2022/08/16

🇰🇷ヘルペス

ヘルペスウイルスの感染で、皮膚や粘膜に疱疹が発生

■ヘルペスの正体

「ヘルペス」とは、「ヘルペスウイルス」というウイルスが皮膚や粘膜に感染して、疱疹(ほうしん)ができる病気のこと。疱疹とは、小さな水疱や膿疱(のうほう)が固まってできる症状のことです。

そのように聞くと少し怖い気もするでしょうが、実は、ヘルペスウイルスはごく一般的なウイルスなのです。唇の回りに水ぶくれができる「口唇ヘルペス」を例にとれば、ウイルスに感染している日本人は、20~30代で約半数、60代以上ではほとんど、というデータもあるほどです。

ヘルペスウイルスの特徴は、感染すると症状が治った後も人の細胞の中にじっと隠れていて、ふだんは症状が出てこない点。ところが、風邪や疲れなどで体の抵抗力が落ちると、突然出てきて暴れ出す。例えば「帯状疱疹」は、子供の頃にかかった水ぼうそうのウイルスが長い間体内に隠れていた後、突然暴れ出してしまう病気なのです。

ただ、一口に「ヘルペス」といっても症状はいろいろ。ヘルペスウイルスにはいくつかの種類があり、それによって引き起こされる病気も違ってくるからです。

主なヘルペスウイルス

                 病     気

水痘・帯状疱疹ウイルス

水痘(水ぼうそう)、帯状疱疹

単純ヘルペスウイル1型

口唇ヘルペス、ヘルペス性歯肉口内炎、ヘルペス性角膜炎、カポジ水痘様発疹症、性器ヘルペス、ヘルペス性脳炎など

単純ヘルペスウイル2型

性器ヘルペス、臀部ヘルペス、ヘルペス性髄膜炎

 

■ヘルペスの気になる症状

………………………帯状疱疹…………………………………

「帯状疱疹」は文字通り、胸から背中にかけてなど、体に帯状の水ぶくれが現れる病気。一般的には体の左右どちらか一方に現れますが、病気などで免疫力が低下している時には、帯状のものに加えて水ぼうそうのような水ぶくれが、全身に出る場合があります。さらに、ウイルスは神経を通って皮膚に出てくるため、激しい痛みを伴うことが多いのも特徴です。

初めの症状は、チクチクした痛み。数日すると、痛みを感じる部分が赤くなって、水ぶくれができてきます。体のどこにでも症状は出ますが、胸から背中にかけてが一番多く、顔や手足、お腹やお尻(しり)の下などに現れることもあります。

痛みが始まってから、かさぶたになって治るまで約3週間~1カ月くらいかかり、痛みもその頃に消えることが多いようです。しかし、たまに「帯状疱疹後神経痛」といって、皮膚の症状が治った後もかなり長期間にわたって痛みが続くことがあるので、注意が必要です。 

………………………口唇ヘルペス……………………………

「口唇ヘルペス」という病名は初耳でも、風邪で体調を崩した時や疲れがたまった時などに、唇の辺りにできるデキモノに悩んだ経験のある人は、多いのではないでしょうか。「風邪の華」、「熱の華」とも呼ばれるこの症状が、実は口唇ヘルペス。日本人の10人に1人が罹患したことがあるといわれるほど、一般的な病気なのです。

初め、唇や口の回りが赤くなり、数日後、小さな水ぶくれができます。ムズムズとしたかゆみや、皮膚のほてり、ピリピリとした痛みを感じることもあります。大抵、水ぶくれは2週間くらいで、かさぶたとなって治癒します。 

………………………性器ヘルペス……………………………

性器やお尻の周辺の皮膚に、赤いブツブツや水ぶくれ、ただれができる病気。通常、性交渉などで感染してから、2日~12日で発症します。

初めてかかった時には、強い痛みや発熱を伴う場合があります。再発の場合には、小さな水ぶくれやただれができるだけの、軽い症状ですむことが多いようです。また、感染しても症状の出ない人や症状に気付いていない人もいるため、自分では気付かないまま、他人に移してしまうこともあります。

■再発しやすい病気

帯状疱疹は一度かかったら、再発することはまれなのですが、口唇ヘルペス・性器ヘルペスの厄介なところは、なんといっても再発しやすいことです。治ったと思っても、ウイルスは神経細胞の中にひっそりと隠れていて、再び暴れ出す機会をじっと待っています。

 再発を防ぐためには、日頃から体調管理や心身のリフレッシュを心掛け、ウイルスに負けない体をつくることが、必要となります。

■ヘルペスの治療法

ヘルペスも、早めの治療が大切です。早い時期に治療を始めるほど、軽い症状ですむし、治りも早いのです。通常、ヘルペスは皮膚科が得意とする病気なのですが、患部が性器の周辺の場合は、男性なら泌尿器科、女性なら婦人科でもよいでしょう。

帯状疱疹の症状では、神経痛に似た痛みが伴うこともあるので、初期の段階では、整形外科や内科にかかる人も多いようです。しかしながら、帯状疱疹は普通、一生に一度しかかからないし、水ぶくれが出ていないと、医師でも診断が難しい病気です。早期に効果的な治療が受けられるように、私たち患者自身が病気の知識をきちんと身に着けておくことも、大切といえそうです。

ヘルペスの治療法の現状について簡単に述べると、ウイルスの増殖を抑える働きがある、バラシクロビル、アシクロビル、ビダラビンなどの「抗ヘルペス薬」が使われています。これらの抗ヘルペス薬には塗り薬と飲み薬がありますが、ヘルペスは体内に潜んでいたウイルスが逆戻りをして症状が起きるため、飲み薬で体のもとからヘルペスウイルスの増殖を抑えることが、有効といわれています。症状がひどい場合には、入院して点滴注射をすることもあります。

口唇ヘルペス・性器ヘルペスの再発の場合、ピリピリ、チクチク、ムズムズといった前兆を感じたら、早めに受診して治療を受けることが、早く治すための近道となります。強い痛みに対しては、鎮痛剤などを投与することもあります。

 ただ、皮膚の帯状疱疹が治った後に残る帯状疱疹後神経痛の場合は、少し状況が違っています。

実は、帯状疱疹後神経痛はヘルペスウイルスによって、神経が破壊されてしまうことが原因。抗ヘルペス薬はヘルペスウイルスが増えるのを抑える薬なので、ヘルペスウイルスが活動していない時期の痛みをとることはできません。一旦、傷付いた神経を治療するのは困難ですし、長期間の治療が必要になってしまうこともあります。だから、帯状疱疹後神経痛が残らないように、できるだけ早く皮膚科で診てもらうことが、帯状疱疹では大切なのです。

■日常生活での注意点

∞∞∞∞∞口唇ヘルペスや性器ヘルペスでは、患部を自分自身で触ることで、他の部位に移してしまう危険もある。ムズムズやピリピリ感が気になって、無意識に触ってしまうこともあるから注意しよう∞∞∞∞∞

∞∞∞∞∞患部に触れた後や、外用薬を塗った後には、しっかり手を洗おう∞∞∞∞∞

∞∞∞∞∞患部に触れた指で目を触らないこと。コンタクトレンズを唾液で濡らして装着しないこと(目に感染して発症する角膜ヘルペスは、失明する危険性があり要注意)∞∞∞∞∞

∞∞∞∞∞水ぶくれは破らないこと∞∞∞∞∞

■治療法の将来について

発症した時の治療に限って抗ヘルペス薬が使われるのが、日本の現状です。一方、欧米では、性器ヘルペスに対して「抑制療法」と呼ばれる治療も、認められています。

抑制療法というのは、頻繁にヘルペスの再発を繰り返す場合に、症状が出ていない時にも抗ヘルペス薬を使用し続けることで、再発を抑えようとする方法。繰り返す再発は、身体的苦痛に加え、人に移すことへの不安など精神的にもさまざまな苦痛を伴います。日本でも抑制療法が許可されれば、このような苦痛や悩みを軽減することもできる、と見なされているところです。  

■ヘルペスQ&A

Q1 私のヘルペスはどこからきたの?

口唇ヘルペスや性器ヘルペスなどを引き起こす単純ヘルペスウイルスは、主に直接接触することで感染します。しかし、感染力が強く、直接患部に触れてなくても、単純ヘルペスウイルスがついたタオルや食器で感染するケースも。従って、家族、恋人など、ごく身近で感染するケースが多く見られます。

一方、帯状疱疹では、子供の頃にかかった水ぼうそうのウイルスが原因。帯状疱疹を人に移すことは、ごくまれなケースです。ただ発症している時に、水ぼうそうになったことがない人と接触すると、相手が水ぼうそうになってしまうことがあるので、要注意。

Q2 再発を繰り返すけど、治らないの?

一般に、口唇ヘルペスや性器ヘルペスは、時間の経過とともに再発の回数や症状の程度が軽くなるといわれています。口唇ヘルペスや性器ヘルペスは体の抵抗力が落ちた時に再発しやすいのが特徴なので、日頃からバランスのよい食事をとり、疲れやストレスをためないことが大切です。また、症状が出た場合は、早めの治療で症状を軽くすることができます。

Q3 タオルやお風呂で移るの?

症状が出ている時期は、皮膚の水ぶくれや唾液中にヘルペスウイルスが存在しているため、注意が必要です。ウイルスがついたタオルや食器などを介して感染することもあるので、共用は避けましょう。お風呂で移る心配はほとんどありませんが、性器やお尻の周囲に症状がある場合は、まれに洋式便座で移ることも。

ただし、過度に神経質にならなくても大丈夫。人から離れたヘルペスウイルスは、熱やアルコール、乾燥、日光(紫外線)などに弱いからです。タオルや食器はよく洗い、便座はアルコールを含んだ布で掃除することです。

Q4 ヘルペスウイルスに対抗する力が弱く、特に気を付けたい人は?

ヘルペスに対する免疫を持っている人は感染しても、症状が出ないか、発症しても軽症ですむことが多いのですが、次のような人はヘルペスに感染すると、重症化しやすいので要注意。ヘルペスを発症している時は、接触をできるだけ避けましょう。 

 ●免疫を持っていない人や新生児

 ●アトピー性皮膚炎の人

 ●白血病、悪性腫瘍、移植手術後など、病気で体の免疫力が落ちている人

■まとめ 

ヘルペスは、誰もが持っているウイルスが原因で起こる、ごく一般的な病気なのです。ただし、感染後すぐに発症する人がいる一方で、一生涯にわたって発症しない人もいます。

とにかく、日頃から心身を健康に保ち、発症した時には早めの治療を開始することで、上手に付き合っていける病気なのです。それに症状が現れたということは、「あなたの体は疲れているよ」という、ヘルペスウイルスからのサインと捉えることもできるのではないでしょうか。

🇰🇵ヘルペス性角膜炎

単純ヘルペスウイルスの感染で起こり、再発を繰り返す眼疾

ヘルペス性角膜炎とは、目の角膜表面に樹枝状の潰瘍(かいよう)ができる疾患。再発を繰り返しながら、表層から深層に炎症が進んでいきます。角膜ヘルペスとも呼ばれます。

角膜とは、黒目の表面を覆う透明な無血管組織で、4つの異なった層からなっています。外界の光が目の中に入る入り口となるとともに、目の屈折力の約7割を担うレンズとしての役割も果たしています。三叉(さんさ)神経が多岐に分布し、知覚が非常に鋭敏であるという特徴があり、厚さ約1ミリながら目の中の組織を守るために膠原線維(こうげんせんい)というとても丈夫な線維組織で作られています。

この角膜は、常に外界と接して空気にさらされているために乾燥したり、ほこりが付いたりします。 そこで、まばたきというまぶたの動きによって、常にその表面を涙で湿らして、ほこりを取り除き、細菌やかび、ウイルスなどの侵入を防いでいます。しかし、目にゴミが入ったり、目を強くこすったり、涙の出る量が少なくて角膜が乾燥したりすると、角膜の表面に傷が付いて、傷口から細菌などが侵入し、感染を起こします。

ヘルペス性角膜炎の原因は、単純ヘルペスウイルスの感染です。ちなみに、単純ヘルペスウイルスは、皮膚の単純疱疹(ほうしん)や、口唇ヘルペス(熱の花)の原因ともなるウイルスです。ヘルペス性角膜炎を発症する時に、単純ヘルペスウイルスが外から感染するのではありません。大部分の人は成人になるまでに、知らない間に感染していますが、あまり発症には至りません。

ほとんどの場合、単純ヘルペスウイルスは感染後、目の奥にあって角膜の知覚をつかさどっている三叉神経節に潜伏感染しています。このいわば眠った状態の単純ヘルペスウイルスがストレスや体調不良、発熱、気温の低下などが引き金となって目覚め、角膜の表面に出てくることによって、ヘルペス性角膜炎が発症します。発症は、30歳代や40歳代で多くみられます。

ヘルペス性角膜炎は、単純ヘルペスウイルスが角膜の表面の上皮で増える上皮型と、単純ヘルペスウイルスが角膜の内部に侵入し、角膜に混濁を生じる実質型に大きく分けられます。

上皮型の症状としては、常に涙が流れ出ている状態となり、まぶしさ、異物感があります。まぶたの裏側から白目の表面を覆っている結膜も、充血してきます。時に痛みを覚えますが、視力の低下は軽度です。眼科医の診断に際して、角膜の上皮を染色すると樹枝状の特徴ある形を見ることができ、これが広がれば地図状の形になることもあります。

実質型では、充血がひどく、角膜が円板状に濁ってしまうために視界がぼやけ、視力がかなり低下します。角膜の深部の感染した細胞を自分自身のリンパ球が攻撃して起こるのが実質型であり、さらに単純ヘルペスウイルスが深部に入ると、ぶどう膜炎を併発し、角膜に穴が空くこともあります。

ほとんどの場合、片目で発生します。また、一度治しても、三叉神経節には単純ヘルペスウイルスが残っており、これがしばらくしてまた角膜に出てくるため、再発を繰り返すという厄介な特徴を持っています。

何度も再発すると角膜全体が混濁して、治療しても視力障害を残す危険性があります。目の感染症の中では、一番失明率が高い疾患ですが、近年、ヘルペス性角膜炎に対して非常に効果を発揮する特効薬であるアシクロビル(ゾビラックス)、バラシクロビル(バルトレックス)が開発され、失明率は低下しました。

他の人に伝染することはあまりないものの、単純ヘルペスウイルスに対して抗体を持っていない乳幼児に対しては、注意が必要です。成人の発症者が自分の目を触った手で、乳幼児に感染させる可能性があります。

ヘルペス性角膜炎は、もともと体に単純ヘルペスウイルスを保有している人がかかり、再発しやすいものです。皮膚に発生するヘルペス感染症と同じく、ヘルペス性角膜炎に対しても、再発するごとに根気強く繰り返し治療していく必要があるといえます。ほうっておくと失明する可能性のある疾患なので、油断は大敵です。少しでも目に違和感があれば、特に一度経験した人は、早めに眼科を受診します。

ヘルペス性角膜炎の検査と診断と治療

眼科の医師は、細隙灯(さいげきとう)顕微鏡で角膜を観察して診断します。上皮型では樹枝状や地図状の潰瘍、実質型では円板状の混濁が診断に役立ちますが、特徴的な所見を示さない場合も多々あります。その場合は、角膜の悪い部位をこすり取ったり、涙を採取したりして、その中に単純ヘルペスウイルスがいないかどうかを調べます。

一般には、単純ヘルペスウイルスを分離するのはごく一部の専門の施設でないと行えないため、ウイルスの持っている蛋白(たんぱく)に反応する抗体を用いた蛍光抗体法や、ウイルスのDNAを検出するPCRという方法が使用されています。

また、ヘルペス性角膜炎では角膜の知覚が低下することが特徴であるため、角膜の表面をナイロン糸などの先で触れて、触れたことがわかるかどうかを検査します。

眼科の医師による治療では、単純ヘルペスウイルスに対する特効薬であるアシクロビル(ゾビラックス)、あるいはバラシクロビル(バルトレックス)の眼軟こうの点入、IDUという薬の点眼を繰り返し行い、二次感染防止のために抗生物質の投与を行います。アシクロビル(ゾビラックス)、あるいはバラシクロビル(バルトレックス)を内服薬として使用することもあります。

実質型では、体の免疫反応を抑えないと混濁がよくならないので、副腎(ふくじん)皮質ステロイド系の点眼薬を併用します。角膜全体が混濁して視力障害が著しい時には、角膜移植を行います。

🇰🇵ヘルペス性歯肉口内炎

単純へルペス1型ウイルスの感染で、乳幼児に起きる口内炎

ヘルペス性歯肉口内炎とは、単純ヘルペス1型が初めて感染することで、口の中に炎症が起きるウイルス性口内炎の一種。へルペス性口内炎とも呼ばれます。

生後6カ月以降から3歳までの乳幼児に多く発症し、口唇ヘルペスと呼ばれる潰瘍(かいよう)が数個から多数まとまって、口や唇、皮膚などに現れます。単純ヘルペスウイルスは、ウイルスを持つ人が洗顔や歯磨き後に使うタオルや、食器、唾液などに触れることで、感染が起こるとされています。ヘルペスウイルスを持っている母親が子供にキスをして、移してしまう場合もあります。飛沫(ひまつ)感染もあります。

単純ヘルペス1型ウイルスに初感染すると、普通は4~10日の潜伏期間をへて発症します。歯茎の炎症や口の中の強い痛み、かなりの高熱、頚部(けいぶ)リンパ節がはれるなどの症状が現れます。口の中に水疱(すいほう)ができ、それが破裂すると、潰瘍となります。歯を磨いた時に、歯茎から出血することもあります。

痛みは5~7日、発熱は2~5日、症状全体は7日〜14日続き、治癒します。

乳幼児がヘルペス性歯肉口内炎になると、口内炎ができる前に口の中がチクチクと痛むので、不快感を訴えて泣きますが、症状が見えないため、親は疾患に気が付かない場合もあります。口内炎になると口の中が痛いために、よだれが増え、食事や水分を受け付けずに、脱水症状になることもあるので、注意が必要です。

また、もともと慢性湿疹(しっしん)があって副腎(ふくじん)皮質ステロイド軟膏を塗っている乳幼児が、このヘルペス性歯肉口内炎にかかった場合、湿疹部にヘルペスウイルスが広がって、ヘルペス性湿疹に進行して重症化しますので、特に注意が必要です。

ヘルペス性歯肉口内炎は乳幼児に多い疾患ですが、成人になってから起こすこともあります。この場合、乳幼児の時に発症するよりも重症になるケースが多くみられます。

ヘルペス性歯肉口内炎の検査と診断と治療

乳幼児がヘルペス性歯肉口内炎(ヘルペス性口内炎)を起こした場合、適切な処置をすれば比較的早くよくなりますので、口腔外科や内科などで治療を受けます。

医師による治療は、単純ヘルペスウイルスを抑えるゾビラックスという抗ヘルペスウイルス剤を1日4回服用で、数日間続けます。発熱やのどの痛みといった症状を和らげるために、解熱鎮静剤や痛み止めの薬、ビタミン剤が使われることもあります。発熱は数日で落ち着きますが、口内炎など症状全体は治るまで1週間~10日ほどかかります。

家庭での食事に関しては、口内の痛みが強く、食べたがらないことが多いので、口当たりのよいプリンやゼリー、アイスクリーム、豆腐などを与えます。何回かに分けて、少量ずつ与えるのも一つの方法です。硬い食べ物、熱い食べ物、あるいは刺激のある味付けは、痛みを強めるので避けます。食後は、ぬるめのお湯やイソジンなどでうがいをし、口の中を清潔にします。

食事ができない時は、脱水症状を起こさないように十分に水分を与えます。牛乳、お茶、イオン飲料などがよいでしょう。食べなくても、水分をしっかりとれていれば大丈夫です。乳酸菌飲料やジュース類は痛みを増すことがあるので、与えないほうが無難です。

唾液などから移りますので、タオル、食器は別にします。入浴は熱がある場合でも、特に具合が悪そうでなければかまいません。

熱が下がって普通の生活ができるようになるまで、学校や幼稚園、保育所などは休み、外出も控えます。完全に治っていないと、他の子供に移してしまう可能性があります。

🇰🇵ブドウ球菌食中毒

ブドウ球菌の作る毒素によって起こる食中毒

ブドウ球菌食中毒とは、黄色ブドウ球菌が食べ物を汚染し、それが増殖して作り出すエンテロトキシンという毒素によって起こる食中毒。

人間の皮膚やのどに広く潜在している黄色ブドウ球菌は、ほとんどの場合、調理する人の手や指を介して食品を汚染します。特に、調理する人の手指に傷や湿疹(しっしん)があったり、傷口が化膿(かのう)しているような場合は、食品を汚染する確率が高くなります。

原因食としては、黄色ブドウ球菌に汚染された牛乳、クリーム、バター、チーズ、かまぼこ、おにぎり、折詰弁当、すし、サンドイッチ、ケーキなどが知られています。エンテロトキシンは熱や乾燥に強いので、すでにこの毒素が作られてしまった食品は、加熱処理をして黄色ブドウ球菌が死滅しても毒素は残存し、食中毒を発症することもあります。

潜伏期間は短く、原因食を食べて3〜5時間くらいで発症します。主な症状は、吐き気、嘔吐(おうと)、下痢、腹痛で、発熱がみられないのが特徴の一つです。軽症の場合は、吐き気、嘔吐のみで下痢は起こさないで終わります。

経過は比較的良好で、一般には1〜2日で軽快します。毒素の量にもよりますが、乳幼児、高齢者、慢性の疾患で衰弱している人などでは、時に嘔吐や水様性の下痢を繰り返し、脱水症状、ショック症状を起こして緊急入院を必要とする場合があります。

ブドウ球菌食中毒の検査と診断と治療

食中毒によって乳幼児、高齢者などの脱水症状が強くなった場合には、内科、消化器科、胃腸科、小児科の専門医を受診します。

医師による診断では、普通、症状だけで診断がつきます。食後3〜5時間くらいの急性の中毒症状がみられたり、同じ食品を食べた他の人にも同様の症状がみられたり、中毒症状の原因が1つの汚染源に絞れるような場合に、ブドウ球菌食中毒が強く疑われます。

診断を確定するには、中毒の原因と疑われる食品を分析して黄色ブドウ球菌を確認することが必要ですが、この分析は普通は行われません。また、嘔吐物を顕微鏡で観察すると黄色ブドウ球菌が確認されることがあります。

毒素型食中毒であるブドウ球菌食中毒は、黄色ブドウ球菌自体が体内に入る感染症ではないため、抗菌剤の投与は不要であり、輸液によりブドウ糖液、リンゲル液などの電解質液、あるいは水を補充して症状の改善を待ちます。

エンテロトキシンは熱や乾燥に強いので、加熱処理をしても予防になりません。そのため、ふだんより手洗いを徹底し、手や指に傷がある人は直接触って調理しないよう注意し、まな板、包丁、ふきんなどはよく洗い、熱湯や漂白剤で殺菌します。調理後は早めに消費するように心掛け、食品を室温で長時間放置しないようにします。

🇱🇷ブドウ球菌性熱傷様皮膚症候群(SSS症候群)

広い範囲の皮膚が赤くはれ、表皮がむける疾患

ブドウ球菌性熱傷様皮膚症候群とは、細菌である黄色ブドウ球菌が産生する毒素が血流を介して全身の皮膚に達し、熱傷のように広い範囲の表皮がむける疾患。SSS症候群とも、SSSSとも呼ばれます。

とびひ(伝染性膿痂疹)も、同じ毒素によって発症しますが、皮膚の一部に水膨れを生じるものです。

多くは、10歳以下の幼児、特に小学校に入る前の乳幼児に、秋から冬にかけて発症します。成人にはほとんどみられないものの、非常に全身状態の悪い人では発症することもあるといわれています。

ブドウ球菌性熱傷様皮膚症候群は、風邪のような症状で始まって37~38度の微熱があり、目や鼻、口の回りに赤みが現れます。1、2日中に赤み部分がびらんし、黄色のかさぶたが付着します。目やにがみられ、口の回りのかさぶたに放射状の亀裂(きれつ)がみられるのが、特徴です。

次いで、首、わきの下、鼠径(そけい)部などに、赤みと容易に破れる大きな水膨れができます。接触痛を伴うため、発症した乳幼児は体に触れられたり、抱いたりされることを嫌がるようになります。

半数弱では、赤みが現れた部位を指でこすると、表皮がずるりと容易にむけ、赤くただれた真皮が現れます。新生児、乳児では、全身の皮膚が真っ赤になることもあります。口の中や陰部などの粘膜は、侵されません。のどは赤くはれ、首のリンパ節がはれます。

約10日後に全身の赤みは消失し、首より手足に向かって皮膚がむけ始め、3~4週で治癒します。経過中に、脱水、食欲不振など全身症状がみられることもあります。

生後1カ月以内の新生児がブドウ球菌性熱傷様皮膚症候群を発症した時には、リッター新生児剥脱(はくだつ)性皮膚炎とも呼ばれ、重症です。脱水症状、敗血症を起こすこともあります。

原因は、のどや鼻の中などに感染した黄色ブドウ球菌が増殖し、産生する表皮剥離性毒素(エクスフォリアチン)が血流を介して全身に送られ、広い範囲の表皮に熱傷様の剥離を起こすことにあります。多くのケースで、ウイルス性上気道炎が引き金になります。

ブドウ球菌性熱傷様皮膚症候群の検査と診断と治療

乳幼児に発熱があり、顔、首、わきの下、またなどが突然赤くなって痛がり、また不機嫌となれば、ブドウ球菌性熱傷様皮膚症候群が疑われます。特に、新生児、乳児では重症になりやすいので、直ちに皮膚科専門医を受診します。

医師による検査では、全身投与する抗生物質の感受性を知るために、原因となる黄色ブドウ球菌の培養を目やに、のど、鼻水などから行います。黄色ブドウ球菌は遺伝子の違いにより、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)とメチシリン感受性黄色ブドウ球菌(MSSA)に分けられます。皮膚にできた水膨れの中には、原因菌はいません。

血液検査では、白血球が増え、CRP(C反応性たんぱく物質)も高くなります。

診断は、皮膚の状態などから比較的簡単です。

治療では、黄色ブドウ球菌によく効く抗生物質を内服するか、点滴注射をします。投薬後5~6日で、皮膚は赤みが減り、痛みも楽になります。次に、皮膚が乾燥してきて、全身の皮が細かくむけ始め、10日ないし2週間ほどで軽快します。

新生児、乳児では重症になることが多いため、原則として入院した上で全身管理を行い、必要に応じて水分を補給する点滴をします。

皮膚が乾いてガサガサになり皮がむけてくると、皮膚に亀裂が入って痛みが出ることがあるので、適切な保湿用軟こうを塗ります。また、解熱したらシャワー、入浴などで皮膚を清潔にします。

🇱🇷舞踏病

自分では抑止できない不随意運動を症状とする疾患

舞踏病とは、自分の意思では抑止できない不随意運動を主な症状とする疾患。パーキンソン病と同様に、中枢神経系統のうち、筋肉の運動や緊張を調整している錐体(すいたい)外路系の大脳基底核の障害によって、起こります。

しかし、パーキンソン病の場合と違って、舞踏病で主として障害される場所は尾状核と抜殻というところですが、大脳基底核の主要な神経伝達物質であるドーパミンの過剰によって、正常な機能が妨げられ、ドーパミンの量を増やしたり、ドーパミンに対する神経細胞の感受性を増加させる薬や疾患によって悪化する傾向があります。また、脳全体が一様に委縮することも特徴の一つです。

発症年齢は中年以後で、自然に体の一部が動いてしまう不随意運動が徐々に始まります。初期のころは肩をすくめたり、顔をしかめたりする程度ですが、次第に両手、両足、胴体にも不随意運動が広がり、文字どおり踊っているように見えます。睡眠中には止まりますが、目が覚めている時は連続的に起こり、起立、歩行も困難となります。精神症状も強く、人格の変化、記憶力の障害、高度の知能低下に陥ります。

この舞踏病は、遺伝性疾患で、難病に指定されているハンチントン病(ハンチントン舞踏病)でも起こります。また、小舞踏病(シデナム病)でも起こります。小舞踏病は一般に小児にみられ、軽い場合には「落ち着きがない」と見られる程度で、見逃されることも少なくありません。原因としては、リウマチ性のものが考えられ、連鎖球菌の感染がその引き金になるといわれています。小舞踏病の特徴は、コントロールできないピクピクした動作で、数カ月間続きます。

舞踏病の検査と診断と治療

舞踏病に根本治療はありませんが、対症療法の一つとして薬剤が用いられます。不随意運動に対しては、レセルピン、ジアゼパムなどの抗不安薬が多少有効です。ほかに、鎮静剤を用いることもあります。

原因が薬剤である場合は、その薬剤を中止すれば改善されますが、必ず舞踏病の症状が消えるとは限りません。ドーパミンの作用を遮断する薬は、不随意運動をコントロールするのに役立ちます。これには、ハロペリドールやフルフェナジンなどの抗精神病薬が含まれています。

抗精神病薬は小舞踏病にも有益で、中には6〜8週間症状が続くケースもありますが、通常は数日で自然に症状が消えます。

🇱🇷ぶどう膜炎

眼球を覆っている、ぶどう膜が炎症を起こす疾患

ぶどう膜炎とは、眼球を覆っている、ぶどう膜の一部あるいは、すべてが炎症を起こす疾患。ぶどう膜とは、虹彩(こうさい)、毛様体、脈絡膜の総称です。

ぶどう膜は、眼球の外膜と内膜に挟まれた中間の層です。この層の膜は外から見えませんが、ぶどうの色をしていて、形も果物のぶどうによく似ており、虹彩、毛様体、脈絡膜の三つの部分で構成されています。

虹彩は、瞳孔(どうこう)の周囲にある色の付いた環状の部分で、いわゆる茶目に相当する部分です。カメラレンズの絞りのように開いたり閉じたりして、眼内に入る光の量を調整します。

>虹彩に続く毛様体は、いくつかの筋肉が集まった部分で、目のピント合わせをします。毛様体が収縮すると、水晶体が厚くなって近くの物に焦点を合わせることができ、毛様体が緩むと、水晶体が薄くなって遠くにある物に焦点を合わせることができます。同時に、毛様体で作られる房水は、眼の内圧を一定に保つのに重要な働きをしています。

脈絡膜は、毛様体の縁から眼球後部の視神経のところまで広がっている部分です。最も血管に富んで色素の多い組織で、網膜を裏打ちして目に栄養を与え、暗室効果を作って目を保護する役割を果たしています。

このぶどう膜の一部、あるいは全体が炎症を起こすのが本症ですが、炎症がぶどう膜の一部に限定されている場合は、その場所によって前部ぶどう膜炎、中間部ぶどう膜炎、後部ぶどう膜炎と呼ばれます。ぶどう膜全体に及ぶ炎症は、びまん性ぶどう膜炎、もしくは全ぶどう膜炎と呼ばれています。

また、ぶどう膜炎は、炎症を起こしている部位によって虹彩炎、脈絡膜炎、網膜脈絡膜炎と呼ばれることもあります。網膜脈絡膜炎は、脈絡膜とその上の網膜の両方に及ぶ炎症です。普通、片側の目だけに炎症が出ますが、両目に出ることもあります。

ぶどう膜に対する過剰な自己免疫反応や、細菌、ウイルス、真菌(かび)などによる感染が原因となることがありますが、原因を特定できないこともしばしばで、特発性ぶどう膜炎と呼ばれます。

昔から有名なぶどう膜炎として、ベーチェット病、サルコイドーシス、原田病が挙げられ、三大ぶどう膜炎と呼ばれています。三大ぶどう膜炎はいずれも、目ばかりでなく、それぞれの疾患に特徴的な全身症状が認められます。サルコイドーシス、原田病は自己免疫系の異常が原因で発症し、ベーチェット病は原因不明で、ウイルス説、アレルギー説、自己免疫説などが考えられています。

ぶどう膜炎の初期症状は、軽度のものから重いものまでさまざまで、炎症の部位や程度によって異なります。

前部ぶどう膜炎は最も症状が激しく、目の激しい痛み、結膜の充血、明るい光に対して過敏になる、視力の低下などが特徴的です。医師の検査においては、瞳孔が収縮し、虹彩付近の結膜の上に血管が浮き出す、眼の前部を満たしている液体の中に白血球が浮遊する、角膜の裏面に白血球が沈着するといった所見がみられます。

中間部ぶどう膜炎は普通、痛みがありません。視力の低下、視界に黒く不規則な形の点が浮遊する飛蚊(ひぶん)症などの症状がみられます。

後部ぶどう膜炎では、視力が下がることが多く、飛蚊症もよくみられます。そのほか、網膜剥離(はくり)、視神経の炎症などがみられます。網膜剥離の初期症状として、視界がぼやけることもあります。視神経の炎症では、小さな視野欠損から完全な失明までさまざまな視力障害を生じます。

炎症が全体に及ぶ、びまん性ぶどう膜炎では、上記の症状の一部または全部が現れます。

ぶどう膜炎では、目が急速に障害されることがあります。黄斑(おうはん)部のはれ、緑内障、白内障といった合併症が長期間に渡って続き、視力を低下させることもあります。ぶどう膜炎は発症しても1回きりのことが多いのですが、中には数カ月から数年の間に再発する人もいます。

検査と診断と治療

ぶどう膜炎では、一般的な眼科の検査に加え、必要に応じて、造影剤を注射して眼底の写真を撮り、炎症がどのような形で起きているかを確認するために、蛍光眼底造影検査、またはICG赤外線眼底造影検査が行なわれます。

また、ほかの臓器にも影響を及ぼすような病気が疑われる場合は、血液検査、胸部X線検査、免疫の反応をみる一つとしてツベルクリン反応などの全身検査が行なわれて、原因の究明や治療効果の判定をします。

ぶどう膜炎の治療は、目に永久的な障害が出るのを防ぐため、早期に開始する必要があります。治療の中心は、炎症を鎮めるためのステロイド薬の点眼や内服、あるいは点滴です。ステロイド薬をやめた時には、非ステロイド性抗炎症薬が用いられます。

ぶどう膜炎の原因を治療する目的で、他の薬が使われることもあります。例えば、感染症が原因の場合は、感染源である細菌、ウイルス、真菌などの病原微生物を除去するための薬が処方されます。

虹彩は水晶体と癒着しやすいので、これを防止するための治療も同時に行われます。瞳孔を広げる点眼薬を用いて、虹彩が癒着するのを防ぐとともに、虹彩と毛様体のうっ血を解消して、安静を保ち痛みを和らげるようにします。

目の奥の炎症が強い場合は、ステロイド薬や免疫抑制薬の全身投与が行われます。ステロイド薬の全身投与の場合、症状の改善に伴って徐々に量を減らしていくので、ある程度長期戦となります。自覚症状が改善したからといって、自己判断による急激な減量や中止は、かえって炎症を再燃させ、長引かせる危険があります。また、ホルモンの一種であるステロイド薬は、最も効果的かつ副作用を少なくするため、朝に多く、夕方に少なく服用するようにします。

免疫抑制薬の中には、同じ量を内服しても人によって効き目が違うものもあり、治療に有効な薬の量を決めるために、血液中の薬の濃度を測定しなくてはならない場合もあります。副作用のチェックのためにも、定期検査は重要です。

なお、ぶどう膜炎は再発することもある疾患で、特に過労やストレスが再発の誘引になることがあります。日ごろから規則正しい生活を心掛け、心身ともに十分な休養を取ることが大切です。

万一、ぶどう膜炎と診断された時は、症状の経過や治療内容をよく書き留めておき、転居などで通院する医療機関が変わった場合でも、スムースに治療を引き継げるようにしておくことが望ましいといえます。

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