2022/08/16

🇵🇦慢性甲状腺炎(橋本病)

■甲状腺の病気の一つで、女性に多発

慢性甲状腺(せん)炎は、喉頭(こうとう)の前下部にある甲状腺に慢性の炎症が起きている病気で、橋本病とも呼ばれている自己免疫性疾患です。九州大学の橋本策(はるか)博士が明治45年、ドイツの医学誌に初めて発表した病気で、世界的にも有名なものです。

内分泌腺の一つである甲状腺に、慢性のリンパ球の浸潤による炎症があるために、甲状腺が腫大(しゅだい)したり、甲状腺機能に異常が起こります。男性の20倍と女性のほうが圧倒的に多くかかり、よく調べると、女性の10~20人に1人の割合でみられるほど、頻度の高い病気だということがわかってきました。

例外はありますが、慢性甲状腺炎の発症者は大なり小なり、甲状腺がはれています。ただし、この内分泌腺の一つである甲状腺のはれが、首や喉(のど)に何か症状を起こすというようなことはありません。まれに甲状腺のはれがなく、委縮している場合もあります。

慢性甲状腺炎では、甲状腺のホルモン状態の違いから次の3つのケースに分けられ、甲状腺ホルモンの過不足があるケースにだけ症状がみられます。

●甲状腺ホルモン濃度がちょうどよいケース(甲状腺機能正常)

慢性甲状腺炎(橋本病)であっても、大多数の人は甲状腺ホルモンに過不足はありません。この場合は、病気が体に影響するということは全くありませんので、何か症状があっても甲状腺とは関係ありません。従って、治療の必要はありません。

しかしながら、将来、甲状腺の働きが低下して、ホルモンが不足することがあります。また、まれですが一時、甲状腺ホルモンが過剰になることもあります。

●甲状腺ホルモンが不足しているケース(甲状腺機能低下症)

甲状腺ホルモンが減少する病気の代表が、慢性甲状腺炎(橋本病)です。慢性甲状腺炎も甲状腺臓器特異性自己免疫疾患の一つで、体質の変化により、甲状腺を異物と見なして甲状腺に対する自己抗体(抗サイログロブリン抗体、抗マイクロゾーム抗体)ができます。

この抗体、すなわち浸潤したリンパ球が甲状腺を破壊していくため、甲状腺ホルモンが減少し、徐々に甲状腺機能低下症になっていきます。痛みもなく、本人の知らないうちに、少しずつ甲状腺が腫大します。

甲状腺ホルモンは体の新陳代謝に必要なホルモンですので、不足が著しかったり長く続いたりすると、下のような症状が現れます。自覚症状はないこともありますが、コレステロールの値が高くなったり、血圧が上がったり、心臓や肝臓の働きが悪くなることもあります。

 *顔や手足がむくむ   *食べないわりに体重が増える   *気力が低下する   *動作が鈍くなる   *皮膚が乾燥する   *声がかすれる   *寒がりになる   *始終、眠い   *毛髪が薄くなる   *物忘れがひどくなる   *ろれつが回らなくなる   *その他(便秘、貧血、月経過多)

これらの症状は他の原因でも起こりますから、こうした症状があるからといって甲状腺のホルモンが足りないとは限りません。

また、甲状腺機能低下症であっても、適量の甲状腺ホルモン剤を服用して血液のホルモン濃度が正常になっている場合は、何か症状があれば、他のことが原因です。

なお、「甲状腺機能低下症になると回復しない」といわれていましたが、数カ月のうちによくなることも少なくありません。

●甲状腺ホルモンが一時的に過剰になるケース(無痛性甲状腺炎)

甲状腺にたくわえられている甲状腺ホルモンが血液中にもれ出て、血中濃度が高くなることがあります。ふだん、甲状腺の働きが正常な人に、比較的急に起こります。お産をした後数カ月以内に、ことによくみられます。バセドウ病(甲状腺機能亢進症)と間違われることもあります。

このケースは炎症が原因ですが、痛みがないので「無痛性甲状腺炎」といいます。長くても4カ月以内には自然に治りますが、その後、逆に甲状腺ホルモンが不足して、甲状腺のはれが大きくなることがあります。これも大抵は数カ月で治りますが、中には長く続いて甲状腺ホルモン剤の内服治療が必要になる人もあります。

●その他のケース

非常にまれですが、途中でバセドウ病に変化することがあります。血縁にバセドウ病の人がいる場合は、他の人よりなりやすい傾向があります。

悪性リンパ腫の中には甲状腺から発生するものがあり、慢性甲状腺炎(橋本病)の人は一般の人よりこうしたことが起こりやすいのですが、甲状腺から発生するものは治療に大変よく反応し、治りやすいという特徴があります。

■診断と治療法

●血液検査や細胞診

触診や超音波検査で、びまん性甲状腺腫を確認します。血液検査では、甲状腺自己抗体である抗サイログロブリン抗体と抗甲状腺ペルオキシダーゼ抗体の2つが陽性になります。

自己抗体が陰性の人でも、甲状腺の生検や細胞診でリンパ球浸潤を認めれば、診断が確定されます。甲状腺機能(FT3・FT4・TSH)は正常の人が多いですが、甲状腺機能低下症になっている例もあります。

●甲状腺ホルモン剤の服用

慢性甲状腺炎(橋本病)の発症者で甲状腺の腫大が小さく、甲状腺機能も正常の場合は、治療は必要ありません。

甲状腺機能の低下がある場合には、不足している甲状腺ホルモン剤(チラージンS錠)を毎日内服します。はれも小さくなります。

甲状腺の腫大がひどい場合は、手術で甲状腺を切除する場合もあります。

●日常生活と食事

甲状腺ホルモンに過不足がなければ、生活上、留意することはありません。

食事も、ふだんどおりでけっこうです。海草類も普通に食べてかまいませんが、昆布を毎日食べたり、ヨードを含むうがい薬を毎日何度も使うと、甲状腺機能が低下することがあります。

海草に多く含まれるヨードは甲状腺ホルモンの原料ですが、慢性甲状腺炎(橋本病)の人の一部に、ヨードを取り過ぎると甲状腺ホルモンが作れなくなる人がいるからです。なお、甲状腺ホルモン剤を服用している人は、問題ありません。

🇵🇦慢性骨髄性白血病

未熟な細胞である白血病細胞が骨髄の中で増殖し、正常な血液細胞の増殖が抑えられる疾患

慢性骨髄性白血病とは、未熟な細胞である白血病細胞が骨髄の中で異常に増殖するため、正常な血液細胞の増殖が抑えられてしまう疾患で、ゆっくりと進行するもの。CML(Chronic Myelogenous Leukemia)とも、慢性顆粒(かりゅう)球性白血病とも呼ばれます。

血液のがんともいわれる白血病を発症すると、未熟な白血病細胞が骨髄を占領するために正常な血液を作る能力が障害され、赤血球、白血球、血小板が減少してきます。そのため、赤血球の減少による貧血、白血球の減少による感染、血小板の減少が原因となって出血が起こったりします。また、白血病細胞が血流に乗って全身の臓器に浸潤してその働きを障害し、肝脾腫(かんひしゅ)、リンパ節の腫大、骨痛、歯肉の腫脹(しゅちょう)などいろいろな症状を起こし、生命を脅かします。

白血病は、疾患の進行の速さと、がん化する細胞のタイプによって、急性骨髄性白血病(AML)、急性リンパ性白血病(ALL)、慢性骨髄性白血病(CML)、慢性リンパ性白血病(CLL)という4つのグループに大別されます。急性白血病は急速に進行し、慢性白血病はゆっくりと進行します。骨髄性白血病では、好中球、好塩基球、好酸球、単球を作る骨髄性(顆粒球性)の細胞ががん化します。リンパ性白血病では、リンパ球やリンパ球を作るリンパ性の細胞ががん化します。

また、急性白血病では未熟な白血病細胞のみ増加しますが、慢性白血病では未熟な白血球から正常細胞に見える成熟細胞まで、いろいろな成熟段階の細胞が増加します。慢性骨髄性白血病では、骨髄および末梢(まっしょう)血液中に白血球の一種である顆粒球が異常に増加します。

急性と慢性に大別される白血病の原因は不明ですが、放射線被曝(ひばく)やある種の染色体異常、免疫不全症がある場合に、発症頻度が高いことが知られています。

白血病全体のうち、慢性白血病が約4分の1を占め、4分の3が急性白血病です。慢性白血病のほとんどは慢性骨髄性白血病で、慢性リンパ性白血病はわずか数パーセントといわれています。慢性白血病は、主として成人に発症します。

慢性骨髄性白血病は、いつ発症したのかはっきりしないことが多く、また、ゆっくりと進行します。いわゆる遺伝性のものではなく、子孫への影響はありません。通常、疾患の進展に伴い、慢性期、移行期、急性転化期に分けられます。

すべての遺伝子は細胞の中にある46本の常染色体と、2本の性染色体に存在していますが、慢性骨髄性白血病ではほとんどの場合で、9番染色体と22番染色体が途中で切断され、それぞれ相手方の染色体と結合する異常が認められます。この異常な染色体をフィラデルフィア染色体と呼んでいます。

この結果、新たにBCRーABLと呼ばれる異常な遺伝子が形成されます。この遺伝子からBCRーABL蛋白(たんぱく)質が産生され、これが慢性骨髄性白血病の発生原因と考えられます。しかし、どのような原因によってフィラデルフィア染色体が形成されるのかは、わかっていません。

慢性骨髄性白血病の慢性期では、全身のだるさ、体重減少、皮膚のかゆみなどのほかに、肝臓あるいは脾臓の腫大による腹部膨満感を自覚することがあります。そのほか、胃潰瘍(かいよう)を合併することもあります。

しかし、自覚症状がない段階で、健康診断やほかの疾患の検査で偶然に発見されることも少なくありません。

 急性転化期では、動悸(どうき)、息切れ、全身のだるさなどの貧血症状、皮下出血、鼻血、歯肉出血などの出血症状、発熱などの感染症状のほか、関節痛、骨痛などが現れる場合があります。

 慢性骨髄性白血病の発症はやや男性に多く、すべての年齢層に起こり得ますが、40歳から50歳前後に多くみられます。 発症の頻度は、100万人に5人です。

慢性骨髄性白血病の検査と診断と治療

内科、血液内科の医師による診断では、血液検査、骨髄検査を行います。正常なら骨髄の中だけにある未熟な白血球が、骨髄だけでなく血液の中でも多数認められ、血小板も増加しています。また、骨髄では未熟な赤血球が極端に減少し、対照的に白血球が充満しています。

 染色体を検査すると、特殊な染色体であるフィラデルフィア染色体が大部分の症例で見付かり、診断の決め手となります。

慢性骨髄性白血病の治療では、急性白血病のように強力な化学療法は行わず、外来で経口投与する抗がん剤によって、血液中の白血球数を抑えて、コントロールします。化学療法の進歩によって、ほぼ100パーセントの症例で寛解(かんかい)させることができますが、最後は急性白血病に変わっていくことが少なくありません。

慢性骨髄性白血病には近年、画期的な分子標的薬剤のグリベック(イマチニブ)が開発されました。グリベックはフィラデルフィア染色体上にある、この疾患の原因遺伝子のBCRーABLが産生するチロシンキナーゼの働きを特異的に阻害する薬剤。経口で投与でき、副作用が比較的軽度なので、外来で治療可能です。しかし、グリベックのみで完治することは難しいと考えられており、効果がある場合でも、長期間に渡って服用を続けることが必要とされています。

グリベックが効かない場合や、副作用によりグリベックを続けることができないケースなどで、ダサチニブ(スプリセル)、ニロチニブ(タシグナ)といった新薬も使われるようになってきています。

通常では50歳以下の年齢であること、白血球の型が一致したドナーがいることなどの条件が整えば、造血幹細胞移植が選択肢の一つとなります。治癒をもたらし得ることがわかっている唯一の治療法ですが、移植に伴う合併症の危険についても十分に考慮する必要があり、その適応は慎重に検討されなければなりません。

発症者には比較的高齢者が多いため、移植時に行う前処置の治療毒性を軽減した非破壊性造血幹細胞移植も試みられています。

🇦🇷慢性骨髄増殖性疾患

骨髄の働きが病的に盛んになり、赤血球、白血球、血小板が増加する慢性疾患

慢性骨髄増殖性疾患とは、骨髄の働きが病的に盛んになって、赤血球、白血球、あるいは血小板が増加する疾患の総称。

全身を巡る血液中には、酸素を運ぶ役割をする赤血球や、感染防御をする白血球、出血を止める働きをする血小板という血液細胞が含まれています。これらの赤血球、白血球、血小板は、骨の中心にあるゼラチン様の骨髄で造られ、血液中で一定の数に保たれています。感染や出血などの体の変化に対応して、赤血球などの数値は変化することもありますが、体が正常に戻ると数値も正常化します。

しかし、骨髄の働きが病的に盛んになって、赤血球、白血球、あるいは血小板が増加することがあり、慢性骨髄増殖性疾患を生じます。

骨髄の細胞が増殖するという意味で、急性白血病を骨髄増殖性疾患の急性型に入れたり、骨髄の異形成の増殖という点で骨髄異形成症候群も骨髄増殖性疾患に含める場合もあります。一般的には、慢性の経過をたどるものを総称して慢性骨髄増殖性疾患と呼んでいます。

この慢性骨髄増殖性疾患には、慢性骨髄性白血病、真性多血症、本態性血小板血症、特発性骨髄線維症などが属しています。日本における慢性骨髄増殖性疾患の発症頻度は明らかではないものの、100万人当たり数人で、アメリカと同程度と考えられます。

慢性骨髄性白血病は、血液のがんともいわれる白血病が緩やかに進行する疾患で、未熟な細胞である造血細胞(白血病細胞)が骨髄の中で異常に増殖するため、正常な血液細胞の増殖が抑えられてしまい、血液において白血球や時に血小板が増加します。主として成人に発症し、いつ発症したのかはっきりしないことが多く、また、ゆっくりと進行します。貧血、体のだるさ、脾臓(ひぞう)あるいは肝臓部のしこりを生じます。

真性多血症では、赤血球の増加が著しくなることにより、顔が赤ら顔となります。白血球に含まれるヒスタミンという物質などの放出によって、全身にかゆみが生ずる場合もあります。多くの場合、自覚することはないものの、脾臓がはれています。

本態性血小板血症は、血小板が著しく増加することが特徴で、増加する血小板の働きが高進する場合と低下する場合があり、それぞれ血栓症や出血症状が現れることがあります。血管が詰まることによっていろいろな症状が発生し、痛みや冷感を伴ったり、紫斑(しはん)と呼ばれる青あざなどが生じます。

特発性骨髄線維症では、骨髄の線維化によって造血が正常に行われず、脾臓や肝臓などの骨髄以外のところでの髄外造血によって血液が造られるようになります。疾患の進行によって貧血が生じたり、脾臓がはれることにより腹部が張ったりする症状が出ることがあります。

これらの慢性骨髄増殖性疾患では、全く症状のない場合もあります。赤血球、白血球、血小板の算定は、採血さえすればどこででもできる簡単な検査なので、健康診断や病院を受診した際の血液検査の結果、異常値によって慢性骨髄増殖性疾患が疑われることもあります。

慢性骨髄増殖性疾患の検査と診断と治療

内科の医師による診断では、慢性骨髄性白血病が疑われた場合、血液検査、骨髄検査を行います。正常なら骨髄の中だけにある未熟な白血球が、骨髄だけでなく血液の中でも多数認められ、血小板も増加しています。また、骨髄では未熟な赤血球が極端に減少し、対照的に白血球が充満しています。染色体を検査すると、フィラデルフィア染色体という特殊な染色体が大部分の症例で見付かり、診断の決め手となります。

真性多血症が疑われた場合、放射性同位元素や色素などにより循環赤血球量を測定したり、動脈の酸素濃度を調べたり、超音波検査などによって、脾臓がはれているかどうかを調べます。

本態性血小板血症が疑われた場合、特異的な検査法がないため、慢性骨髄性白血病などのほかの慢性骨髄増殖性疾患を除外し、がんや鉄欠乏性貧血や各種の感染症などによる二次性の血小板増加症との鑑別を行います。

特発性骨髄線維症が疑われた場合、骨髄穿刺(せんし)によって骨髄液を採ろうとしても線維が増えているために十分に採ることができないため、骨髄の組織の一部を採取して調べる生検により骨髄の線維化を証明することで確定します。骨髄の線維化は、白血病や悪性リンパ腫、あるいはがんの骨髄転移によっても起こり、膠原(こうげん)病や結核などが原因になる場合もあるので、これらの疾患を除外する必要があります。

特発性骨髄線維症の初期段階では、若い細胞が血液に出てきたり、普通はみられない変形したものがみられたりするため、慢性骨髄性白血病と血液検査のデータが類似し、判別が難しいことがあります。慢性骨髄性白血病と判別するためには、骨髄生検の結果のほかに、フィラデルフィア染色体およびBCR/ABL遺伝子を認めないこと、一般的に好中球アルカリフォスファターゼ活性が低下しないことが重要になります。

慢性骨髄増殖性疾患を治すことは困難ですが、検査値を正常に近付けるような治療により、合併症もなく外来通院で長い間、普通の日常生活を送ることが可能です。

内科の医師による慢性骨髄性白血病の治療では、急性白血病のように強力な化学療法は行わず、外来で経口投与する抗がん剤によって、血液中の白血球数を抑えて、コントロールします。化学療法の進歩によって、ほぼ100パーセントの症例で寛解(かんかい)させることができますが、最後は急性白血病に変わっていくことが少なくありません。

慢性骨髄性白血病には近年、画期的な分子標的薬剤のグリベックが開発されました。グリベックはフィラデルフィア染色体上にある、この疾患の原因となるBCR/ABL遺伝子が産生するチロシンキナーゼの働きを特異的に阻害する薬剤。経口で投与でき、副作用が比較的軽度なので、外来で治療可能です。しかし、ドナーのある場合は、骨髄移植が依然として治癒を狙う第1選択の治療戦略です。

真性多血症の治療では、赤血球数の増加により血管が詰まって血栓症が生じたり、心不全になる可能性があるため、初診時の検査値によっては、点滴で水分を補給しながら200~400mlくらいの採血を繰り返す瀉血(しゃけつ)を行うことがあります。ヘマトクリット(血液中の赤血球成分の割合)を45パーセントくらいに保つことによって、血栓症や出血による症状を防ぐことができますので、多くの場合は、瀉血をする場合でも、同時に経口剤を併用したり、注射をして赤血球の産生を抑え、赤血球数をコントロールします。

これらの治療は検査値を見ながら行いますので、必ずしも長期間続けるわけではなく、断続的に繰り返すことがよくあります。

本態性血小板血症の治療では、血小板数を減らすために経口剤や点滴注射を行います。また、機械により自動的に採血した血液を遠心し、血小板のみをとり除いて再び体に戻すような成分採血による血小板除去を行うこともあります。血小板の機能を抑えるために、血小板凝集抑制作用のある薬剤を併用することもあります。これらの治療を断続的に繰り返したり継続しながら、血小板数をコントロールします。

特発性骨髄線維症の治療では、根本的な治療法はまだ確立されていないため、専ら対症的に治療を行うことになります。症状に応じて、経口抗がん薬の投与や輸血療法などが選択され、条件が整えば、治癒を目的として行われる唯一の方法である造血幹細胞移植も考慮されます。

白血球や血小板の増加が著しく、脾臓のはれが目立つ場合に、メルファラン(アルケラン)、ハイドロキシウレア(ハイドレア)などの経口抗がん薬が使用されます。脾臓のはれのための圧迫感や痛みがある場合には、手術による脾臓の摘出や脾臓への放射線治療なども考慮されます。貧血や血小板減少が進行した場合には、輸血療法が行われます。

通常では50歳以下の年齢であること、白血球の型が一致したドナーがいることなどの条件が整えば、造血幹細胞移植が選択肢の一つとなります。しかし、移植に伴う合併症の危険についても十分に考慮する必要があり、その適応は慎重に検討されなければなりません。発症者には比較的高齢者が多いため、移植時に行う前処置の治療毒性を軽減した非破壊性造血幹細胞移植も試みられています。

経過はさまざまなものの、約15〜20パーセントの発症者では、急激に悪化して急性白血病などに移行します。この場合は治療が極めて難しく、予後不良です。

🇦🇷慢性再発性アフタ

口腔粘膜に円形、あるいは楕円形の浅い潰瘍ができるアフタ性口内炎が再発を繰り返す疾患

慢性再発性アフタとは、単純にアフタとも呼ばれるアフタ性口内炎が再発を繰り返す疾患。再発性アフタ、再発性アフタ性口内炎とも呼ばれます。

アフタ性口内炎は、口腔(こうくう)粘膜に、1センチまでの円形あるいは楕円(だえん)形の浅い潰瘍(かいよう)であるアフタができる疾患で、このアフタが1個できる場合もあれば、多数できる場合もあります。唇や頬(ほお)の内側の粘膜、舌、歯茎など、どこにでもできます。

アフタの表面は白色や黄色がかった白色をしており、中央は少しくぼみ、クレーターのような形をしています。アフタの縁は周囲の粘膜よりも赤く、物が触れたりすると強く痛みます。

通常は1週間から2週間程度で、自然に完治します。発熱や全身倦怠(けんたい)感などの全身症状は伴いません。

このアフタ性口内炎が再発を繰り返す慢性再発性アフタの場合は、7~10日ぐらいで跡を残さず自然に治りますが、また再発します。年に数回から月に1度程度の頻度で、再発することもあります。

何もしなくても痛く、また強い接触痛があります。複数個所にアフタ性口内炎が生じる重度のものでは、痛みのあまり摂食不能になることもあります。

慢性再発性アフタは、20~30歳代に多く生じ、女性のほうが多いといわれています。

アフタ性口内炎そのものの原因は、まだ不明です。過労、精神的ストレス、胃腸障害、ビタミン不足、ウイルスの感染、女性では妊娠、月経異常といった内分泌異常などが誘因になります。

ベーチェット病が、慢性再発性アフタで始まることがあり、目や外陰部にも潰瘍のできている時は注意が必要です。ベーチェット病は、原因不明の膠原(こうげん)病類縁疾患で、目のぶどう膜炎に加えて、口腔粘膜のアフタ性潰瘍、皮膚症状、外陰部潰瘍を主症状とし、血管、神経、消化器などの病変を副症状として、急性炎症性発作を繰り返すことを特徴とします。

慢性再発性アフタによる痛みが強い場合は、口腔内科、口腔外科、歯科口腔外科を受診するのがよいでしょう。何度も再発を繰り返す場合は、ベーチェット病などの全身的な疾患の部分症状ということも考えられますので、眼科、皮膚科、内科などを受診しておいたほうがよいでしょう。

慢性再発性アフタの検査と診断と治療

歯科口腔外科、内科などの医師による診断では、原因となる誘因の検査を行い、口腔内の炎症部位、炎症状態の観察を行います。アフタが何度も再発を繰り返す場合は、ベーチェット病なども考えて、血液検査や免疫学的検査を行います。

歯科口腔外科、内科などの医師による治療では、ステロイド剤(副腎〔ふくじん〕皮質ホルモン)の入ったケナログ軟こう、アムメタゾン軟こうや貼(は)り薬をアフタのできている部位に使います。

貼り薬は軟こうと異なり、シールを貼るように潰瘍面を被覆保護するため、貼ることが可能な部位にアフタがあって個数が少ない場合はとても有効であり、食事時の痛みが劇的に減少します。

アフタの個数が多い場合や、口の奥にできた場合には、ステロイド剤の入った噴霧剤、うがい剤なども使います。

予防としては、過労、精神的ストレス、胃腸障害などの誘因となるものを避けるようにします。うがいをして、いつも口内を清潔に保つことも大切です。

🇦🇷慢性色素性紫斑

下肢に点状の紫斑ができ、慢性化して褐色調の色素斑ができる皮膚疾患

慢性色素性紫斑(しはん)とは、点状の紫斑が主に下肢にたくさんでき、慢性化するうち、次第に褐色調の色素斑をみるようになる皮膚疾患。特発性色素性紫斑とも呼ばれます。

中年以降の人に好発し、やや男性に多くみられます。時に小児、若年者にもみられます。皮膚に出血がみられますが、血液学的に異常はなく、内臓などの全身臓器からの出血はありません。予後も心配ありません。

いくつかの型があります。不規則な斑(まだら)ができるシャンバーグ病、環状の斑ができる血管拡張性環状紫斑(マヨッキー紫斑)、丘疹(きゅうしん)状の皮疹をみる色素性紫斑性苔癬(たいせん)様皮膚炎(グージュロー・ブルム病)、かゆみの強い瘙痒(そうよう)性紫斑などです。

いずれも真の原因は不明ながら、微小循環障害と血管壁の弱さが関係するものと考えられます。症状の違いが何によるのかは、今後の解明を待たねばなりません。シャンバーグ病の原因については、うっ血による静脈内圧の高進や毛細血管を脆弱(ぜいじゃく)化する要因が存在するという説などがあります。また、何らかの遅延型過敏反応であるという説もあり、衣類の接触、扁桃(へんとう)炎などからの病巣感染、ある種の薬剤の関与などを指摘する報告などがあります。

慢性色素性紫斑は基本的に下肢、特に下腿(かたい)の裏側が好発部位で、おおかたは両脚に発症します。点状の紫斑で始まり、毛細血管が拡張し、次第に進行して大小の紅褐色の斑となります。大きくなると、辺縁は不規則な形になりますが、境界は明白です。色はやがて薄れてゆきますが、しばしば新生を繰り返して慢性化し、数年に渡ることもあります。紅褐色の斑が大腿、腰臀(ようでん)部へと拡大することもあります。

表面は平滑ですが、時にはカサカサしている場合もあり、かゆみを伴うこともあります。シャンバーグ病では、斑と斑の間に拡張した静脈あるいは静脈瘤(りゅう)の存在が認められることがあります。

慢性色素性紫斑に気付いたら、疾患を正しく把握するためにも、皮膚科、ないし皮膚泌尿器科の医師に相談してみることが勧められます。

慢性色素性紫斑の検査と診断と治療

皮膚科、ないし皮膚泌尿器科の医師による診断では、出血傾向の一般検査を行ない、血液学的に異常をみないことを確認します。組織を病理検査すると、慢性的な出血性の炎症がみられます。病変部は明らかな色素の沈着を残すので、診断は比較的容易です。

積極的な治療の必要はありません。症状の程度によって、血管強化剤、止血剤、抗炎症薬などが使用されます。病因を絶つ根本治療ではなく、対症的治療にとどまります。副腎(ふくじん)皮質ホルモン剤(ステロイド剤)の外用が有効なことがあります。静脈瘤を伴う例には、弾力包帯、弾力ストッキングを使用します。

慢性かつ進行性で一進一退を繰り返し難治性ですが、自然軽快もあり得ます。

衣類の接触とともに、使用中の薬剤などが疾患を悪化させているかどうかを観察し、日常生活の中で関係していると思われるものがあれば、それを避けるようにします。下肢の血液の循環に負担をかけないように心掛けることが大切で、長時間の歩行、立ち仕事などは避けるようにします。

🇸🇷慢性腎炎

血液を、ろ過する糸球体に起こる炎症

腎炎(じんえん)とは、尿を作るために血液を、ろ過する糸球体(しきゅうたい)に、出血性の炎症が起きる疾患です。正確には、糸球体腎炎といいます。

免疫の異常が関係して起こると考えられており、左右の腎臓とも平等に侵されます。病気が進行すると、毛細血管の塊である糸球体だけではなく、尿細管まで障害が広がります。腎臓病のうちで最も多い病気で、一般に1年以内のものを急性(糸球体)腎炎といい、それ以上長く続くものを慢性(糸球体)腎炎といいます。

慢性腎炎の症状と早期発見法

慢性(糸球体)腎炎は、腎臓病の中で最も多い疾患。糸球体を中心にした慢性の炎症がみられるもので、さまざまな原因で起こる腎炎が含まれているために、近年では、疾患群(症候群)として考えられるようになっています。

いずれにしても、蛋白尿や血尿とそれに伴う症状が1年以上に渡って、持続する状態を、慢性腎炎と呼びます。ただし、糸球体腎炎以外で、異常尿所見や高血圧を呈する病気は除きます。

この慢性腎炎では、何ら前兆や誘因もなく発症してくることが多く、また進行して腎不全となるまでは、自覚症状のないことが多いのです。そのため、定期健診の時などに検尿で見付かることがほとんどです。

まぶたが腫(は)れぽったくなるほか、疲れやすい、食欲不振、動悸(どうき)、手足のしびれ、目がチカチカする、吐き気、嘔吐(おうと)といった症状が出る場合もあります。

この慢性腎炎は、腎臓の組織の一部を採取し、顕微鏡で調べる腎生検によって、4種類に分けることができます。蛋白尿と血尿が出るという症状は共通しているので、あくまで腎生検を行わないと区別できません。

腎炎の約4割を占め、日本人の腎臓病で最も多いのがIgA腎症です。このほか、巣状糸球体腎炎、膜性腎症、膜性増殖性糸球体腎炎があります。

IgA腎症では、発病初期から肉眼的血尿に気付くことが多いのが特徴的です。発症は10代後半から30代前半に多く、やや男性優位です。顕微鏡で見ると、IgA(免疫グロブリンA)という抗体が、抗原と結合して免疫複合体となり、糸球体のメサンギウムという部位に沈着しています。

巣状糸球体腎炎では、糸球体の基底膜という部位に、微小な変化が生じています。膜性腎症では、糸球体の基底膜が肥厚しています。膜性増殖性糸球体腎炎では、糸球体の基底膜の肥厚に加えて、細胞の数が増える変化が生じています。

慢性腎炎の治療と療養上の注意

慢性(糸球体)腎炎で最大の問題となるのは、病態が進行するにつれて、次第に腎機能が低下して腎不全となり、人工透析が必要となる例があることです。そのため、病態の進行を阻止することが、治療の最大の目標になります。

現在のところ、進行を確実に止めるという方法は確立していませんが、病態に合わせて、次のような薬物が用いられています。

ネフローゼ症候群の場合と同様、尿蛋白量の多い場合、抗炎症作用がある副腎皮質ホルモン剤(ステロイド剤)が用いられることがあります。腎炎の始まりが免疫反応によると考えられているので、免疫抑制剤が用いられることもあります。

2つの薬を併用して治療に当たることもありますが、この2剤は副作用も強いので、医師の指導のもと、血液検査など定期的なチェックを受けながらの服用となります。「症状が軽くなった」と勝手に判断して、服用を止めることは危険です。

糸球体内で血液が凝固することが腎炎の進行を速めると考えられているため、血液凝固の主役である血小板の働きを弱める薬も、よく用いられています。

高血圧も腎炎の進行を速めることが知られていて、高血圧を合併している場合には、降圧剤による治療が行われます。最近、降圧薬の中には、蛋白尿を減少させ、さらに腎機能の低下を抑制するものの存在が確認され、そのために高血圧がなくても治療に用いられるようになってきました。また、むくみのあるような場合には、利尿剤も用いられます。

食事療法も、腎機能の程度、症状の有無に応じて行われます。基本的には、食塩と蛋白質の摂取量に注意することです。蛋白質は1日、体重1kg当たり1g以下に抑えられます。塩分は軽症の場合、多少控える程度で大丈夫ですが、病気が進行している状態では、1日に5~8g程度にされます。ほかに、水分量とエネルギー摂取量が過不足にならないようにされます。

慢性腎炎は経過が長引く疾患で、一部のものは進行性に悪化しますので、生活上の注意は重要です。まずは、風邪や下痢などを起こすと、数日後に肉眼でわかる血尿や蛋白尿が出たり、体がむくんだりすることがあるので、こうした病気にかからないように注意しましょう。

体力と集中力を必要とする仕事や勉強などは、避けましょう。根を詰めてこなさなくてはならぬことは、腎臓に負担をかけます。なるべくリラックスして過ごせるようにして、夕方から夜にかけても、安静に過ごすことが大切です。

病状にもよりますが、一般に体操や散歩など軽い運動は大丈夫です。ただし、激しいスポーツや、体を冷やす恐れのある運動は避けましょう。

🇸🇷慢性心不全

心臓の機能が低下して、十分な血液を送り出せない状態が長期間続く症候群

慢性心不全とは、心臓の機能が低下して、体に十分な血液を送り出せなくなった末期的な状態が長期間にわたって続き、進行していく症候群。

時に、安定した状態から急激に悪化する急性心不全に移行することを繰り返して、徐々に進行していくことがあります。加齢に伴って増える疾患で、また生活習慣病の一つでもあります。

さまざまな原因で慢性心不全が起こりますが、急性心筋梗塞(こうそく)と高血圧がよくみられる原因です。拡張型心筋症や弁膜症も原因になります。拡張型心筋症はどの年齢でもみられますが、高齢者で増えています。弁膜症は、虚血性心疾患や動脈硬化に伴って起こるものが増えています。

そのほか、頻脈性不整脈、徐脈性不整脈も慢性心不全の原因になります。慢性腎臓病、糖尿病、睡眠時無呼吸症候群も心不全を引き起こす危険因子です。

症状の面からは、全身に血液が滞るうっ血を起こす右心不全と、肺に血液が滞るうっ血を起こして全身へ送られる血液が減る左心不全に分けられますが、通常は右心不全と左心不全の両方が同時に起こって両心不全となります。しばしば、心房細動や心室性期外収縮などの不整脈を合併します。

全身に血液が滞る右心不全の症状として、足を中心とするむくみが現れ、体重が増加します。むくみは夕方強くなり、靴がきつくなることで気付くことがあります。

左心不全の症状としては、呼吸困難、せき、白っぽい泡のようなたんです。呼吸困難は階段昇降や坂道で起こり、 動悸(どうき)を感じることもあります。

心不全で特徴的な呼吸困難は、就寝後しばらくして現れる息苦しさです。この夜間発作性呼吸困難症と呼ばれる症状は、上体を起こして前ががみの姿勢で呼吸をすることで軽減します。夜間の多尿も、初期の症状として現れます。重症になると尿量は減少します。

全身的な症状としてよく現れるのは、倦怠(けんたい)感、疲れやすさですが、消化器症状として食欲不振、腹部膨満感も起こります。

初期の慢性心不全は症状も軽く、診断が難しいことがありますので、専門医に相談をしてください。

慢性心不全の検査と診断と治療

循環器科、循環器内科、心臓血管外科、心臓血管内科、不整脈科、不整脈内科などの医師による診断では、心臓のどこに異常が起きているのか、その原因になっている疾患は何かをまず突き止めてから、慢性心不全の状態や程度を調べます。一般の診察で心不全の有無を診断し、場合によっては心臓超音波検査(心エコー)で心臓の働き具合をみる検査をします。

循環器科、循環器内科、心臓血管外科、心臓血管内科、不整脈科、不整脈内科などの医師による治療では、心臓の働きを鈍らせている原因を取り除ける場合は、まずその治療をします。

例えば、高血圧に対する降圧療法、狭心症や心筋梗塞に対する風船治療や冠動脈バイパス術、心臓弁膜症に対する弁形成術や弁置換術などを行います。不整脈が原因の場合には、ペースメーカーや除細動器を植え込むということもあります。

一般的な治療としては、症状が軽い場合は内服薬による治療を行います。

体内の余分な水分を取り除く利尿剤、心臓の働きを手助けするジギタリス剤、心臓にかかる負担を軽くするアンギオテンシン変換酵素阻害剤などの血管拡張剤、長期的には心臓に障害を与えやすい神経やホルモンの作用を抑制するベータ遮断剤などがあります。

また、再発の予防のため、内服薬での治療のほか、塩分制限を含めた食事療法、適度な運動、禁煙、減酒を行います。

症状が重くなると入院となり、安静の確保、酸素吸入、点滴による治療が必要になります。末期重症心不全の場合には、補助人工心臓の植え込み手術や心臓移植といった治療を行います。

🟥インフルエンザ感染者、2週連続増加 1医療機関当たり11・33人

 厚生労働省は23日、全国約3000の定点医療機関から12~18日の1週間に報告されたインフルエンザの感染者数は計4万3027人で、1医療機関当たり11・33人だったと発表した。前週比1・07倍で、2週連続の増加となった。全国平均で警報レベルとされる1医療機関当たり30人を下回...