、精神的な療法を行ったり、薬による治療を行うことになります。一般的には睡眠薬による治療ですが、人それぞれ原因やタイプも違ってきますから、睡眠薬の服用については医師に相談しながら治療を進めていくことが大切です。

睡眠薬は、作用時間により超短時間型、短時間型、中間型、長時間型に分類されます。頻繁に目を覚ます中途覚醒では、長時間型の睡眠薬が処方されることが多く、作用時間が長いため昼間の不安抑制効果も期待できます。

主な睡眠薬としては、ソメリン(成分名・ハロキサゾラム、ベンゾジアゼピン系)、インスミンやダルメートなど(成分名・フルラゼパム、ベンゾジアゼピン系)、ドラール(成分名・ベンゾジアゼピン系)があります。

熟眠障害は熟睡したという満足感がなく、目覚めた時に睡眠不足を感じるタイプの不眠症

熟眠障害とは、眠りが浅くて、目覚めた時に熟睡したという満足感がなく、睡眠不足を感じるタイプの不眠症。不眠症と判断される目安となるのは、この症状が週に2回以上、かつ1カ月以上続いており、本人が苦痛を感じている場合です。

この熟眠障害は、寝付いたにもかかわらず途中で何度も目が覚めてしまう中途覚醒が原因となっている場合があります。しかし、尿意や夢、ちょっとした物音、部屋の寒さや暑さなどを始めとする何らかの原因で眠りが中断されても、その時間が短いと夜中に目覚めたという記憶がないこともあります。それを夜中に何度も繰り返していると、熟眠障害になってしまうのです。

熟眠障害では睡眠の持続性が得られないため、本人にとっては症状はかなりきついといえます。中には、夜、十分な時間寝ているはずなのに朝起きた時に全く寝た感じがしない、疲れが取れていず、昼に眠くて眠くてどうしようもないという人もいます。

そのため、中途覚醒の自覚のあるなしにかかわらず、熟睡した、ぐっすり眠ったという感覚が得られない場合は、熟眠障害を疑ってみる必要があります。熟眠障害だけがあり、中途覚醒がないということはまれです。

実際、眠っている途中に一度起きてしまうと、入眠から浅い眠りのレム睡眠へ、さらに深い眠りのレム睡眠へと続く眠りのリズムを初めからやり直さなければならないために、脳も体もしっかり休息することができません。

熟眠障害は、睡眠環境が原因で起こることもあります。引っ越したばかりで環境に慣れていない、新しい寝具に変えたなどという環境の変化によるものかもしれません。また、特に環境の変化や寝具の変化がないけれど睡眠不足を感じている人は、寝具を見直してみてください。寝具は毎日使うものですから、一生同じ状態を保持するのは難しいもので、弾力性やフィット感が変わって熟眠障害を起こしている可能性もあります。

寝具の見直しをしても改善されない場合は、睡眠時間を見直してみましょう。年齢を重ねるにつれて、体は衰え、疲労感も増していきます。頭では今までの生活に慣れていても、体に疲労がたまっているのかもしれません。

それらで改善につながらない場合は、睡眠中に症状の現れる疾患が関係していることもあります。本人が自覚していない熟眠障害や中途覚醒の原因として、睡眠時無呼吸症候群、周期性四肢運動障害があります。

熟眠障害の裏側には他の疾患が隠れていることが多いので、常日ごろから体の状態をチェックしておくとよいでしょう。また、どんな疾患が絡んでいるにせよ、精神的ストレスがたまっている状態だと、熟眠障害が起きやすくなります。精神的ストレスがかかった状態で眠ると、眠っているつもりでも脳はリラックスして休むことができず、浅い睡眠状態で眠ることになります。

精神的ストレスからくるイライラや緊張を鎮めるためにには、リラックスできる音楽や読書、入浴や食事など生活面での工夫をしてみることも必要です。眠りやすい環境を作ることも心掛け、騒音や温度調整、明るさの調整をするのもよいでしょう。

昼間の眠気や、集中力の低下、活力の喪失など日中の生活に支障が出るような場合には、午前中など早い時間に10~20分の仮眠を取ることも効果的です。仮眠を取る場合には、夜眠れなくなるほど長時間寝てしまうと意味がありません。夕方など遅めの時間に仮眠を取るのも、夜の睡眠に支障が出ることがあるので、遅くても昼の休憩くらいまでの間に仮眠するようにしましょう。

生活面での工夫をしても熟眠障害が続くようであれば、不眠症専門の外来や、神経科、心療内科を受診することが勧められます。

医師による熟眠障害などの不眠症治療では、精神的な療法を行ったり、薬による治療を行うことになります。

早朝覚醒は朝早くに目が覚め、そのまま眠れなくなるタイプの不眠症

早朝覚醒とは、朝早くに目が覚めてしまって、そのまま眠れなくなるタイプの不眠症。不眠症と判断される目安となるのは、この症状が週に2回以上、かつ1カ月以上続いており、本人が苦痛を感じている場合です。

朝早く、4時くらいに目が覚めた後、もう一度眠ろうとしてもなかなか眠れませんし、眠れたとしても、うつらうつらするだけで熟睡できないため、かえって疲れてしまうこともあります。早くに目が覚めてしまうので、そのぶん、早く寝なければと早寝の習慣が付いてしまい、さらに早朝に目が覚めるという症状が進んでしまう場合もあります。

重要な試験や会議の前など特に緊張している場合、朝早く目が覚めてしまったり、なかなか眠れないということはありますが、長期間続くようだと昼間の生活にも支障が出てしまいます。早朝覚醒になると、活動中に集中力が落ちたり、何事も面倒に感じたり、気分が落ち込みがちになったり、昼間に我慢できない眠気に襲われることもあります。

この早朝覚醒には2つのパターンがあり、1つは老人性早朝覚醒です。人間は年を取ると、生活リズムが変化して朝方の生活になる傾向があります。朝が苦手だった人でも、年を取ると早起きになったという話もよく聞きます。眠り方というのは、年齢とともに変化するのが自然なのです。

若い人の場合、1回の睡眠中に深い眠りのレム睡眠が2~3回繰り返されます。しかし、年を取るとともにレム睡眠に達する回数は少なくなり、浅い睡眠状態になります。また、眠るための物質であるメラトニンの分泌量が少なくなり、眠る能力が低下してきます。そのため、朝早くに目が覚める早朝覚醒や、夜中に目が覚める中途覚醒が起こりやすいのです。

不眠症の中で最も罹患(りかん)率の低いタイプが早朝覚醒ですが、高齢者の不眠症では最も多いタイプに相当します。ほかの不眠症と違い、ある程度の年齢で熟睡感があり、生活に支障がなければ問題はありません。早く目が覚めてしまえば、無理に再び眠ろうとせず、そのまま一日を始めてもいいのです。

疲労がたまったり、昼間の活動中に眠気を感じる場合には、改善を行うのがお勧めです。朝日が差し込まないように遮光カーテンを引いたり、雨戸を閉めて、早い時間に覚醒しないようにするのも一案。

早朝覚醒のもう1つのパターンには注意が必要です。それは、うつ病、双極性障害(躁うつ病)、躁病などの精神疾患の症状として現れます。

ストレスや不規則な生活が続くと、知らず知らずのうちに軽度のうつ病になっていることがあります。うつ病と不眠症は関係が深く、うつ病の症状の一つに不眠が挙げられます。うつ病として軽い段階だと、本人も病気だという自覚症状がないままで、どんどん睡眠状況が変化するため、睡眠不足と気分の上下動で混乱してしまいます。

うつ病の場合は、起きる時間が早くなっていく以外にも、中途覚醒、入眠障害など睡眠そのものが不規則になるため、日常のパターンが崩れやすくなり、生活に支障を来すことが多いものです。

精神疾患の症状としての早朝覚醒は、日中に体を動かしたり、日の光をきちんと浴びたり、精神的なストレスを軽減したり、睡眠の環境を整えたりといった方法で、改善する場合もあります。しかし、断続的に不規則な眠りに悩まされる場合、気分の変調、落ち込みなどの問題がある場合は、できるだけ早く心療内科や精神科を受診して、専門医に相談することがお勧めです。

精神疾患の治療の一環で、睡眠薬を出してくれる医療機関も数多くあります。医師と相談の上、睡眠薬などの服用が必要である場合もあります。

🇨🇫非熱帯性スプルー

小麦に含まれる蛋白質のグルテンが小腸粘膜に障害を起こし、栄養素の吸収が減少する疾患

非熱帯性スプルーとは、小麦に含まれる蛋白(たんぱく)質のグルテンが小腸粘膜に障害を起こし、栄養素の吸収不良が現れる疾患。グルテン腸症、グルテン過敏性腸炎、グルテン腸症候群、グルテン不耐症、セリアック病、セリアックスプルーなどとも呼ばれます。

グルテンは主に小麦に含まれ、大麦、ライ麦など他の麦類では含有量が比較的少量です。このグルテンに対する遺伝性の不耐症が非熱帯性スプルーであり、発症した人がグルテンを含んだ食品を摂取すると、グルテンの分解ができず、腸管免疫システムがそれを異物と認識して過剰に働くことで、産生された抗体が小腸の絨毛(じゅうもう)を攻撃し、慢性的な炎症が起こります。

この炎症によって、上皮細胞が変性したり、絨毛が委縮して、その突起が平坦(へいたん)になったりします。その結果、平坦になった小腸粘膜は糖、カルシウム、ビタミンB群などの栄養素の吸収不良を起こし、小腸がしっかり機能しなくなることで、さまざまな症状が出てきます。

しかし、グルテンを含んだ食品の摂取をやめると、正常な小腸粘膜のブラシ状の表面とその機能は回復します。

非熱帯性スプルーは、小児のころに発症する場合と、成人になるまで発症しない場合とがあります。症状の程度は、炎症によって小腸がどれだけ影響を被ったかで決まります。

成人で発症する場合は通常、下痢や栄養失調、体重減少が起こります。中には、消化器症状が何も現れない人もいます。非熱帯性スプルーの発症者全体のおよそ10パーセントに、小さな水疱(すいほう)を伴い痛みとかゆみのある湿疹(しっしん)がみられ、疱疹性皮膚炎と呼ばれます。

小児のころに発症する場合は、グルテンを含む食品を食べるまでは症状が現れません。通常、パンやビスケット、うどんなどによってグルテンを摂取するようになる2歳から3歳の時に発症します。

子供によって、軽い胃の不調を経験する程度から、痛みを伴って腹部が膨張し、便の色が薄くなり、異臭がして量が多くなる脂肪便を起こすこともあります。

非熱帯性スプルーによる吸収不良から起こる栄養素の欠乏は、全身の栄養状態の悪化を招いて栄養失調を起こし、さらに別の症状を起こします。別の症状は、特に小児で現れやすい傾向にあります。

一部の小児は、成長障害を起こし身長が低くなります。鉄欠乏による貧血では、疲労と脱力が起こります。血液中の蛋白質濃度が低下すると、体液の貯留と組織の浮腫(ふしゅ)が起こります。

ビタミンB12の吸収不良では、神経障害が起こり、腕と脚にチクチクする感覚を生じます。カルシウムの吸収不良では、骨の成長異常を来し、骨折のリスクが高くなり、骨と関節が痛みます。

また、カルシウムの欠乏では、歯のエナメル質の欠陥と永久歯の障害を起こします。非熱帯性スプルーの女児では、エストロゲンなどのホルモン産生が低下し、初潮がありません。

下痢、脂肪便、体重減少、貧血などの非熱帯性スプルーを疑わせる症状に気付いたら、消化器内科を受診します。

非熱帯性スプルーの検査と診断と治療

消化器内科の医師による診断では、小腸のX線検査と小腸の内視鏡検査を行います。小腸の繊毛が委縮、平坦化している状態が認められることと、グルテンを含む食品の摂取をやめた後に小腸粘膜の状態が改善していることにより確定します。また、グルテンを含む食品を摂取した時に産生される特異抗体の濃度を測定する検査を行うこともあります。

消化器内科の医師による治療としては、グルテンを含まない食事を摂取し、各種の栄養剤、ビタミンを補給します。

少量のグルテンでも症状を起こすので、グルテンを含む食品をすべて避けなければなりません。グルテンを含まない食事への反応は迅速に起こり、小腸のブラシ状の表面とその吸収機能は正常に戻ります。

ただし、グルテンはさまざまな食品中に広く含まれているので、避けるべき食品の詳細なリストと栄養士の助言が必要です。

グルテンを含む食品の摂取を避けても症状が継続する場合は、難治性の非熱帯性スプルーと呼ばれる状態に進んだ可能性があり、プレドニゾロンなどのステロイド剤(副腎〔ふくじん〕皮質ホルモン剤)で治療します。

まれに、グルテンを含む食品の摂取を避け、薬物療法を行っても改善しなければ、静脈栄養が必要となります。小児では初診時に非常に重篤な状態になっている場合もあり、グルテン除去食を開始する前にしばらく静脈栄養の期間が必要になります。

グルテンを避ければ、非熱帯性スプルーのほとんどの発症者はよい状態を保てますが、長期間にわたって非熱帯性スプルーが継続すると、まれに腸にリンパ腫(しゅ)を形成し、死に至ることもあります。グルテン除去食を厳格に守ることで、腸のリンパ腫やがんなどの長期間にわたる合併症のリスクを減少させられるかどうかは、不明です。

非熱帯性スプルーの人は、グルテンを含まない穀物である米やトウモロコシを中心に、卵、肉、魚、牛乳、乳製品、野菜類、豆類、果物類を中心に摂取することになります。加工食品の場合、グルテンを含まないと表示されている物以外は注意が必要。

摂取できない食品としては、パン、うどん、ラーメン、ヌードル、パスタ(スパゲッティ、マカロニ)、ビスケット・クッキー・クラッカーなどの菓子、ケーキ、ビール、大麦水などが挙げられます。

グルテンを含んでいる可能性がある食物としては、豚肉(ソーセージ、ボローニャソーセージ)、缶詰のパテや肉、ミートボール、ハンバーガー、ホットドッグ、ソース、トマトソース、調味料、コーヒー代用品、チョコレート、ココア、アイスクリーム、キャンディー、食品色素などが挙げられます。

🇨🇫被曝

人体が放射線を浴びることで、外部被曝、内部被曝、自然被曝に分類

被曝(ひばく)とは、人体が放射線を浴びること。体の外から被曝する外部被曝と、体内から被曝する内部被曝とがあります。

また、人体は天然に存在する放射線源から放射線を浴びており、これは特に自然被曝と呼ばれます。天然に存在する外部被曝源としては、宇宙から地上に降り注いでくる宇宙線、大地に含まれる放射性物質からの放射線、大地から漏れ出て空気中に存在するラドンなどの気体などがあります。

放射線といえば原子力発電所や原子力空母、核兵器、X線検査が放射源と見なされることが多いものの、あらゆる場所で常に微弱な放射線が照射され、人を含むすべての生物は常に微弱な被曝にさらされています。一般の人が日常生活で1年間に自然被曝する線量は、2・4ミリシーベルト(2400マイクロシーベルト)。

外部被曝は、原子力発電所などの事故で環境中に放出され、大気中に浮遊する放射性物質が皮膚や頭髪に付着するなどして、外部から放射線を浴びることです。

内部被曝は、大気中に浮遊する放射性物質を呼吸の際に鼻や口から吸い込んだり、汚染された水を飲んだりして体内に取り込んでしまうことです。汚染された農作物を口にしたり、傷口から入ったりして、体内に取り込んでしまうこともあります。

放射性物質から身を守るためにまず必要なのは、発生源からなるべく早く離れること。避難の際は、放射性物質を吸い込むのを防ぐため、ぬれたタオルやマスクで口や鼻をふさぎ、肌は露出せず気密性が高いカッパなどを着用し、帽子もかぶります。風下を避け、雨は濃度が高まる恐れがあるため触れるのは厳禁です。

避難先には、放射性物質を通しにくいコンクリート製建物が望まれます。外から室内に入る際は、汚染された心配がある衣服を戸外で脱ぎ、ビニール袋に入れて口を縛ります。水場があれば全身を洗って除染します。すでに被曝した場合にも有効な対策です。頭髪は念入りに洗いたい部位ながら、爪を立てたりして皮膚を傷付けると逆効果です。

室内に入った後は窓を閉めて、不要な外出は避け、外気を取り込むエアコンや換気扇も使わないことです。

発生源周辺の農作物は放射性物質が付着している可能性があり、口にしないよう注意が必要。周辺の水も使用してはいけません。

1986年の旧ソ連・チェルノブイリ原発事故では、約1週間で日本に放射性物質が届きました。放射性物質は拡散しやすく、発生源から離れていても油断はできません。

放射性物質の一つであるヨウ素は、体内に入ると甲状腺に集まりやすく、特に子供では甲状腺がんの原因になります。自治体が備蓄するヨウ素剤を事前に飲めば発症をある程度防げますが、副作用があるため専門家の指示に従って服用します。

放射性物質の一つであるセシウムも、血液に入るといろいろな臓器に吸収され、白血病などを引き起こします。すでに被曝した場合には、セシウムを体外に排出させる薬剤を服用します。体に入らなくても、地面に降った後も長く放射線を出し続けるので危険であり、半分の量に減るのに約30年かかります。

放射性物質の一つであるストロンチウムも、骨に沈着して白血病の原因になりやすく、半分の量に減るのに28年かかります。影響が長く続くため、水や植物を通じて体内に入る可能性もあり、体外に排出されにくいという特徴があります。同じく放射性物質の一つであるプルトニウムも、体内に取り込まれると骨に集まり、周りの組織にもダメージを与えます。

放射性物質による健康影響が生じるのは、細胞の中の遺伝子などが傷付けられたり、構造が変わったりしてしまうため。被曝後、数週間以内に出る急性の症状と、数カ月から数年以上たってから出る症状があります。

2~3週間以内に出る症状は、免疫力の低下や貧血、出血など。骨にある骨髄が被曝でダメージを受け、白血球や赤血球などを作る機能が損なわれるために、こうした症状が出ます。免疫力が低下すると、感染症にかかりやすくなり、腸管や脳が障害を受けることもあります。

被曝後すぐに症状が出なくても、数カ月から数年以上たってから、白血病や甲状腺がんなどを発症することもあります。妊娠から間もない妊婦が放射線を多く浴びると、胎児に奇形などが生じる危険性もあります。

被曝したかどうか不安な場合は、病院の放射線科などで体表の放射線量を調べてもらえます。サーベイメーターと呼ばれる携帯型の測定器も、市販されています。

🇨🇫非閉塞性無精子症

精巣の造精機能の低下により、精巣で全く精子が作られていなかったりする状態

非閉塞(へいそく)性無精子症とは、男性の精子が精巣(睾丸〔こうがん〕)から体外へ出ていく精路があるにもかかわらず、精巣の造精機能の低下により、精巣で全く精子が作られていない状態、もしくは射出精液中に精子が認められない状態。

男性の精液の大部分は、陰茎の奥にある前立腺(ぜんりつせん)と、その前立腺の奥にある精嚢腺(せいのうせん)で作られ、前立腺成分が約20パーセント、 精嚢腺成分が約70パーセントを占めます。そのほかにも、精巣や精巣上体(副睾丸)、精管でも一部作られます。

運動能力を持ち、卵子と結合して個体を生成する男性の精子のほうは、精巣の中で精原細胞から分化して作られ、精子を運ぶ精管が精巣のすぐ近くで膨れている精巣上体において成熟し、精嚢腺と前立腺で分泌された精液と一緒になって、尿道に出ていくのが射精です。射精によって精液が尿道から出ていく際には、最初は主に前立腺からの成分、続いて精嚢腺からの成分が出ていきます。

男性の100人に1人は、射出精液中に精子が認められない無精子症といわれています。この無精子症は、非閉塞性無精子症と閉塞性無精子症の2つの型に分類されます。

非閉塞性無精子症は精巣自体の造精機能に障害があるのに対して、閉塞性無精子症は男性の精巣の中で精子が作られているものの、精子が精巣から体外へ出ていく精路のどこかが閉塞している状態。精子が精液と合流して体外へ出ていくことができず、射出精液中に精子が認められません。

非閉塞性無精子症は、無精子症の80~85パーセントを占めているといわれています。閉塞性無精子症のほうは、無精子症の15〜20パーセントを占めているといわれています。

非閉塞性無精子症の原因となる疾患は、X染色体が1つ以上多いクラインフェルター症候群などの染色体異常症、脳下垂体と視床下部の障害による性腺刺激ホルモンの低下、おたふく風邪による精巣炎、高プロラクチン血症による精子形成の低下、薬の副作用による性腺刺激ホルモンの低下、精巣が陰嚢(いんのう)内に位置していない停留精巣、精巣の上の精索部の静脈が拡張した精索静脈瘤(りゅう)などです。

一方、閉塞性無精子症の原因となる疾患は、両側精巣上体炎、小児期の両側鼠径(そけい)ヘルニア術後、精管切断(パイプカット)術後、原因不明の精路閉塞症、先天性両側精管欠損症などです。

非閉塞性無精子症の検査と診断と治療

泌尿器科の医師による診断では、精液検査の結果、射出精液中に精子が存在しない場合に無精子症と判断します。精巣が小さく、ホルモン検査では脳下垂体から分泌される性腺刺激ホルモン(ゴナドトロピン)の値が著しい上昇(高ゴナドトロピン性性腺機能低下症)、もしくは著しい低下(低ゴナドトロピン性性腺機能低下症)を示し、精路に閉塞部位が認められれば、ほぼ非閉塞性無精子症と判断できます。

また、性腺刺激ホルモンの値が正常値を示した場合でも、まれにY染色体の特定部位の微小欠失により、精巣内での精子の成熟が途中で停止しているケースでは、非閉塞性無精子症と判断します。

さらに、精液検査の結果、射出精液中に精子が一つも存在しないという場合でも、数少ない精子が精巣内で作られていることがあり、それを調べるために精巣組織検査を行うことがあります。

泌尿器科の医師による治療では、精巣組織検査で数少ない精子が精巣内で作られていることが確認された場合に限り、顕微鏡下精巣精子採取法によって精巣の中を隅々まで観察し、精子がいる可能性の高い精細管を採取して精子を探し出し、人工授精、体外受精、顕微授精などという方法を用いて妊娠を期待します。

精子が一つでも探し出せれば、妊娠する確率はゼロではありません。精子が一つも探し出せなくても、後期精子細胞が探し出せた場合には、顕微授精という方法を用いて妊娠を期待します。

クラインフェルター症候群や脳下垂体と視床下部の障害など何らかの原因により、性腺刺激ホルモンが低下して造精機能が障害されている場合には、ホルモン補充療法を行い、精巣で精子が作られるようになることを期待します。

🇨🇳皮膚カンジダ症

かびの一種であるカンジダ菌による皮膚感染症

皮膚カンジダ症とは、かびの一種であるカンジダという真菌が皮膚に感染して起こる疾患。

カンジダは、健康な人の口腔(こうくう)粘膜にある程度存在している常在菌で、基本的に病原性が弱いため、発症することはほとんどありません。しかし、体の抵抗力が衰えるような条件があると、増殖、形態変化して疾患を起こします。特に、カンジダ・アルビカンスが圧倒的に多い原因菌となり、カンジダ・トロピカーリス、カンジダ・パラプシローシスなどが原因菌となることもあります。

皮膚のカンジダ症には、乳児のおむつの下にできる乳児寄生菌性紅斑(こうはん)を始め、成人の手の指の間に起こる指間びらん症、中年の女性に多い、つめ周囲炎など、いろいろなタイプがあります。

乳児寄生菌性紅斑は、陰部周囲に生じます。おむつかぶれに似た症状であり、区別が必要となります。指間びらん症は、主に水仕事に従事する主婦などに生じます。利き手の第3指間に好発し、手湿疹(しっしん)と合併していることもあって見逃されやすい傾向にあります。つめ周囲炎は、足より手に多く、つめの回りが赤くはれ、押すとジクジクした液が出ますが、痛みはありません。

また、副腎(ふくじん)皮質ホルモン(ステロイド剤)の軟こうを使っているうちに、皮膚カンジダ症が起こる場合もあります。糖尿病がある時にも皮膚の免疫能が低下し、肛門(こうもん)周囲や陰部にカンジダ症が起こりやすいと見なされています。

なお、口腔粘膜、陰部粘膜にもカンジダ症を生じることがあり、これを粘膜カンジダ症と呼ぶこともあります。皮膚や粘膜だけではなく、肺、消化器、その他の内臓に感染することもあります。この内臓カンジダ症は、血液疾患などで免疫能が高度に低下した人に生じるので、日和見(ひよりみ)感染症といわれています。

皮膚カンジダ症の検査と診断と治療

治療は、皮膚を乾かすことが重要です。つめ周囲炎の場合は、頑固なので皮膚科医の治療を受けます。皮膚カンジダ症から、内臓の疾患が見付かることもあります。

皮膚カンジダ症の診断においては、KOH検査(皮膚真菌検査)と培養検査が行われます。KOH検査では、皮膚の表面をこすり、それを水酸化カリウム溶液で溶かして、顕微鏡で観察します。5分もあれば結果が出ますが、カンジダ菌の種類の特定までは困難です。培養検査では、クロモアガー・カンジダ培地などで培養します。検査に時間がかかりますが、菌の種類を特定できます。

皮膚カンジダ症の治療の基本は、カンジダに抗菌力のある抗真菌薬の外用です。外用薬は、薬局でも手に入るものもあります。症状が強い場合や広範囲に病変がある場合は内服薬が必要になりますが、病院でしか手に入りません。

外用薬では、イミダゾール系のものが抗菌域が広く、カンジダに対しても有効性が高く、第一選択薬といえます。ネチコナゾール(アトラント)、ケトコナゾール(ニゾラール)、ラノコナゾール(アスタット)などの新しい薬は、抗菌力が強化されています。基剤としては、軟こう剤、クリーム剤、液剤、ゲル剤がありますが、皮膚カンジダ症ではただれの症状を示すことが多いので、刺激が少ないクリーム剤か軟こう剤が無難です。

内服薬では、トリアゾール系のイトラコナゾール(イトリゾール)が、抗菌域が幅広く、第一選択薬です。副作用は比較的少ないのですが、血液検査は必要で、併用に注意する薬剤があります。

🇨🇳皮膚筋炎、多発性筋炎

筋肉の炎症で筋力の低下、筋肉痛が出現

皮膚筋炎、多発性筋炎とは、筋肉に炎症が起こって、筋力の低下や筋肉痛が起こる疾患。まぶたや顔、関節の伸側部などに皮疹(ひしん)がみられるものを皮膚筋炎と呼び、紅斑を伴わない多発性筋炎と区別されます。

2つの疾患は40歳〜60歳ぐらいの成人に多く発症しますが、5歳〜15歳の小児にもみられます。いずれも女性に多く、男性の2倍の割合で発症すると見なされ、日本での有病率は10万人に2〜5人。成人では、皮膚筋炎と多発性筋炎が単独で発症することもあれば、>。

2つの疾患の原因は不明ですが、ウイルスなどの感染や自己免疫の異常などが関係すると推定されます。がんも2つの疾患を誘発する要因と考えられていて、がんに対する免疫反応が筋肉内の物質を直接標的として攻撃するとみられています。

症状は多くのケースで徐々に進行し、どの年齢層でも同じような症状を示します。通常、成人よりも小児のほうが突発的に発熱して、発症するケースも多くみられます。

感染症にかかっている時や治った直後から発症し、対称性の筋力低下、筋肉痛、関節痛、嚥下(えんか)障害、発熱、疲労、体重減少などが現れます。他の結合組織疾患を合併している場合には、レイノー現象も現れ、寒冷や感情的動揺に対する反応として手の指が突然青白くなってピリピリしたり、しびれます。

数週間から数カ月で、症状が悪化していきます。筋力の低下は首や肩、上腕部、腰回りなど体の中心部に近い四肢に起こるため、腕を肩から上へ上げる、階段を昇り降りする、いすから立ち上がるなどの動作が困難になります。首の筋肉が障害を受けると、頭を枕から持ち上げられなくなることもあります。肩や腰の筋力がより低下すると、ベッド上の生活や車いすの使用を強いられることもあります。なお、手、足、顔の筋肉が障害を受けることはありませんし、関節の痛みと炎症は軽度な傾向にあります。

食道上部の筋肉が障害を受けると、食物の嚥下障害や逆流の原因となります。通常、のどや食道以外の内臓器官は侵されません。しかし、肺と心臓は侵されることがあります。肺では、肺胞と肺胞の間や血管の回りにある間質に炎症が起こり、空ぜき、息切れ、呼吸困難が生じます。心臓では、不整脈、心不全などが生じます。

皮膚筋炎では、筋力低下や他の症状の発症と同時に、皮疹が現れる傾向があります。ぼんやりした赤や紫色の皮疹が顔に現れ、目の回りが赤味がかった紫色にはれるのが特徴です。うろこ状で滑らかな、または少し隆起した別の皮疹が全身の各所、特に手の甲側の指関節や、ひじの関節の伸側部、ひざの関節の伸側部に多く現れることもあります。皮疹が消失した後には、茶色の色素沈着、瘢痕(はんこん)、皮膚の委縮、色素脱落などが現れることがあります。

皮膚筋炎、多発性筋炎の検査と診断と治療

皮膚筋炎、多発性筋炎では、筋肉ばかりでなく他の臓器も障害されることがあり、どの診療科が最適と簡単には決められません。一般に、膠原病・自己免疫疾患の一つとしてリウマチ内科や膠原病・免疫内科、筋肉の疾患として神経内科、皮膚症状を中心に皮膚科を受診される発症者が大多数です。大切になるのは、障害された臓器を中心に全身を総合的に診療できる専門医に診てもらうことです。

医師による診断では、血液検査で筋肉の障害に由来するクレアチンキナーゼなどの酵素を調べたり、筋電図や筋肉の生検で炎症による障害があるかどうかを調べます。40歳以上の高年者の場合には、がんを体のどこかに合併していることがあるため、がんの検査として胃がん、肺がん、乳がんなどを調べます。

治療においては、炎症が最も激しい急性期の場合、活動を制限して安静にし、筋肉に負担をかけないようにすることがしばしば有効です。一般に副腎(ふくじん)皮質ホルモン(ステロイド剤)、通常はプレドニゾロンを高用量で経口投与すると、徐々に筋力が回復して痛みやはれも改善し、疾患をコントロールできます。投与後およそ6〜12週間で、クレアチンキナーゼなど筋肉酵素の値は正常値に戻り、筋力も回復します。

以後は、再発を来さないように配慮しながら、薬の投与量を徐々に減量していきます。多くの成人は、再発防止のため低用量のプレドニゾロンの投与を何年も続けます。小児の場合、約1年間薬物療法を行うと症状はなくなります。筋力の回復、関節の硬化予防のためのリハビリテーションは、順調な筋力の改善を確認してから、徐々に開始します。食事は、高蛋白(たんぱく)、高カロリー食で消化のよいものを取るようにします。

時折、プレドニゾロンの副作用によって症状が悪化することがあります。このような場合は、免疫抑制剤を代わりに投与するか、プレドニゾロンと併用投与します。効果がない場合は、さまざまな抗体を多量に含む製剤であるガンマグロブリンを静脈注射する方法もあります。ただし、長期の有効性や副作用は不明で、今後の検討が必要です。

がんが見付かった際は、がんを治療することが優先されます。がんの治療がうまくいけば通常、症状は改善されます。成人で嚥下障害、栄養失調、肺炎、呼吸不全、心不全がある重症のケースでは、死に至ることがあります。

🇨🇳腓腹筋けいれん

ふくらはぎの筋肉が突然、けいれんして激しい痛みを伴う状態

腓腹(ひふく)筋けいれんとは、 ふくらはぎの筋肉が突然、けいれんして激しい痛みを伴う状態。俗称でこむら返り、こぶら返りとも呼ばれます。

同じような筋肉のけいれんは、太もも、足の裏、首、腹などにも起こります。腓腹筋けいれんが起こりやすいのは、登山や水泳などの運動中や睡眠中。立ち仕事の多い人や、高齢者に多くみられます。局所的けいれんは無痛なケースが多いものの、一般的には激痛を伴います。

原因の多くは筋肉の疲れや冷え、運動不足、いつもと違う動きをしたことなどによるものです。血液の電解質異常、腎臓(じんぞう)や心臓の病気、糖尿病、腰椎(ようつい)の病気などが原因で起こる場合もあります。

人間の体は、筋肉の収縮と弛緩(しかん)を調節することによって、バランスのとれた動きをします。この筋肉の調節の仕組みは、脳や脊髄(せきずい)などの中枢神経からの信号が末梢(まっしょう)神経を通って筋肉に送られて、筋肉の収縮が起こり、次に筋肉や腱(けん)のセンサーから逆方向に信号が中枢神経に送られ、どれくらい収縮するか弛緩するかが決められています。腓腹筋けいれんは、この仕組みの中で起こる異常収縮で、ふくらはぎの腓腹筋が異常な緊張を起こし、収縮したまま弛緩しない状態になり、激しい痛みを伴います。

筋肉の異常収縮が起こる理由は、2つ考えられます。1つは、神経や筋肉が刺激を受けやすい状態になっていることです。運動などで多量の汗をかいた時は、血液中のナトリウムやカリウムなどの電解質のバランスが崩れ、神経や筋肉が興奮しやすくなります。

もう1つは、筋肉や腱のセンサーがうまく作動しないことで、立ち仕事の後や、久しぶりに運動した後、加齢とともに夜に起こりやすくなる腓腹筋けいれんなどに相当します。足の筋肉が緊張した状態が長時間持続すると、センサーが常に刺激された状態に置かれ、やがてセンサーがうまく働かなくなります。この時に、ふくらはぎに余分な力がかかるとセンサーが過剰に反応し、異常な収縮が引き起こされ腓腹筋けいれんが起こります。

高齢者では、慢性の運動不足のために常に腓腹筋が緊張した状態にあり、少し脚を伸ばしたりふくらはぎを打っただけでも、腓腹筋けいれんを起こすことがあります。

また、寝ている時は脚の温度が低下し、センサーの感度が鈍くなることも理由に挙げらます。布団の重みや重力のため足先が伸びた状態になっていることも、腓腹筋けいれんを起こしやすくします。寝ていて伸びをする時に、かかとを前に出すようにすると少なくなります。

ほとんどの腓腹筋けいれんは病気とは無関係に起こるものですが、健康な人でも夏に多量の汗をかいた時に水だけ飲んで電解質が補給されないと、熱けいれんと呼ばれる腓腹筋けいれんを起こすので危険です。妊娠中のカルシウム不足、下痢によるカリウム不足などでも起こりやすくなります。

利尿剤やある種の漢方薬、民間薬などの薬剤も、電解質バランスを崩すことがあります。アルコール依存症や胃摘出後数年たってからビタミン欠乏によって起こることもあり、近年では、若者の食生活の偏りによるビタミンB1不足によって起こることも増加しています。

腎臓や心臓の病気、糖尿病のほか、ある種の筋肉や神経の病気、甲状腺の病気でも、腓腹筋けいれんが起こりやすくなることがあります。腰椎の変形が原因で、脊髄神経を圧迫するために神経の異常な興奮が起こりやすくなり、腓腹筋けいれんを起こすこともあります。

腓腹筋けいれんの自己治療と医師による治療

頑固な腓腹筋けいれん(こむら返り)や、足以外の筋肉にけいれんが起こる場合は、医師による診察が必要です。こむら返りがひどい時には、筋弛緩薬、抗不安薬、漢方薬などが用いられます。一般的には、ビタミンEを摂取すると効果的といわれています。

スポーツや立ち仕事の後では、筋肉の疲労をとることが予防に大切。血行をよくする意味からスポーツマッサージや指圧などを早めに行い、スポーツドリンクなどで水分と電解質の補給を心掛けます。また、慢性的な腓腹筋けいれんでは運動不足の注意信号と考え、ふだんから脚のストレッチやマッサージをすることが予防になります。寝る前に、軽いストレッチやマッサージをするのもお勧めです。

カリウムやカルシウム、マグネシウムなどの電解質を補給するために、野菜や果物、海藻類、牛乳、小魚などをバランスよく食べることも、予防に役立ちます。ビタミンB1も筋肉代謝には重要な成分といえるので、多くを含む卵や豚肉、ぬか漬けなどを食べるようにします。

予防に心掛けても腓腹筋けいれんが起きてしまった時は、片方の手で痛いところを優しくさすって、もう片方の手で足のつま先をゆっくり顔の方へ曲げるようにして、ふくらはぎの筋肉をよく伸ばします。そうすれば、少しずつ痛みは治まります。

🟥インフルエンザ感染者、2週連続増加 1医療機関当たり11・33人

 厚生労働省は23日、全国約3000の定点医療機関から12~18日の1週間に報告されたインフルエンザの感染者数は計4万3027人で、1医療機関当たり11・33人だったと発表した。前週比1・07倍で、2週連続の増加となった。全国平均で警報レベルとされる1医療機関当たり30人を下回...