2022/11/22

🟧塩野義製薬の新型コロナ飲み薬「ゾコーバ」の使用を緊急承認 軽症者も対象、国産初

 厚生労働省は22日、塩野義製薬(大阪市中央区)が開発した新型コロナウイルスの飲み薬を緊急承認しました。緊急承認は、感染症流行時などに迅速に審査する制度で、今回が初めての適用。発熱などの症状を1日早く改善させる効果があるとされます。軽症者にも使える初の国産の飲み薬となり、安定供給が期待されます。12月初めに医療機関に届けます。

 この薬は「ゾコーバ(一般名・エンシトレルビル)」。発症3日以内に飲めばウイルスの増殖を妨げる作用があるとされます。対象は12歳以上の軽症や中等症患者で、重症化リスクの有無は問いません。12歳未満の小児、妊婦や妊娠の可能性がある女性は使えません。1日1回、5日間服用します。新型コロナ感染症の医療費は公費のため、当面、患者の自己負担はありません。

 緊急承認は、感染症流行やバイオテロの発生などの緊急時に、迅速に審査して承認するもので、今年5月、医薬品医療機器法を改正して設けられました。安全性はこれまで通り確認する一方で、有効性は「推定」できればよく、通常は数千から数万人の臨床試験(治験)の規模を小さくできる可能性があります。また、感染状況などの社会的な必要性も考慮されます。

 塩野義製薬は2月に別の審査制度を希望して申請していましたが、改正法の成立後に緊急承認の申請に切り替え、6月と7月に開かれた専門家による審議を受けました。

 しかし、約400人分の治験のデータは、ウイルス量を減らす効果はみられたものの、疲労感や発熱などの12症状の総合的な改善効果は明確ではありませんでした。このため継続審議となりました。

 塩野義製薬は審議後も治験を続けており、9月に新たな結果を公表。約1800人の治験で、オミクロン型に特徴的な鼻水、のどの痛み、せき、発熱、倦怠(けんたい)感の5症状が改善する時間を7日程度にし、24時間短くする効果があると公表しました。一方、重症化を防ぐ効果は確認されていない。

 この日の審議会では、新たなデータを踏まえ、賛成多数で有効性が推定できると判断しました。ただし、承認期限を1年とし、追加解析や市販後のデータの提出なども要求しており、1年以内に効果を確認できなければ承認は取り消されます。委員1人は承認に反対しました。

 厚労省は承認後にゾコーバを100万人分購入する契約を結んでいます。国内で新型コロナの軽症者にも使える飲み薬は、ほかにアメリカのメルク社の「ラゲブリオ(一般名・モルヌピラビル)」とアメリカのファイザー社の「パキロビッドパック(一般名・リトナビル/ニルマトレルビル)」があります。

 2022年11月22日(火)

🟧北京市で初めて1日1000人が新型コロナ感染 初夏以来の半ロックダウン状態に

 中国の北京市の保健当局は22日、前日に確認された新型コロナウイルスの新規感染者が1438人だったと発表しました。現在の統計方法になって以来、初めて1000人を超えました。

 北京市では19日に中国で約半年ぶりとなる死者が確認されたのに続き、20日も91歳の女性と88歳の男性の感染者が基礎疾患の症状が悪化して死亡したということで、感染拡大への警戒が強まっています。 

 感染の拡大を受け、北京市当局は先週末からの飲食店の営業停止に加え、週明けからは企業にも出勤の大幅な制限を要請。学校の在宅授業もほぼ市内全域に広がり、今年の初夏以来の半ロックダウン状態になりました。

 北京市中心部の繁華街、王府井は、多くの店舗が臨時休業していて、人の姿も少なく閑散とした様子でした。また、北京市で感染者が最も多い中心部の朝陽区では、すべての飲食店で店内飲食が禁止されているほか、一部の店舗には感染対策を徹底するよう注意を促す大きな紙が貼られています。

 2022年11月22日(火)

🟧卵巣凍結でがん患者3人が出産 国内初、治療一段落後に再移植

 がん患者の女性から卵巣を取り出した後、急速に冷凍して保存し、治療が一段落したら再び移植する不妊治療で30歳代から40歳代の3人が出産していたことが19日、明らかになりました。聖マリアンナ医科大学(川崎市宮前区)が手法を開発し、臨床研究を進めていました。国内ではこの手法で、若くして月経がなくなった早発卵巣不全の女性が出産した例があるものの、がん治療を受けた患者の出産が明らかになるのは初めて。

 がん患者が治療前に生殖能力を温存するための選択肢が広がり、特に月経が始まっておらず卵子を採取するのが難しい小児がん患者の重要な手段になると期待されます。

 がん患者は抗がん剤や放射線治療によって卵巣の機能が失われ、不妊になるリスクがあります。これを防ぐため、聖マリアンナ医科大学のチームは、患者の卵巣を腹腔(ふくくう)鏡手術で摘出し、短冊状に切り分けて急速に冷凍して保存、がんの治療が一段落した時点で、卵巣を融解して体内の元々あった場所や近くの腹膜に移植する治療法を開発しました。卵巣には卵子のもとである原始卵胞が大量にあります。

 2010年から臨床研究として実施しており、これまで13人が凍結した卵巣を移植。2020年から今年にかけて、乳がんや悪性リンパ腫で治療をしていた兵庫県などの女性3人が自然妊娠や体外受精で出産しました。

 同様の医療には受精卵や卵子を凍結する手法もありますが、がん治療開始までの期間と月経の周期がうまく重ならないと実施が難しかったり、がん治療を一時中断する必要があったりしました。そのため、タイミングが制限されない卵巣の凍結が選択肢となりました。

 現在は技術が進歩し、いつでも卵子を採取できるようになったため、臨床研究の主な対象は、卵子が採取できない子供になっています。

 聖マリアンナ医科大学の鈴木直主任教授(産婦人科学)は、「がんの恐怖と向き合いながら将来子供を授かるという希望を持って卵巣を凍結する人たちにとって今回の成果は朗報だと思う」と話しています。

 がんと診断された後に卵巣を凍結し、治療後に再び体内に戻す手法を使って出産した3人のうちの1人は、「希望を持って前向きにがんの治療に取り組めた」と話しています。この手法は月経が始まっていない子供のがん患者にとって特に重要な選択肢になると考えられ、卵巣を保存する意義を患者や両親にどう説明するかが課題です。

 兵庫県播磨町の看護師越智静香さん(42)は2012年9月、乳がんだと判明。悪性度が高く、手術に加え、抗がん剤や放射線治療、がんの増殖を抑えるホルモン療法が必要でした。主治医から「子供を産むのは難しくなるが、しっかり治療する必要がある」と伝えられました。

 1年ほど治療に取り組んだ後、月経が再開。この時点で、生殖機能の温存を提案され、聖マリアンナ医科大学が開発した卵巣凍結を知りました。受精卵を凍結する選択肢もあったものの、ホルモン療法を数カ月止めなければいけなかったため、卵巣凍結を選び、2014年3月に片方の卵巣を保存しました。

 越智さんは、「前向きにがんの治療に取り組むため、治療後に妊娠、出産できる可能性を残したかった」と振り返ります。

 ホルモン療法を続けた後、2019年9月に卵巣を戻しました。凍結した際、卵巣にがん細胞が入り込んでいたら体内に戻した時に一緒に入ってしまうリスクがあると説明を受けていました。不安だったものの、海外ではがん細胞が入り込んだ事例はないと聞き、移植を決めました。

 不妊治療で4個の受精卵ができ、1回目の移植で妊娠。昨年10月、長男の健太くん(1)が生まれました。越智さんは、「私たち夫婦の妊娠、出産を応援し支えてくれた医療関係者の皆さんや家族、友人に感謝している」と喜んでいます。

 卵巣凍結は、生殖機能を温存する手法の有効性や、実施した事例の情報を集める厚生労働省の研究促進事業として進められています。数年前から、研究対象はまだ月経が始まっていない子供に移っています。月経が始まった後、月経周期に関係なくいつでも卵子を採取できる技術が普及し、がんの治療前に卵子や受精卵を保存しやすくなったためです。

 課題は、妊娠や出産が10年以上先になる子供に卵巣を凍結する意義をどう伝えるか。両親の理解も欠かせません。聖マリアンナ医科大学の鈴木直主任教授らは、全国の小児がん拠点病院で啓発に取り組んでいます。患者や両親への説明において、がん治療を担う主治医の役割は大きく、説明の際に使う動画も作成しました。

 鈴木教授は、「卵巣を保存するためにがんの治療が遅れてしまったら本末転倒。情報を早く伝えるには小児科の先生たちとの連携が重要で、ネットワークづくりを進めている」と話しています。

 2022年11月22日(火)

🟧新型コロナ、東京都で4619人感染 前週から594人増で17日連続前週上回る

 東京都は21日、新型コロナウイルスの感染者が新たに4619人確認されたと発表しました。前週の月曜日から594人増え、前週の同じ曜日を上回るのは17日連続です。死者は6人報告されました。

 直近7日間を平均した1日当たりの新規感染者数は8744・3人で、前週比は116・6%。

 新規感染者の年代別は30歳代が839人で最多。65歳以上の高齢者は309人でした。

 入院患者は2668人で、このうち人工呼吸器か体外式膜型人工肺(ECMO<エクモ>)を使っている重症の患者は、20日と同じ19人でした。

 重症者用の病床使用率は、20日よりも0・5ポイント上がって12・4%、全体の病床使用率は、0・5ポイント上がって35・1%でした。

 東京都の累計は感染者342万2373人、死者6114人となりました。

 2022年11月21日(月)

2022/11/21

🟧新型コロナ、全国で新たに4万2424人感染 前週から4800人増

 厚生労働省は21日、新型コロナウイルスの感染者が全国で新たに4万2424人確認されたと発表しました。1週間前の月曜日から約4800人増加し、17日連続で前週を上回りました。

 また、国内で感染して亡くなった人は、宮城県で6人、東京都で6人、北海道で5人、埼玉県で4人、大阪府で4人、千葉県で3人、岩手県で3人、群馬県で3人、青森県で3人、兵庫県で2人、広島県で2人、愛知県で2人、神奈川県で2人、秋田県で2人、三重県で1人、和歌山県で1人、奈良県で1人、富山県で1人、岐阜県で1人、岡山県で1人、栃木県で1人、滋賀県で1人、福岡県で1人、長崎県で1人の合わせて57人、累計で4万8338人となっています。

 21日の都道府県別の感染者数は、東京都4619人、北海道3812人、神奈川3485人、広島県2351人、埼玉県2163人、大阪府1834人、愛知県1641人、千葉県1638人など。

 また、新型コロナウイルスへの感染が確認された人で人工呼吸器や体外式膜型人工肺(ECMO<エクモ>)をつけたり、集中治療室などで治療を受けたりしている重症者は、21日時点で259人となっています。重症者の数は、20日と比べて3人減りました。

 北海道は21日、新たに3812人の新型コロナウイルス感染を確認したと発表しました。同日時点の病床使用率は48・4%で、1週間前から上昇しました。重症者向けは9・5%でした。患者31人の死亡も公表しました。

 新規感染者数の内訳は、北海道集計分が1434人、札幌市が1914人、旭川市が223人、函館市が179人、小樽市が62人。21日時点の入院患者数は前日から7人少ない1105人で、重症者は11人でした。確保病床数は2284床で、このうち116床が重症者向け。

 一方、厚生労働省は21日、大阪府内で新たに1834人が新型コロナウイルスに感染していることを確認したと発表しました。これで大阪府内の感染者の累計は224万1784人となりました。

 また、4人の死亡が発表され、府内で感染して亡くなった人は合わせて6698人となっています。重症者は20日より2人減って27人。

 2022年11月21日(月)

🟧気候変動の被害を支援する新たな基金創設へ COP27、途上国支援で合意

 エジプトで開かれている国連の気候変動枠組み条約の第27回締約国会議(COP27)は20日、温暖化で引き起こされる「損失と被害」を救済するための基金を創設することで合意しました。国連の枠組みで各国が協調して被害への資金支援に取り組むことが合意されるのは、初めてです。

 COP27は2週間にわたる交渉を経て会期を延長し、現地時間の20日早朝、成果文書を採択しました。

 それによりますと、最大の焦点となっていた気候変動による被害「損失と損害」に特化した資金支援について、特にぜい弱な途上国などを対象に新たな基金を創設することを決め、その具体的な内容は来年のCOP28で検討するとしています。

 こうした基金は干ばつや洪水などの被害を受けてきた途上国側が気候変動枠組み条約が採択された30年前から求めてきたもので、さらなる経済的な負担を懸念して慎重な姿勢を続けてきた先進国側が、パキスタンの洪水やアフリカ北東部の干ばつなど温暖化の影響とみられる気象災害が世界各地で頻発したことで、歩み寄った形となりました。

 また、成果文書には世界の平均気温の上昇を1・5度までに抑える努力を追求するとした昨年のCOP26の合意の内容が改めて盛り込まれました。

 さらに、各国が温室効果ガスの排出量を削減する努力を高めることが緊急に必要だとして、必要に応じて2030年までの削減目標を再検討し強化するとしていて、深刻さを増す気候変動への対策に各国が一致して取り組むことを求めています。

 COP27の閉幕に当たって議長を務めたエジプトのシュクリ外相がスピーチし、「現在の困難や課題、意見の相違などを超えて、多国間の外交はまだ機能している。私たちは引き続き気候変動との戦いを続ける」と述べました。

 今年、大規模な水害に見舞われたパキスタンのレーマン気候変動相は閉会に当たって途上国のグループを代表してスピーチし、「私たちは30年この場で奮闘してきたが、今日初めて、前向きな転換点を迎えることができた。損失と損害に対応する基金の設立は施しではなく、長期的な投資であり正義だ」と述べ、合意を評価しました。

 カリブ海の島国アンティグア・バーブーダの交渉団の担当者は島しょ国などで作るグループを代表してスピーチし、「新たな基金の設立は歴史的なことであり、新たな枠組みの始まりだ」と合意を評価しました。

 その上で、「私たちの道のりはまだ始まったばかりだ。基金の設計と運用について今後12カ月間、建設的に取り組むことをすべての関係者に呼び掛ける」として、各国に基金の実効性を確保するよう訴えました。

 2022年11月21日(月)

2022/11/20

🟧中国で約半年ぶりコロナ死者 北京市で外出自粛など制限強化

 中国政府は20日、北京市で19日に新型コロナウイルスの感染者1人が死亡したと発表しました。中国本土で死者が確認されるのは約半年ぶり。感染拡大が続く北京市では、当局が市民に外出自粛を呼び掛けるなど首都の防疫対策が緊張を増しています。

 11月に入って中国本土の感染者は約半年ぶりに1万人を超すなど増加傾向にあり、19日に確認された感染者は、空港検疫などを除き2万4215人。うち北京市は621人で、感染者の87歳の男性が基礎疾患が悪化して死亡しました。中国で前回、コロナ感染による死者が報告されたのは5月26日で、当時は上海市で1人が死亡しました。

 北京市内で人口が最多で、日本を含む各国大使館が集まる朝陽区は18日、感染拡大を防ぐため週末を自宅で過ごすよう求めました。同区ではこの前後に、店内飲食を停止する飲食店が拡大しています。今春に北京市で感染拡大が起きた際には当局が店内飲食の一斉停止を宣言したものの、今回は口頭など目立たない形で個別に停止を求めているもよう。 

 習近平(シー・ジンピン)指導部は11月10日、感染拡大を徹底的に封じ込める「ゼロコロナ」政策の継続方針を示す一方で、庶民が反発する「画一的な対応」の是正を指示。同方針を受けて一斉停止を避けているとみられる一方、北京市の日系企業駐在員は「何が起きているのか余計にわかりにくくなっている」と不信感を示しています。

 2022年11月20日(日)

🟧春節による移動で日本への影響懸念 中国で拡大の「ヒトメタニューモウイルス感染症」

 呼吸器感染症の「ヒトメタニューモウイルス(hMPV)感染症」は、国内外で例年患者報告がある疾患で、風邪に似た軽い症状ですむことが多いものの、人によっては重症化リスクを伴います。ワクチンや特効薬が存在しないのも特徴です。流行が伝えられる中国では1月28日から春節(旧正月)に伴う...