2022/08/18

🇬🇪肺炎

肺炎の分類

肺炎とは、主に細菌やウイルスなどの病原体が肺に入り、酸素と炭酸ガスの交換を行う肺胞や肺間質など、肺の奥の領域に炎症が起きる疾患をいいます。

一口に肺炎といっても、そのタイプはさまざまです。罹患(りかん)場所によっては、ふだん健康な人がかかるものを市中肺炎、重症の病気で入院している人がかかるものを院内肺炎に分類します。炎症の範囲によっては、肺胞性肺炎、大葉性肺炎、気管支肺炎、 間質性肺炎に分類します。

呼吸の際に吸い込んだ感染源の種類によっては、細菌性肺炎、ウイルス性肺炎、心筋性肺炎などの感染性の肺炎と、薬剤性肺炎、アレルギー性肺炎などの非感染性の肺炎に分類します。

感染性の肺炎の場合、たとえば風邪やインフルエンザにかかって気管支の粘膜に炎症が起きたため、ふだんなら痰(たん)と共に出ていくような菌が残り、この菌によって起こされた炎症が肺胞まで達すると、細菌性肺炎を起こします。

特に高齢者の場合には、免疫力が落ちているため、ちょっとした風邪から肺炎を起すことが少なくありません。また、糖尿病、心臓病、脳血管障害、腎臓(じんぞう)病、肝臓病などの慢性疾患のある人も、免疫力が低下しているため要注意です。

片や、非感染性の肺炎は、たとえばエアコンのカビや加湿器の水に繁殖した真菌など、アレルギーを起こす原因物質(アレルゲン)が肺胞に入って反応し、アレルギー性肺炎を起こします。

また、細菌性肺炎と非細菌性肺炎に分類します。 細菌性肺炎は一般細菌の感染によって起こる肺炎で、実に多種類の細菌が関与します。普通はまず、ウイルス感染が起きて、気道粘膜が障害を受けたのに乗じた形で、細菌による二次感染が起きるという過程をとります。

非細菌性肺炎はさらに、インフルエンザウイルスなどによるウイルス性肺炎、微生物によるマイコプラズマ肺炎、同じく微生物によるクラミジア肺炎(オウム病)などに分類します。

肺炎の症状を細菌性肺炎を例にとって説明しますと、初めは喉(のど)の痛みや鼻水、鼻詰まり、咳(せき)、頭痛、悪寒といった風邪の症状から始まります。やがて高熱が続き、咳、痰、呼吸困難や胸の痛み、顔面紅潮、唇や爪(つめ)が青黒くなるチアノーゼなどの症状が現れます。

しかし、老人では重症の場合でも、あまり激しい症状が出ないことも少なくなく、気が付いた時にはかなり悪化していることもあります。

細菌性肺炎

細菌性肺炎の代表的なもので、市中肺炎を引き起こす主な原因となるのは、肺炎球菌によるものです。人間の右肺は上中下3つ、左肺は上下2つの大きな袋である肺葉に分かれていますが、この肺葉全体を侵す大葉性肺炎を起こすことで、肺炎球菌はかつては有名でした。抗生物質の発達した現在では、大葉性肺炎は珍しくなり、気管支肺炎にとどまるもののほうが多くなりました。

黄色ブドウ球菌も、肺炎を起こします。この菌のうち、ほとんどすべての抗生物質に耐性を示す耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)が近年、院内肺炎の原因となり、大きな問題となっています。

インフルエンザ杆菌(かんきん)も、肺炎を起こします。この菌の場合には、慢性の呼吸器病を持っている人に、繰り返し急性の気道感染を起こすのが、問題となっています。

同じように、緑膿菌(りょくのうきん)という厄介で、院内肺炎の原因となる菌があり、気管支拡張症、びまん性汎細(はんさい)気管支炎などの病気を持つ人の気道に住み付いて、治療をしてもなかなか取り除くことができません。

レジオネラ菌も、肺炎を起こします。1976年にアメリカで集団発生したことにより発見された菌で、建物の屋上などに設置されている冷却塔であるクーリングタワー、エアコンディショナーなど、空調設備や給湯系を介した感染や、土壌、河川などの自然環境からの感染が知られるところ。日本での特徴としては、温泉、特に消毒が不十分な沸かし湯を用いた風呂(ふろ)での感染が多いことです。

非細菌性肺炎

ウイルス性肺炎の中では、インフルエンザウイルスによる肺炎が最も重要です。高齢者や慢性の呼吸器病を抱える人では重症化しやすく、また細菌感染によって細菌性肺炎に移行しやすいためです。

風邪を起こすRSウイルス、はしかを起こす麻疹(ましん)ウイルスなども、肺炎を起こすことがあります。インフルエンザウイルス以外に、これらのウイルスに直接効く抗ウイルス薬は現在のところありませんので、細菌の二次感染に注意しつつ、対症療法が行われます。

ウイルスと細菌の中間のような微生物であるマイコプラズマも、頑固な咳を特徴とする肺炎を起こします。学童期や若年の成人に多く、乳幼児や高齢者に少ないというのも、マイコプラズマ肺炎の特徴の一つです。このマイコプラズマには、普通の細菌に有効なペニシリン系、セフェム系の呼吸器感染症で最も頻繁に使われている抗生物質が効きません。代わりに、テトラサイクリン系、マクロライド系、ケトライド系と呼ばれ抗生物質が、第一選択薬とされます。

ウイルスに近い微生物であるクラミジアも、クラミジア肺炎(オウム病)を起こします。病原体のクラミジアは、オウム、セキセイインコ、ハトなどに寄生して分裂、増殖します。感染、発病した鳥の排泄(はいせつ)物などから、空気中に飛散した病原体を吸入することによって、人間は発症します。病鳥に接してから1~2週間後に、風邪と同じ症状と共に激しい咳が出ます。重症の場合には、呼吸困難、意識障害も出現します。治療には、テトラサイクリン系、マクロライド系の抗生物質が用いられます。

以上、いろいろのタイプを紹介してきた肺炎は、かつては非常に怖い病気の一つでしたが、現在は胸部X線検査の進歩で早期に診断できるようになり、ペニシリン系、セフェム系などの抗生物質の開発で、完治しやすくなりました。

しかしながら、抵抗力の弱い乳幼児や高齢者、体の衰弱した病気の人などの肺炎による死亡率は依然として高く、油断できない病気だといえます。

日常生活においては、風邪を引かないように注意する、 うがいや歯磨きでいつも口の中を清潔にする、 自分のアレルゲンを知り予防対策をとる、室内の換気をよくし空気を清潔に保つ、禁煙するなどの予防対策を施したいものです。

🇬🇪肺過誤腫

肺にできる良性腫瘍の一つ

肺過誤腫(はいかごしゅ)とは、肺にできる良性腫瘍(しゅよう)の一つ。

肺にできる良性腫瘍にはさまざまな種類がありますが、過誤腫は最も頻度が高く、約半数を占めます。そのほかの良性腫瘍には、硬化性血管腫、軟骨腫、脂肪腫、平滑筋腫などがあります。

肺過誤腫は、肺の末梢(まっしょう)部、胸膜直下にできることが多く、円形、ないし類円形で、境界鮮明の孤発性の結節を形成します。正常時から存在する軟骨組織、気道上皮、気管支腺(せん)、線維組織、脂肪組織が腫瘍様に過剰に発育または過剰に増殖したもので、その発育は限局性で良性です。ただし、構造的には組織奇形と形容できます。腫瘍の内部は不均等なことが多く、石灰沈着がみられることがあります。

肺過誤腫は急速に広がることが少ないため、一般的に無症状で、大きくなる速度も遅く、悪性化することはほとんどなく、ほかの臓器に転移することはありません。

しかし、ゆっくりではあっても発生部位で次第に大きくなることがあります。肺過誤腫ができた部位によっては、せき、たんの原因になったり、空気の通る道である気管支を圧迫して、肺炎などを起こすことがあります。

症状が出現することはまれなため、多くの場合、住民検診や職場検診、ほかの疾患の検査中に胸部X線(レントゲン)検査、CT(コンピュータ断層撮影)検査で偶然発見されています。

肺過誤腫の検査と診断と治療

呼吸器科、呼吸器外科の医師による診断では、胸部X線(レントゲン)検査、CT(コンピュータ断層撮影)検査で認められ、末梢部に発生した腫瘍は境界明瞭な円形、ないし類円形の陰影を示します。

その検査画像上の特徴だけでは、肺がん、結核腫などの重大な疾患と見分けがつかない場合もよくあります。気管支にできた腫瘍は、気管支鏡と呼ばれる内視鏡で腫瘍細胞の一部を採取して、顕微鏡で調べる生検を行い、悪性か良性かを判断します。

肺の奥のほうにできた腫瘍は、気管支鏡検査のほかに、MRI(磁気共鳴画像撮影)検査なども行って、腫瘍の形や中身を評価します。近年、PET(陽電子放射断層撮影)検査が普及し、1センチ以上の大きさの腫瘍であれば、ある程度、悪性と良性の見分けが可能になってきています。

しかし、生検などによる診断は困難なことも多く、手術による腫瘍の摘出によって診断と治療jを同時に行い、確定診断は手術後に判明することも珍しくありません。

呼吸器科、呼吸器外科の医師による治療では、放射線治療や薬物療法は効果がないとされているため、原則的に手術を行います。

ただし、手術をするのは、増大したり、周囲を圧迫するために呼吸機能が低下したり、特定の部位に肺炎が繰り返し生じる場合などです。また、悪性腫瘍(がん)と区別できない場合には、手術により診断と治療を同時に行うことがあります。

手術後は、手術時の傷が神経を刺激して胸痛が続くことがありますが、再発することはほとんどありません。

明らかに良性腫瘍であるとわかっている場合で、合併症や高齢などの理由で手術ができない場合には、内視鏡の届く部位にできた気管支の腫瘍を内視鏡で取り除くこともあります。

良性腫瘍であることが明白で、増大傾向がなく、しかも無症状の場合には、経過を観察し、定期的に検査をするだけで十分です。

🇸🇰肺カルチノイド

カルチノイドという、がんに似た性質を持つ悪性腫瘍が肺に発生した疾患

肺カルチノイドとは、カルチノイドという、がんに似た性質を持つ悪性腫瘍(しゅよう)が肺に発生した疾患。

カルチノイドは、がんの意味であるカルチと、類を意味するノイドが組み合わさった英語で、日本語で「がんもどき」とも呼ばれます。

がんと同様、カルチノイドはいろいろな臓器に発生します。小腸、直腸、虫垂、十二指腸、胃などの消化管のホルモン産生細胞に発生し、膵臓(すいぞう)、精巣、卵巣、肺、気管支、胸腺(きょうせん)のホルモン産生細胞でも発生します。

このカルチノイドは、一般的には悪性度が低いと考えられています。実際、症状の進行もゆっくりで長期生存が期待できるものも多く、これらは定型カルチノイドと呼ばれています。一方、比較的早く症状が進行し治療が困難なものがあり、これらは非定型カルチノイドと呼ばれています。定型カルチノイドは非がん性、非定型カルチノイドはがん性と見なされます。頻度的には、定型カルチノイドのほうが多くみられます。

肺カルチノイドの場合は、肺の中枢の主気管支に発生するものと、末梢(まっしょう)の肺に発生するものがあります。その頻度は、6割は主気管支に発生し、4割弱は末梢に発生します。しかし、肺カルチノイドは比較的まれな疾患で、肺の悪性腫瘍の約1パーセントを占めるにすぎません。

肺カルチノイドの発症年齢は、40歳代から60歳代とされています。

主気管支に発生した肺カルチノイドの初期症状は、肺がんと同様です。咳(せき)や血痰(けったん)などが見られますし、カルチノイドの増大に伴い、気道の狭窄(きょうさく)によるヒューヒュー、ゼーゼーという喘鳴(ぜんめい)などが認められます。

一方、末梢の肺に発生した肺カルチノイドは、ほとんど症状が現れず、健康診断やほかの病気で撮影した胸部レントゲンやCT検査などで、偶然発見されるケースが多いのが現状です。

なお、肺カルチノイドは肺がんと比べて、転移が少ない腫瘍とされていますが、非定型のタイプはリンパ節、肝臓などに転移します。

咳や喘鳴はほかの呼吸器疾患でも見られるものですが、血痰は腫瘍からの出血に伴う比較的特異的なものです。もし、血痰が見られる場合には、ほかの疾患の可能性もありますので一度、呼吸器科や内科を受診されることが勧められます。

ただし、主気管支に発生した肺カルチノイドは喘鳴を起こすため、気管支喘息と間違う診断で治療が遅れてしまう可能性があるので注意が必要です。

肺カルチノイドの検査と診断と治療

呼吸器科、内科の医師による治療では、肺がんと同様、手術、化学療法、放射線治療、抗がん剤治療を組み合わせて行います。

悪性腫瘍ですので手術がメインとなるものの、低悪性度ということも考慮し、転移が見られない症例では、肺の一部を解剖学的領域単位で切除する区域切除など縮小手術が行われるようになってきています。

転移や浸潤が激しく手術が困難な場合には、化学療法や放射線療法がメインとなるものの、特に非定型カルチノイドについては、1年ほどの間に急速に症状が変化することもあり、治療の成績はまだまだ満足いくものではありません。肺カルチノイドの症例数が多くないこともあり、治療法にはさらなる研究の余地が残されている状態です。

🇸🇰肺がん

国内外で最も死亡者数が多い、がん

肺がんとは、肺の粘膜を覆っている上皮性組織から発生する悪性腫瘍(しゅよう)です。悪性腫瘍、つまりがんとは、無限に増殖、増大して体のあちこちに転移し、正常な細胞やその働きを破壊して、人間を死に至らしめる腫瘍のことです。

日本では、肺がんが年々増えています。死亡者数をみますと、1960年の5171人から1998年の50460人へと、約40年の間に10倍に増加し、男女合わせた死亡者数が胃がんを抜いて第1位となりました。男性では逆上る1993年に、胃がんを抜いて第1位となっています。

2005年の統計では、肺がんによる男女合わせた死亡者数は62063人で、全がん死の19パーセントを占めます。男性では全がん死の中で最も多い45189人、女性では大腸がん(結腸がん及び直腸がん)、胃がんに次いで3番目を占める16874人。

同じ2005年のWHO(世界保健機関)の試算によると、世界中では年間130万人ほどが肺がんで死亡し、全がん死の17パーセントを占めて最多。

肺がんの発生原因は不明ですが、近年の急激な増加の背景として考えられているのは、環境の汚染と喫煙です。大量喫煙者に肺がんが多いことは間違いのない事実で、間接的な喫煙も原因になるといわれています。

肺門がんと肺野がん

症状は発生部位により分けられる肺門(型)がんと、肺野(型)がんで異なりますが、主に咳(せき)、血痰(けったん)、胸痛などがみられます。

肺門がんは、肺の入り口付近の太い気管支にできたがんで、病理学的には扁平(へんぺい)上皮がんです。この場合、早期から頑固な咳が出るのが特徴で、痰を伴うこともあります。

咳止めで一時的に軽くなることはあっても、完全に止まることはなく、中止すると再びひどくなります。痰は粘液性か粘液膿(のう)性で粘りがあり、血液が混じったり、熱を伴う肺炎のような症状を示すこともあります。

肺野がんは、肺の末梢(まっしょう)の細い気管支に発生したがんで、病理学的には腺(せん)がんです。早期には全く症状のないことが多く、肺門リンパ節にがん細胞が転移してから、激しい咳や血痰が出るようになり、声がかすれることもあります。

発見が早ければ、手術で切除

医師による診断では、胸部X腺検査で肺がんと判断された場合、ファイバースコープによる気管支内視鏡検査と、痰の細胞診の二つによる確定診断が行われます。その後、肺がんの病巣の広がりを把握するために、CT検査、骨シンチグラフィ、超音波検査、血管造影、MRI検査などが行われます。

治療では、手術療法(肺切除療法)、放射線療法、化学療法、免疫療法の4つが行われます。第一選択は今でも手術療法で、がんの大きさ、リンパ節への転移の有無、隣接する臓器への浸潤の程度、その人の肺機能の程度によって、手術法が異なります。

最も一般的に行われるのは、肺葉切除。右肺には上葉、中葉、下葉の3葉、左肺には上葉、下葉の2葉ありますが、そのうちの病巣のある肺葉を1葉、ないし2葉切除します。がんが広範囲に渡っている時や、太い血管に浸潤がみられる時などに行われるのは、片側の肺葉をすべて摘出する肺全摘出術。この肺全摘出術は、肺機能が良好でないとできません。特殊な手術法として、がんの存在する気管支の一部を切除する方法もあり、肺機能が落ちている場合に行われます。

近年では、胸腔(きょうくう)鏡が開発され、体の負担、苦痛が軽い縮小手術を行う方向に進んでいます。従来のように大きく胸を切り開くのではなく、2~3センチくらいの穴を胸壁に2~3カ所開け、そこから器具を挿入して行う手術法で、全国的に行われています。

ほかにも、気管支鏡を使用して、二つのタイプのレーザー療法が行われています。一つは、太い気管支に発生したがんで気管支が詰まっているような場合に、レーザー照射で焼く方法。もう一つは、光線力学的治療(PDT)とも呼ばれて、レーザー照射による光化学反応によって、がん細胞を破壊する方法。早期の肺門がんでは、レーザーによる治療のみで完治できることもあります。

肺がんが進行し、がんの浸潤が広範囲に渡っている場合や、ほかの臓器に転移している場合には、局所的には放射線療法、全身的には抗がん薬による化学療法、免疫療法が行われます。

新しい抗がん薬の開発、さらに副作用を軽減させる薬の開発により、抗がん薬による治療効果は向上しています。また、イレッサなど分子標的治療薬も開発され、従来の化学療法では効果がなかった人にも、福音となりつつあります。

🇸🇰肺カンジダ症

カンジダ菌の感染によって肺炎を起こす疾患

肺カンジダ症とは、真菌(かび)の一種のカンジダ菌の感染によって肺炎を起こす疾患。真菌類が感染して起こる肺真菌症の一つに数えられます。

カンジダ菌は本来、人間の口腔(こうくう)、消化管、陰部などに常在し、普通は害を及ぼしません。これが全身や気道、肺の抵抗力の低下、抗がん剤や副腎(ふくじん)皮質ホルモン(ステロイド剤)の長期服用などを切っ掛けに増殖し、感染症を引き起こします。特に、カンジダ・アルビカンスが圧倒的に多い原因菌となり、カンジダ・トロピカーリス、カンジダ・パラプシローシスなどが原因菌となることもあります。

せきやたん、血たん、発熱、胸の痛みなどがみられますが、これらの症状が現れないこともあります。

重症の時は、大量の喀血(かっけつ)や呼吸困難になることもあります。

肺カンジダ症の検査と診断と治療

胸部X線検査やCT検査が行われます。また、たんなどから原因となるカンジダ菌の種類を調べます。血液検査で、カンジダ菌に対する抗体があるかを調べることもあります。

治療としては、原因となっている薬剤がある場合は中止し、同時にフルコナゾール(ジフルカン)、イトラコナゾールフルシトシン、アムホテリシンB(ファンギゾン)などの抗真菌剤を用います。また、薬でカンジダ菌の活動を抑えた後、外科的に切除することもあります。

普通の肺炎よりも治りにくく、治療にも時間がかかります。治療中は安静にして、栄養を十分に摂取することが大切です。免疫機能が衰えている場合は、改善されなければ肺カンジダ症は再発してしまうことになります。

🇨🇿肺気腫

肺胞が破壊されて、呼吸困難を生じる疾患

肺気腫(はいきしゅ)とは、肺の組織が破壊されて機能低下を起こし、呼吸困難を生じる疾患。慢性気管支炎と合わせて慢性閉塞(へいそく)性肺疾患(COPD)と呼ばれ、気道閉塞がみられる疾患群の一つとして、今後の増加が予想されます。

肺気腫についてはまだまだわからないことが多いのですが、肺の中の気管支の末端にあって、酸素と炭酸ガスの交換作用を行っている肺胞という組織が何らかの障害を受け、壊れやすい状態になるのが、疾患の基本的な原因だと考えられています。

約3億個ともいわれる肺胞を壊す主な原因は、たばこの煙や大気中に含まれる汚染物質。肺胞は1日に約1万リットルの空気の出し入れをしており、さまざまな刺激によって生じる炎症から肺胞が壊されないように、炎症細胞が出す酵素(エラスターゼなど)に対する防御物質(アンチエラスターゼなど)を持っています。しかし、長年の汚染物質の刺激によって、絶えずエラスターゼが出され続けることにより、防御物質では防ぐことができず少しずつ肺胞が壊されます。

本来、肺胞は一つ一つが弾力性に富み、息を吸う時に膨らみ、吐く時に縮みます。壊れて弾力性が著しく低下したり、全く失われた肺胞が増加していくと、その分だけ肺機能が低下し、取り込める空気の量が低下します。とりわけ肺の収縮が行われにくくなるため、空気を吸い込めても、吐き出すことがうまくいかなくなります。 徐々に進行し、肺胞が破壊を繰り返すと、ブラという袋を形成してしまいます。そして、肺の血管が細くなったり、肺全体が膨張し、呼吸筋である横隔膜を押し下げたり、心臓を圧迫したりします。

呼吸細気管支を中心に肺胞壁が壊れる場合と、肺胞壁全体が壊れる場合があり、喫煙による肺気腫のほとんどは前者です。

一般に、40歳代以降で長く喫煙を続けてきた人にみられ、発症者の8割以上が喫煙者であることが報告されています。男性に圧倒的に多くみられますが、女性より男性のほうが多く喫煙をするからだろうと考えられています。同じくらいの本数のたばこを同じ期間吸い続けた場合には、男性よりも女性のほうが発症しやすいというデータもあります。

ごくまれに、α1ートリプシンという酵素が先天的に欠損している場合に、環境因子が加わって、肺気腫を発症することもわかっています。その他に、家族集積性があることなどから、遺伝的要素も推定されています。

自覚症状としては、体動時の息切れ、息苦しさが主です。息切れは、季節変動や日内変動がそれほど著しくなく、体を動かした時に強くなり、休むと改善します。息苦しさは、膨らんだ肺が横隔膜や心臓を圧迫すると感じやすくなり、胸部が前にせり出して樽(たる)状になります。疾患の進行とともに、息切れは徐々に悪くなり、自分のペースで平地を歩いていても、安静にしていても呼吸困難を生じるようになります。風邪を引いたり、こじらせて気管支炎や肺炎を併発すると、息を吐き出す力がうんと弱まるため、息切れは一段と強くなります。

また、肺の病気に多く見られる症状である、せき、たんも多くなります。せきは、肺気腫に感染症を伴ったり、肺動脈圧が高くなり右心室の肥大拡張が生じる肺性心になった時など、症状が著しく悪くなる急性増悪の時に多く認められます。たんは、慢性の気道炎症により過剰になった気道分泌物によるもので、やはり、急性増悪の時に多く認められます。

肺気腫の検査と診断と治療

肺気腫の確定診断は、肺の組織を採取して顕微鏡で観察し、初めて決定されます。肺線維化の所見を認めず、呼吸細気管支を中心とした肺胞壁または肺胞壁全体の破壊と拡張が病理形態的に確認されることが必要です。 しかし、肺の組織を採取することは発症者の苦痛を伴いますので、通常は胸部レントゲン写真とCT写真、呼吸機能、血液検査などから総合的に判断します。

肺気腫の治療では、壊れた肺胞組織を再生させる方法がないため、現状維持と症状の改善を目的とした治療が行われます。発症時に、たばこを直ちに中止しても、疾患の進行をなくすことはできません。しかし、そのまま吸い続けると、肺気腫の急激な進行も予想され、まず禁煙することが最重要です。 周りの人の吸っているたばこの煙である副流煙も、自分で吸うのと同じように悪いことがわかっていますので、喫煙者の多くいる環境は避けたほうがよいでしょう。

肺気腫の根治治療となるのは、外科手術による肺の移植です。といっても、臓器手術は提供者との移植適合性を考えて行わなければならないため、あまり現実的な方法であるとはいえません。現在、肺気腫の新しい治療法として注目されているのが、肺減量療法と呼ばれる外科手術です。この治療法は、肺胞が壊れた患部を切除して肺の大きさを縮め、肺機能を正常化するというもの。肺減量療法には、両肺の手術を一度に行うことができる胸骨正中切開法と、切開する個所が小さく発症者の負担を抑えられる胸腔(きょうくう)鏡法があります。

肺気腫の内科治療は、根治治療が望めるものではなく、症状の進行を遅れさせることを目的としたものです。薬剤の投与を行い、肺機能を維持することを目的とします。

肺気腫の初期で、階段の昇降や坂道での息切れや、息苦しさを自覚したての時には、肺での空気の出し入れがしやすくるように、気管支拡張剤の内服や、気道のクリーニングのために、たんを出しやすくなる去痰(きょたん)剤を内服します。

一般的な気管支拡張剤には、吸入用気管支拡張剤とテオフィリン製剤があります。吸入用気管支拡張剤は、鼻から吸入することによって空気の通り道である気管支を広げる働きがあり、気管支喘息(ぜんそく)の発症者で使われる薬と同様のものです。

テオフィリン製剤は、経口薬で効果が長く持続する特徴があります。気管支拡張効果は吸入用気管支拡張剤と比べると強いものではありませんが、呼吸に使う筋肉の力を強めたり、肺の中の血管の抵抗を下げて心臓に対する負担を軽くする作用もあるため、発症者によってはとても有効です。食欲不振や吐き気などの消化器症状、頻脈、手の震え、不眠などの副作用も出やすい薬なので、注意深く使う必要があります。

また、気管支を拡張する目的で、β刺激剤や抗コリン剤という機序の異なる薬を併用することもあります。肺気腫の場合は普通、気管支喘息の場合とは違って抗コリン剤のほうが多く使われますが、両者を併用したり、β刺激剤のほうを使うこともあります。ただし、β刺激剤を使いすぎると、手の震えや脈拍が速くなるなどの副作用があります。

日常の生活については、特に神経質になることはありませんが、規則正しい生活をして、体力を落とさないことが大切です。風邪をこじらせると肺炎になりやすいので、早めの治療が必要です。肥満の人は呼吸筋の働きをよくするために、ダイエットしたほうが経過が良いようです。やせ過ぎの人は、良質の蛋白(たんぱく)質を多めに摂取するように心掛けるべきです。息切れのため、運動が面倒になりがちですが、適度の運動は必要です。専門機関で、自律訓練によるリラクゼーションや呼吸リハビリテーションを受け、呼吸法について指導を受けるのも、良い方法と考えられます。

肺気腫の急性増悪期で、気道や肺の感染症、肺性心などを合併すると、呼吸苦が増悪します。呼吸困難感が、強くなった場合には、抗生物質の点滴や、利尿剤など、原因に見合った治療が行われます。一時的に、酸素の吸入が必要になる場合もあります。

肺気腫の進行期で、着替えをしたり少し歩いただけで息切れし、安静にしていても呼吸苦が続いたり、炭酸ガスが貯留して頭痛や冷や汗、思考力の低下などが生じる場合には、在宅酸素療法が必要なこともあります。鼻チューブを介して酸素吸入をしながら、自宅で日常生活を送るものですが、現在では酸素吸入装置も便利で軽くなり、酸素吸入をしながら外出をすることも珍しくなくなりました。在宅酸素療法には保険が適用され、 全国で10万人以上の人が利用しています。

肺の疾患の治療として行われる転地療法は、肺気腫にも有効です。空気がきれいな場所で、肺気腫の原因となるものから遠ざかることで、症状の改善を図れます。ただし、気管支炎を併発している場合、気管支炎の治療を並行して行う必要があります。

🇨🇿肺吸虫症

肺吸虫の寄生によって引き起こされる寄生虫病

肺吸虫症とは、肺吸虫の幼虫が人体に入って肺やその周辺に寄生するために、引き起こされる寄生虫病。

この肺吸虫症の主な流行地域は極東で、日本、朝鮮半島、台湾、中国の山岳地帯、およびフィリピンで発生しています。また、アフリカ西部、中南米の一部にも流行地域があります。

肺吸虫は30種ほどが確認されていますが、日本ではウエステルマン肺吸虫と宮崎肺吸虫の2種がよく知られていて、主にウエステルマン肺吸虫は淡水産のモクズガニ、宮崎肺吸虫は淡水産のサワガニを生や加熱調理不完全の状態で食べて、その幼虫が感染します。また、肺吸虫の幼虫が寄生した野生のイノシシ肉を生で食べて感染することもあります。

肺吸虫の幼虫は、人の腸壁を突き破って腹膜へ侵入し、横隔膜を経て胸膜腔(くう)へ移行、さらに肺組織へ侵入して雌雄同体の成虫となります。幼虫は、脳、肝臓、リンパ節、皮膚、脊髄(せきずい)で、成虫に発育することもあります。成虫は、体長1センチ前後のレモン型をしていて、20〜25年間生存することができます。

肺に寄生した場合の主な症状は、せきと血たん。胸の痛み、発熱、全身の倦怠(けんたい)感、胸に水がたまる自然気胸、胸膜炎、膿胸(のうきょう)などを起こすこともあります。

脳に寄生した場合には、てんかん発作や半身まひ、視覚障害など脳腫瘍(しゅよう)に似た症状を起こし、重症になります。アレルギー性皮膚反応を起こすこともあります。

肺吸虫症の検査と診断と治療

血たんが出たら、肺吸虫症の可能性と同時に結核の可能性もあるため、医療機関を受診します。

肺吸虫症は、胸部X線検査で肺の影として映り、結核や肺がんと間違われることがありますが、たんや便の中から虫卵を検出することで診断します。時には、胸水や腹水の中から虫卵を検出することもあります。また、肺吸虫症では白血球の一種の好酸球が増加することが多く、胸部X線検査で異常があり、好酸球が増えていたら肺吸虫症を疑います。肺に病変があるのに虫卵が見付からない場合や、肺以外の場所に寄生している場合には、血清検査で診断します。

治療では、プラジカンテル、ビチオノールなどの駆虫剤の内服が行われます。胸水がたまっている場合には、胸水を抜いてから治療します。アレルギー性皮膚病変、まれに脳内に形成されたシストという、休眠状態に近い多数の肺吸虫が被っている厚い膜を切除するために、手術が行われることもあります。

予防としては、モクズガニやサワガニ、イノシシ肉などを生や加熱調理不完全の状態で食べないようにします。同時に、それらを調理した包丁やまな板はよく洗うようにします。

🟥アフリカ連合、エムポックス緊急宣言終了 新規感染者数減少で拡大抑止

 アフリカ連合(AU)の疾病対策センター(CDC)は23日までに、エムポックス(サル痘)の拡大を受けて2024年8月に出した緊急事態宣言を終了した。22日付。2025年前半から後半にかけて新規感染者数の減少傾向が続き、拡大を抑止できたためとしている。  アフリカでは2024年に...