2022/08/21

🇨🇾唾液腺炎

口の中に唾液を分泌をする唾液腺に、何らかの原因で炎症が生じる疾患

唾液腺(だえきせん)炎とは、味覚刺激などにより唾液を作り、口の中に分泌をする唾液腺に、何らかの原因で炎症が生じる疾患。

唾液腺は、大唾液腺と小唾液腺に分けられます。大唾液腺には、耳下(じか)腺、顎下(がくか)腺、舌下(ぜっか)腺の3種類が、それぞれ左右に一対ずつあります。耳下腺は耳の前から下のほうにあり、顎下腺は下顎の内側にあり、舌下腺は舌と下顎の間にあります。小唾液腺は、口の粘膜の至る所にあります。

一般に、食事が口に入った時に分泌される唾液は耳下腺から、安静時、特に睡眠中に分泌される唾液は主に顎下腺からと考えられています。

唾液腺炎はさまざまな原因で生じ、その原因によってウイルス性、細菌性、免疫アレルギー性などに分類されます。

ウイルスにより引き起こされるもので最もよく知られているのは、流行性耳下腺炎、すなわちおたふく風邪です。しかし、唾液腺炎を引き起こすウイルスには、流行性耳下腺炎を引き起こすムンプスウイルス以外にもあることがわかっています。

流行性耳下腺炎は、一度かかると免疫ができて再感染はしません。潜伏期は2~3週間で、小児に多いのですが、大人では小児に比べ症状が重くなる傾向があり、精巣炎、卵巣炎などを併発して、不妊の原因になることがあります。まれに、顎下腺に起こることもあります。また、片側の耳下腺に炎症を生じて痛み、はれ、発熱などが起こるだけではなく、数日遅れて両側の耳下腺に症状が出ることが多いのも特徴です。

細菌により引き起こされるもので最もよく知られているのは、化膿(かのう)性耳下腺炎です。唾液分泌が低下すると、唾液が出る部位の唾液腺導管から、口の中の細菌が耳下腺の中に入り込んで、急性の炎症が起こります。さらに、耳下腺の周囲にも炎症が拡大します。原因となる細菌で多いのは、黄色ブドウ球菌、溶連菌、肺炎球菌。

普通、片方の耳下腺がはれ、側頭部から顔面部のうずくような痛み、発熱、頭痛などが生じます。耳下腺部の皮膚は赤くなり、熱感があり、押さえると痛みます。

赤くはれた耳下腺部の皮膚を圧迫すると、口の中の耳下腺の開口部である唾液腺導管から膿(うみ)が出てくることがあります。はれがひどくなると、耳下腺部に波が打つような波動感が出てきて、膿が耳下腺全体にたまってきたことがわかるようになります。

細菌により引き起こされる唾液腺炎はもともと唾液腺に何の病変もない人には生じにくいものですが、小児にみられる唾液管末端拡張症という唾液腺そのものの異常や、唾液中の石灰分が沈着して石ができてくる唾石(だせき)症などによる唾液の分泌障害がある時、または全身の抵抗力が落ちている時の水分補給が不足した場合などにも生じます。

また、唾液腺炎は、トレポネーマパリダという細菌の感染で起こる梅毒や、結核菌によって主に肺に炎症を起こす結核などにより、引き起こされることもあります。

さらに、自己免疫疾患でシェーグレン症候群という唾液腺に慢性炎症を生じる疾患もあります。免疫アレルギー疾患である軟部好酸球肉芽腫(にくげしゅ)症、ミクリッツ病、ヘールフォルト病などにより、唾液腺に慢性炎症を生じることもあります。

唾液腺の部位に生じるはれや痛み、発熱などがあれば、耳鼻咽喉(いんこう)科を受診する必要があります。

唾液腺炎の検査と診断と治療

耳鼻咽喉科の医師による診断では、はれているのが唾液腺かどうかを確認します。耳下腺や顎下腺のはれでは、リンパ節炎と紛らわしいことがあります。

流行性耳下腺炎を始め耳下腺に炎症があれば、血液検査で、でんぷんを消化する酵素で主に唾液腺と膵臓(すいぞう)で作られているアミラーゼの値が高くなります。ただし、これが高いからといってそれぞれの疾患を確定診断することはできません。そのほかには一般的な血液検査が必要です。

ウイルス性の唾液腺炎か細菌性の唾液腺炎かは、問診や視診、触診、血液検査で判断されます。流行性耳下腺炎は、流行状況の把握とムンプスウイルスの抗体価を測ることにより確定診断されます。化膿性耳下腺炎は、耳下腺のはれ、口の中の炎症など特有の症状がないか確認し、初期段階で症状が似ている流行性耳下腺炎と識別します。唾液管末端拡張症の確定診断には、唾液腺造影検査が必要です。

耳鼻咽喉科の医師による治療では、流行性耳下腺炎の場合、ムンプスウイルスに効く薬はありませんが、痛みに対して消炎鎮痛薬を使うことがあります。合併症が多いため、全身状態がよくても安静、保温、栄養など、乳幼児、学童に対する基本的な看護が必要です。大人で精巣炎を起こしていれば、ステロイド剤(副腎〔ふくじん〕皮質ホルモン)を使うことがあります。

化膿性唾液腺炎の場合、抗生剤(抗生物質)を投与します。痛みを和らげる消炎鎮痛剤の投与、湿布なども行います。軽い場合はそのままよくなることもありますが、耳下腺のはれと膿のたまりがひどい場合は入院治療が必要なこともあります。耳下腺部に波が打つような波動感が出てきて、膿が耳下腺全体にたまっていれば、切開を行い膿を排出させる消炎手術を行います。家庭での注意としては、唾液分泌を促す酸っぱい食品は痛みの原因になるので避けます。

唾液管末端拡張症の場合、特別有効な治療法がないため、痛みが強い場合は消炎鎮痛薬を使います。発熱がある場合、はれに熱感がある場合には、細菌感染合併を考えて抗生剤(抗生物質)を投与することがあります。数年間にわたり何回も繰り返しますが、ほとんどが学童期で自然に治癒します。家庭での注意としては、唾液分泌を促す酸っぱい食品は痛みの原因になるので避けます。

🇨🇾唾液腺がん

唾液を作る臓器である唾液腺のうち、耳下腺などの大唾液腺に発生するがん

唾液腺(だえきせん)がんとは、唾液を作る臓器である唾液腺のうち、大唾液腺に発生するがん。

唾液腺には、大唾液腺と小唾液腺とがあります。大唾液腺は、耳の前から下に存在して、おたふく風邪の際にはれる耳下腺、あごの下に存在する顎下(がくか)腺、舌の裏に存在する舌下腺に分けられます。一般に、食事が口に入った時に分泌される唾液は耳下腺から、安静時、特に睡眠中に分泌される唾液は主に顎下腺からと考えられています。

小唾液腺は、口腔(こうくう)粘膜、咽頭(いんとう)粘膜に無数に存在します。

頭頸(とうけい)部がんの中でも、唾液腺がんは5パーセント程度と少なく、そのほとんどは耳下腺と顎下腺に発生し、舌下腺がんは極めてまれです。一般に頭頸部がんは粘膜上皮から発生することが多いため、扁平(へんぺい)上皮がんという組織がほとんどですが、唾液腺は複数の細胞が集まっていますので、唾液腺がんの病理組織も多彩であることが特徴で、世界保健機関(WHO)の分類で18種類。

また、病理組織型により悪性度も異なります。耳下腺腫瘍(しゅよう)の80パーセントは良性なのに対して、顎下腺腫瘍では50〜60パーセントが悪性です。

唾液腺がんができやすいのは、50歳以降の年齢層で、男性が女性の約2倍となっています。若い年齢層にも、決してまれではありません。

初期症状は、耳下腺や顎下腺、舌下腺がある部位に腫瘤(しゅりゅう)を認めるだけです。進行すると、首のリンパ節がはれたり、耳下腺がんでは顔面神経まひが起こったり、口が開けにくくなったりするような症状を伴ってきます。顎下腺がんでは痛みが伴うことがあります。

一般に進行は遅いものの、急速に進行して腫瘤が急激に大きくなることもあるので、あまり大きさが変わらないからといって、良性とは判断できません。

唾液腺がんの検査と診断と治療

唾液腺がんの診断は、視診、触診、細い針で腫瘍細胞を吸引して検査をする吸引細胞診や組織生検で行われます。さらに、耳下腺や顎下腺の開孔部から造影剤を注入してX線撮影する唾液腺造影法、CT検査、MRI検査、超音波検査などで、進展範囲、頸部リンパ節転移、遠隔転移の程度を調べて病期分類を決定し、進行度を判定します。

唾液腺がんの治療の基本は、手術になります。がん手術は腫瘍周囲の安全域を含めて切除することが基本なので、腫瘤自体が小さくても顔面神経や皮膚、下顎骨と近い場合は、これらも一緒に切除することもあります。

神経を切除した場合は、神経を移植してまひの程度を軽くします。下顎骨を切除した場合には、咀嚼(そしゃく)に不便を感じることが多いものの、嚥下(えんげ)や会話は可能。近年では、肋骨(ろっこつ)、腸骨、腓骨(ひこつ)、 肩甲骨などを用いて下顎骨を再建するようになってきているため、手術後の障害は大幅に解消されつつあります。

手術前に遠隔転移があったり、全身状態が不良な場合は、手術以外の方法を選択することもあります。しかし、唾液腺がんのうち、耳下腺がんでは放射線や化学療法は一般的な治療ではありません。放射線治療単独では根治は望めないものの、手術後に放射線治療を加えることはあります。未分化がんや、腺がんの一部には、手術に加えて抗がん剤による化学療法を行う場合もあります。

頸部のリンパ節に明らかな転移があれば、転移のあるリンパ節のみならず、頸部のリンパ節を周囲の組織も含めてすべて摘出します。がんの病理組織型によっては、予防的にリンパ節を摘出する場合もあります。 摘出手術後には、首から肩にかけての知覚および運動機能の低下が問題になりますので、積極的に肩を動かしてリハビリテーションを行う必要があります。

唾液腺がんの生存率についての全国的なデータはありませんが、いくつかの病院が調査したデータによると、5年生存率は50パーセント程度とみられています。

🇨🇾唾液腺腫瘍

唾液腺に生じる腫瘍で、良性腫瘍と悪性腫瘍の別

唾液腺腫瘍(だえきせんしゅよう)とは、唾液を作る唾液腺に生じる腫瘍。

唾液腺には、耳下(じか)腺、顎下(がくか、がっか)腺、舌下腺(ぜっか)腺の大唾液腺と、口腔(こうくう)内の小唾液腺とがあります。

唾液腺腫瘍の原因は、明らかではありません。その8割から9割は、耳下腺と顎下腺に発症します。耳下腺に発症する腫瘍の約8割は、良性腫瘍です。顎下腺に生じる腫瘍の約4割は、悪性です。舌下腺や小唾液腺の腫瘍の発症率は、これらに比べてかなり下がります。

良性の腫瘍では、自覚症状がほとんどないか、あっても耳の下や顎(あご)の下のはれや、手で触るとよく動く無痛性の硬いしこり、すなわち腫瘤(しゅりゅう)を自覚するのみです。最も多い良性多形腺腫は大きくなるのが非常に遅いため、何年も前から硬い腫瘤を自覚しているということもあります。

悪性腫瘍の場合は、通常、腫瘤を自覚してから大きくなるスピードが速く、痛みや顔面神経まひが現れたり、放置すると頸部(けいぶ)のリンパ節転移が現れたりします。腫瘍は周囲の組織に増殖して広がるため、手の指で腫瘤を持ち、前後上下に動かそうとしてもよく動かないのが普通です。

唾液腺炎、唾石症などでも、唾液腺腫瘍と同じような症状を来すことがあります。唾液腺を専門とする耳鼻咽喉(いんこう)科の医師のいる病院を受診することが勧められます。

唾液腺腫瘍の検査と診断と治療

耳鼻咽喉科の医師による診断では、唾液腺のはれがある場合は、触診や超音波検査(エコー)、CT(コンピュータ断層撮影)検査、MRI(磁気共鳴画像撮影)検査などで、腫瘍かどうかを調べます。

腫瘍と判断された場合は、治療をするために良性か悪性かを見分けます。そのためには、皮膚から注射針を刺して腫瘍細胞を吸い取り、顕微鏡で腫瘍細胞を観察する細胞診という検査などが行われます。

耳鼻咽喉科の医師による治療では、唾液腺腫瘍が良性であっても悪性であっても薬で治すことはできませんので、手術が基本となります。手術は全身麻酔下に行います。

顎下腺腫瘍の場合は、良性でも悪性でも顎下腺を全摘しますが、特に後遺症はありません。

耳下腺良性腫瘍の場合、耳下腺内にあって顔の筋肉を動かす顔面神経を温存しながら、腫瘍と周りの唾液腺の一部をわずかに含めて切除します。

耳下腺悪性腫瘍に対しては、腫瘍とともに腺の部分切除あるいは全摘出を行います。また、顔面神経に悪性腫瘍が入り込んでいる場合には神経も犠牲にし、神経移植を行うこともあります。悪性腫瘍が腺の周囲に進展している場合には、拡大手術が必要です。

なお、悪性度の高い悪性腫瘍に対しては、手術後に放射線治療や化学療法を行うこともあります。リンパ節転移が認められる場合には、頸部のリンパ組織を取り除く手術を行います。

🇮🇱二陰茎体

男児が2本の陰茎を持って生まれる先天性疾患

二陰茎体とは、男児が2本の陰茎を持って生まれる先天性疾患。陰茎重複症とも呼ばれます。

極めてまれな先天性障害であり、最古の記録は、1609年にスイス人医師のヨハネス・ヤコブ・ウェッカーが残した「イタリアのボローニャで2つのペニスを持つ男性の遺体を確認した」というもの。アメリカにおいては、550万人に1人の発生率とされています。

妊娠23日目から25日目の胎児において、生殖結節、および直腸から胎児中胚葉(ちゅうはいよう)の尾部細胞塊が尿生殖洞として分離し、最終的に陰茎を形成する過程で、体節構造を決定する遺伝子群であるホメオティック遺伝子の変異による異常形成、損傷、ストレスなどの影響により、二陰茎体が発症すると考えられています。

陰茎が2つに分かれているだけのものから、互いに少し離れた位置に同じ大きさの2本の陰茎がそれぞれ左右を向く形で独立して存在するもの、際立って大きさの違う2本の陰茎が独立して存在するもの、通常の1本の陰茎の上に小さな1本の陰茎がついているものなど、多岐にわたる二陰茎体の例があります。

排尿は、両方の陰茎から可能な場合もあれば、片方からのみ可能な場合もあり、会陰(えいん)の開口部からのみ可能な場合もあります。

長じてからの射精は、ほとんどは片方の陰茎からのみ可能ですが、両方の陰茎から可能な場合、2本の陰茎が完全に独立して機能し、一方で排尿しつつ、もう一方で射精することも可能な場合もあります。

陰嚢(いんのう)内に左右各1個あって卵形をしていて、男性ホルモンおよび精子を産生している睾丸(こうがん)、すなわち精巣は、2組4個ではなく、1組2個存在します。

二陰茎体や、これに関連する疾患を持って生まれた男児は、しばしば腎臓(じんぞう)、脊椎(せきつい)、肛門(こうもん)および直腸の先天性重複異常による複雑な内臓構成を持つため、これらの臓器と関連する種々の感染症により死亡する率が高くなっています。

また、先天的に脊椎骨が形成不全となって起きる神経管閉鎖障害である二分脊椎(にぶんせきつい)症、脳脊髄液による脳の圧迫が脳機能に影響を与える水頭(すいとう)症を合併することもあります。

生まれた男児に二分脊椎が発生している場合、二分脊椎の発生部位から下の神経がまひして、両下肢の歩行障害や運動障害、感覚低下が起こるほか、膀胱(ぼうこう)や直腸などを動かす筋肉がまひして排尿・排便障害、性機能障害が起こることもあります。脊椎骨の奇形の程度が強く位置が高いほど、多彩な神経症状を示し、障害が重くなります。

多くは、水頭症を合併しているほか、脳の奇形の一種であるキアリ奇形、嚥下(えんげ)障害、脊椎側湾、脊椎後湾、脊髄空洞症を合併することもあります。

二陰茎体を発症して長じた人は、ほかの先天性疾患を合併したり、性交渉の困難さから、子供を残せない例が多く認められます。中には、女性のパートナーとの間に子供をもうけている人もいます。

この二陰茎体の父親を持って生まれた男児の多くは、通常の陰茎を持っています。

二陰茎体の男児の多くは、今後の人生を考慮し、小児外科、外科などの医師により、生まれた時や幼少時に2本の陰茎を1本に接合する手術、あるいは2本の陰茎のうちの1本を切除する手術を受けています。

🇮🇱Ⅱa型高リポ蛋白血症

遺伝によって高リポ蛋白血症を発症する疾患

Ⅱa型高リポ蛋白(たんぱく)血症とは、遺伝によって、血液の中を流れる脂質成分であるLDLコレステロール(悪玉コレステロール)が異常に増え、高リポ蛋白血症(高脂血症)を発症する疾患。家族性高コレステロール血症とも呼ばれます。

本来、LDLコレステロール(悪玉コレステロール)は、肝臓の細胞表面にあるLDL受容体と呼ばれる蛋白によって細胞の中に取り込まれ、壊されます。しかし、Ⅱa型高リポ蛋白血症では、LDL受容体の遺伝子やこれを働かせる遺伝子に異常があるため、血液中のLDLコレステロール(悪玉コレステロール)が細胞の中に取り込まれないで、血液の中にたまります。

人間の遺伝子は、父親由来と母親由来の2つが一組となってできています。LDL受容体やこれを働かせる遺伝子の両方に異常がある場合をホモ接合体と呼び、いずれか一方のみに異常が認められる場合をヘテロ接合体と呼びます。ホモ接合体のみならずヘテロ接合体も、Ⅱa型高リポ蛋白血症を示します。

Ⅱa型高リポ蛋白血症ヘテロ接合体の発症者は500人に1人以上、Ⅱa型高リポ蛋白血症ホモ接合体の発症者は100万人に1人以上の頻度で認められ、Ⅱa型高リポ蛋白血症の発症者総数は25万人以上と推定されています。さまざまな遺伝性代謝疾患の中でも、最も頻度が高い疾患といえます。

Ⅱa型高リポ蛋白血症ホモ接合体の発症者は、血清総コレステロール値が生まれつき非常に高く、平均で713mg/dl程度とされています。Ⅱa型高リポ蛋白血症ヘテロ接合体の発症者は、平均で338mg/dl程度とされています。健常人は、120~220mg/dlです。

このため、Ⅱa型高リポ蛋白血症ホモ接合体の発症者は、10歳までに、肘(ひじ)や膝(ひざ)などの皮膚に黄色腫(おうしょくしゅ)と呼ばれる黄色いいぼ状の塊が見られます。成長とともに、結節状に盛り上がった黄色腫が肘や膝、手首、尻(しり)、アキレス腱(けん)、手の甲などに多く認められます。

また、幼い時から動脈硬化が進行して、大動脈弁や冠動脈に動脈硬化が進行すると、階段を上がると胸が痛い、苦しいという症状が出ることがあります。小児期に狭心症、心筋梗塞(こうそく)などの命にかかわる疾患を発症することもあります。

Ⅱa型高リポ蛋白血症ヘテロ接合体の発症者では、重症例で皮膚の黄色腫が見られることがありますが、多くは10歳以後に起きます。

Ⅱa型高リポ蛋白血症は、常染色体優性遺伝性の形で遺伝する可能性があります。父親と母親がともにⅡa型高リポ蛋白血症ヘテロ接合体の場合、4分の1確率でホモ接合体の子供が生まれます。両親のいずれか片方がヘテロ接合体である場合、2分の1の確率でヘテロ接合体の子供が生まれます。

Ⅱa型高リポ蛋白血症は、小児期に皮膚の黄色腫で気付かれ、血液検査で明らかな高リポ蛋白血症が判明することで診断されます。動脈硬化性疾患の予防を目的としたLDLコレステロール(悪玉コレステロール)を低下させるための治療が必要となります。

Ⅱa型高リポ蛋白血症の検査と診断と治療

内科、内分泌・代謝科の医師による治療では、食餌(しょくじ)療法、運動療法に加えて、薬物療法を行ないます。

食餌療法では、脂肪やコレステロールの少ない食事を摂取します。運動療法では、軽い有酸素運動を行ないます。

薬物療法では、スタチンを始めとする脂質低下剤を使用します。薬剤の効果が十分でない場合が多く、効果が足りなければエゼチミブなどのコレステロール吸収阻害剤、プロブコールなどのコレステロール異化促進剤を使用します。

それでも効果が足りない場合に、LDLアフェレシスという体外循環を用いてLDLコレステロール(悪玉コレステロール)を取り除くことができる治療法を行ないます。これは、機械装置を使って血液からLDLコレステロール(悪玉コレステロール)を直接除去する方法で、動脈硬化の進行を遅くすることができます。1~2週間に1回の頻度で、一生、続ける必要があります。

Ⅱa型高リポ蛋白血症ホモ接合体の発症者に対して、LDLアフェレシスの導入が遅れると心筋梗塞で死亡する場合もあり、ベッド上で治療の時間中、安静にできるようになる4歳~6歳には治療を始めることが望まれます。治療法の一つとして、 生体肝移植が選択される場合もあります。

適切な治療を行なわない場合、予後は極めて不良です。

🇮🇱肉芽腫性口唇炎

唇が全体的にはれ上がり、再発の繰り返しもある疾患

肉芽腫(にくげしゅ)性口唇炎とは、唇が全体的にはれ上がる特徴的な変化を示す疾患。痛みを伴うことはありませんが、再発を繰り返すことも少なくありません。また、この肉芽腫性口唇炎では、舌の表面に多数の溝(みぞ)ができる溝状舌(こうじょうぜつ)を伴ったり、顔面神経まひを同時に発症したりすることもあり、特にメルカーソン・ローゼンタール症候群と呼ばれています。

肉芽腫性口唇炎は、男女差なく発症し、若年者から中高年者に多くみられます。

肉芽腫が形成される原因は完全には明らかになっておらず、不明な点も多く残っています。原因の一つとしては、虫歯や歯周病など口腔(こうくう)内の疾患が挙げられます。

また、歯科治療において使用する歯冠や矯正具などの金属が唾液(だえき)と反応してイオン化し、イオン化した金属がアレルゲンとなってアレルギー反応を起こすことも、肉芽腫が形成される原因の一つであると推定されています。

そのほかにも、遺伝的要因や食物アレルギー、自律神経失調、消化管に炎症が起きるクローン病なども関与していると考えられています。さまざまな原因が複合的に関与することで、肉芽腫が形成されるとも推定されています。

 肉芽腫性口唇炎を発症すると、非乾酪(ひかんらく)性類上皮細胞肉芽腫と呼ばれる特徴的な組織変化によって、突発的に唇がはれ上がります。唇の全体がはれることもあれば、上唇や下唇が限局的にはれることもあり、唇の周囲の皮膚にもはれがみられることもあります。

 痛みやかゆみを伴うことは、ありません。はれは数時間から数日で改善することもありますが、時間経過とともに再び、はれ上がり、再発することも少なくありません。何回も再発を繰り返すうちに、徐々に弾性のある硬いはれ上がりとなっていくこともあります。

何カ月も症状が持続している人には、一度、皮膚科や口腔内科、歯科口腔外科に相談してみることが勧められます。

肉芽腫性口唇炎の検査と診断と治療

皮膚科、口腔内科、歯科口腔外科などの医師による診断では、唇の組織変化を確認するために、組織の一部を採取して顕微鏡で調べる生検を行います。

発症の背景にある疾患を確認するためには、慢性の病巣感染の有無についての検査、金属パッチテスト、アレルギー検査(血液検査)、パノラマX線(レントゲン)撮影(虫歯の検査)、便検査、消化管内視鏡検査などを適宜、行います。
皮膚科、口腔内科、歯科口腔外科などの医師による治療では、発症する原因がはっきりせず必ず効果があるという処置法は確立されていないため、個々の症状、検査結果に応じて、発症に関与していると考えられる原因への標準的な処置を時には組み合わせて行います。

虫歯や歯周炎など口腔内の疾患が原因であると考えられる場合は、その治療を行います。金属パッチテストで陽性を示した場合は、歯科治療のための金属の除去を検討します。対症療法的に抗ヒスタミン薬を用いることもあります。

唇で生じている異常反応を抑えることを目的として、副腎(ふくじん)皮質ホルモン(ステロイド)や、アレルギー反応を抑えるトラニラストなどの治療薬を用いることもあります。

このような内科的な保存的治療で十分な効果が得られない場合には、症状の固定から1年以上経過した時点で、外科的に病変部位を切除することも検討されます。

🇹🇷ニコチン酸欠乏症

不規則な食事をするアルコール多飲者に発症

ニコチン酸欠乏症とは、ビタミンBの一つであるニコチン酸が欠乏することにより、皮膚炎、下痢、精神錯乱などを起こす疾患。ナイアシン欠乏症とも呼ばれ、とうもろこしを主食とする中南米などの地域ではペラグラとも呼ばれています。

ニコチン酸は、ナイアシンとも呼ばれる水溶性のビタミンで、蛋白(たんぱく)質に含まれる必須アミノ酸のトリプトファンから体内で合成されます。糖質、脂質、蛋白質の代謝に不可欠な栄養素であり、また、アルコールや、二日酔いのもとになるアセトアルデヒドを分解します。人為的にニコチン酸を摂取することで、血行をよくし、冷え性や頭痛を改善しますし、大量に摂取すれば血清のコレステロールや中性脂肪を下げる薬理効果もあります。

ニコチン酸欠乏症はとうもろこしを主食とする人に多い疾患ですが、日本では、不規則な食事をするアルコール多飲者にみられます。酒を飲むほどニコチン酸が消費されますので、つまみを食べずに大量に飲む人は、栄養不良に注意が必要です。特にビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンB6が不足すると、ニコチン酸の合成能力が低下します。

遺伝病であるハートナップ病の人も、トリプトファンが腸から吸収されないために、ニコチン酸欠乏症を発症します。

症状としては、日光に当たることによって手や足、首、顔などに皮膚炎が起こります。同時に、舌炎、口内炎、腸炎などを起こし、そのために食欲不振や下痢なども起こします。その後、頭痛、めまい、疲労、不眠、無感情を経て、脳の機能不全による錯乱、見当識の喪失、幻覚、記憶喪失などが起こり、最悪の場合は死に至ります。

日本では普通の食事をしている限り、重症にはなりません。食欲減退、口角炎、不安感などの軽いニコチン酸欠乏症が見られる程度です。

ニコチン酸欠乏症の検査と診断と治療

ニコチン酸欠乏症の治療は、ニコチン酸を含むビタミンB群の投与です。ニコチン酸アミドを1日50〜100mg投与し、他のビタミンBの欠乏を合併することも多いので、ビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンB6も併用して投与します。ビタミンB群は、お互いに協力しあって活動しているため、それぞれの成分だけではなく、ビタミンB群としてまとめて投与することが望ましい栄養素でもあります。

ニコチン酸の過剰症は特にありませんが、合成品のニコチン酸を100mg以上摂取すると、皮膚がヒリヒリしたり、かゆくなることがあります。とりわけ、ニコチン酸の摂取に際して注意が必要なのは、糖尿病の人です。ニコチン酸はインシュリンの合成に関与し、大量に摂取すると糖質の処理を妨げてしまいます。 一部の医薬品との相互作用を示唆するデータもあるため、すでに他の薬を服用中の場合は主治医に相談の上、ニコチン酸を摂取する必要があります。

🟥千葉県旭市の農場のうずら10万羽余り、鳥インフルエンザで処分

 千葉県旭市にある農場で死んだうずらから「高病原性」の疑いがある鳥インフルエンザウイルスが検出され、県はこの農場で飼育されているおよそ10万8000羽の処分を始めた。千葉県内で鳥インフルエンザの感染が確認されたのは今シーズン初めてである。全国では18例目。  千葉県によると、2...