2023/09/18

🟧男性でも乳がんの可能性、2019年は全国で748人が罹患

 日本で活動する男性歌手・テレビタレントのブラザー・コーンさん(67)が、自身のSNSで乳がんを公表しました。早期に発見できたため命に別状はないと医師から告げられているということですが、治療に専念するため年内は活動を休止するということです。

 女性の乳がんは乳房にある乳腺にできますが、福井赤十字病院(福井県)の外科部長で、がん診療センター副センター長の田中文恵医師は「男性にも乳頭の奥に乳腺のもとがあり、誰でも乳がんになる可能性はある」と説明。症状として乳頭近くの痛みを伴わないしこりを挙げ、自覚した時は早期に受診するように呼び掛けています。

 国立がん研究センターがん情報サービス「がん統計」(全国がん登録)によると、2019年の男性の乳がん(上皮内がん含む)の罹患(りかん)者は全国で748人、福井県内では4人でした。田中医師によると一般的に50~70歳代の患者が多く、なりやすい年齢は女性よりもやや高めといわれています。

 早期発見のためには、乳頭付近を触ってしこりがないかをチェックすることが勧められ、女性のように乳房がないため、小さなしこりでも発見できるケースがあるといいます。田中医師は「乳がんのしこりはできても痛くない。痛くない時こそ放置せず、しっかり調べたほうがいい」と訴えています。

 男性乳がんの治療法は女性の場合とほぼ同じ。外科手術やホルモン治療、抗がん剤治療などを腫瘍の状態に応じて選択します。男性だからといって予後が悪いということはありません。

 気になる症状があれば乳腺外科を受診します。同科の受診者は女性が多いため、抵抗のある人はまず、かかりつけ医に相談してみます。田中医師は「可能性は低いが男性でも乳がんになることを知っておいてほしい。乳がんに限らず、自分の体に関心を持ち、変化に気付くことが大事」と呼び掛けました。

 国立がん研究センター中央病院、腫瘍内科の米盛勧科長によりますと、国内では、年間およそ10万人が乳がんと診断され、このうち男性は年間およそ600人と全体の1%未満だということです。

 男性では、60歳代から70歳代で見付かることが多いということで、胸や脇にしこりを感じたり、乳頭の出血や皮膚の潰瘍などに気が付いたりして、医療機関を受診するケースが多いということです。

 ただ、男性は乳がんの検査を受ける機会が少ないため、女性に比べるとやや進行した状態で見付かることが多いという報告があるということです。

 早期発見のためには、男性でも時々、入浴の際などに鏡で自分の胸の形を見たり、柔らかさに異常がないかなどを、確認してみることが大切だとしています。

 米盛医師は、「男性の乳がんは非常に少なく、女性より見つけるのが遅れる傾向がある。早期であれば治る可能性は十分あるので、胸や脇にしこりが触れたり、乳頭からの出血や皮膚の変色などの異常を認めたりした場合には、速やかに医療機関に相談してほしい」と話しています。

 2023年9月18日(月)

🟧45・5%の人が睡眠6時間未満、理想と差があると「うつ」増加傾向 「過労死等防止対策白書」概要判明

 過労死や労働実態を検証した政府の2023年版「過労死等防止対策白書」の概要が17日、判明しました。理想の睡眠時間を6時間以上とした人の合計が91・4%を占めた一方、実際に6時間以上確保できた人は全体の計54・4%しかいませんでした。6時間未満の人は計45・5%に上りました。

 白書は、労働時間が増えるほど睡眠の不足感が増えるとの分析結果から、深い眠りにつく時間を十分に確保する必要性を訴えました。白書は2016年から毎年まとめているもので、10月にも閣議決定されます。

 2022年度に認定された民間の労災件数は、脳・心臓疾患による件数が194件(前年度比22件増)で6年ぶりに増え、精神障害による件数は710件(同81件増)で4年連続で増加しました。

 白書では、労働安全衛生総合研究所が行った全国の自営業者や会社役員を含む就業者9852人への調査を分析。理想の睡眠時間より実際に確保できた時間が全体的に少ない傾向がありました。1週間に働く時間が20時間未満の人は、理想の睡眠時間よりも「1時間不足している」か「2時間不足している」と計53・4%が回答。この割合は労働時間が多い人ほど増加し、週60時間以上では計62・3%でした。

 また、分析結果では、働く時間が長いほど前日の疲労を翌朝に持ち越す頻度が増え、疲労を持ち越す頻度が増えるほど、うつ病や不安を感じる人の割合が増える傾向も出ました。

 白書は、企業で社員の健康管理を行う産業医の視点から、「過労の症状で一番危険なのは睡眠がとれなくなること」として睡眠の質向上を求めました。

 このほか白書では、総務省の労働力調査などを基に、労働時間や心の健康対策などの現状についても分析しました。週労働時間が60時間以上の雇用者が全雇用者に占める割合は、2022年は5・1%で、2012年の9・1%に比べて4・0ポイント低下しました。2021年の年次有給休暇の取得率は58・3%と、7年連続で上昇しました。

 2023年9月18日(月)

🟧東北地方、新型コロナ感染者高止まり 宮城県と岩手県が全国ワースト1、2位

 新型コロナウイルス感染症の定点把握で、1医療機関当たりの感染者数は9月4~10日の週で宮城県が32・47人、岩手県が29・87人となり、都道府県でワースト1、2位を占めました。東北では7月から患者数が増え始め、高止まりが続いています。若者を中心に感染が広がり、小中学校や高校の学級閉鎖に加え、入院や面会の制限に踏み切る病院も。専門家は屋内でのマスク着用など感染対策の継続を訴えています。

 東北各県では福島県で24・13人、秋田県で23・88人などとなっていて、山形県を除いては全国平均(20・19人)を上回っています。

 宮城県の保健所別では、仙南(57・57人)、大崎(42・70人)、石巻(42・30人)が突出しています。県医師会の佐藤和宏会長は12日の記者会見で、「仙南地方の基幹病院で入院を制限するなど、医療逼迫(ひっぱく)が深刻化している」と危機感を示しました。

 関係者が懸念するのが若年層の感染拡大。厚生労働省によると、4~10日の週は、全国の感染者数のうち19歳以下が全体の47・9%を占めました。

 学校現場にも影響が及んでいて、宮城県内の県立高校では8月28日~9月1日の週に3校、4~8日の週に8校が学年閉鎖や学級閉鎖の措置を講じました。

 石巻保健所管内の小中学校では、夏休み明けから9月15日までに石巻市で3校、登米市で8校、東松島市で2校が休校や学級閉鎖になりました。石巻市ではインフルエンザによる学年閉鎖も3校あり、うち1校はコロナでも学年閉鎖を余儀なくされました。

 石巻赤十字病院(石巻市)は9月7日から入院患者との面会の制限を厳格化し、当面は18歳以下による面会を不可としました。呼吸器内科が専門の矢内勝院長補佐は「院内感染のリスクを減らし、病院機能を維持するために実施した。状況が落ち着くまで、不要不急の面会を控えるようお願いしたい」と協力を求めます。

 現在の流行第9波について、矢内氏は「これまでと比べて今回は最大規模だとの認識を地域の各医療機関と共有している」と指摘。「重症化しづらいものの、感染が切っ掛けで誤嚥(ごえん)性肺炎や脱水などになった高齢者の入院が目立つ」と説明しています。

 新型コロナに関する厚労省参与の小坂健東北大大学院歯学研究科長(公衆衛生学)は「東京都のデータでは10歳代の感染拡大が家庭内感染の増加を招いており、東北も似た状況だろう。夏休み中に若者の交流が活発化し、学校の再開でさらに感染が広がった」と解説しています。

 「猛暑で換気の少ない室内の滞在時間が増えた影響もあるが、多くの人が『新型コロナは終わった』と考え、行動した影響が大きい」と小坂氏。屋内でのマスク着用や換気など、空気中を漂う微粒子「エアロゾル」対策の必要性を訴えます。

 一方、岩手県は1医療機関当たりの患者数が前の週まで2週連続で全国最多でしたが、9月4~10日の週は32・47人の宮城県に次いで全国2番目となっています。 

 9月10日までの1週間に岩手県内で報告された新型コロナウイルスの新規患者数は1医療機関当たり29・87人で、前の週を5・37ポイント下回っています。

 岩手県の医療政策室では県内では依然多くの患者が確認されているとして、場面に応じた適切な感染対策をするよう呼び掛けています。

 2023年9月18日(月)

🟧65歳以上の就業者912万人、1968年以降過去最多 全就業者の7人に1人が高齢者

 18日の敬老の日を前に総務省が17日発表した統計によると、2022年の65歳以上の就業者数は2021年より3万人増えて912万人でした。1968年以降で過去最多を更新しました。少子高齢化で生産年齢人口が減り、高齢者の働き手が人手不足を補っています。

 就業者数に占める働く高齢者の割合は2021年比0・1ポイント上昇の13・6%で、過去最高になりました。就業者の7人に1人を高齢者が占めます。

 65歳以上の就業率は25・2%でした。年齢別では65〜69歳は50・8%、70〜74歳は33・5%と上昇を続けています。

 定年延長や継続雇用などの雇用制度が充実し、高齢者が働きやすい環境が整ってきたことが影響しています。年齢別の就業率はこの10年間で、65〜69歳は13・7ポイント、70〜74歳は10・5ポイント、75歳以上は2・6ポイントそれぞれ上がりました。

 15日時点の人口推計によると、65歳以上の高齢者は3623万人で2022年に比べて1万人減りました。1950年以降で初めて減少に転じました。総人口に占める割合は29・1%と0・1ポイント高まり、過去最高を記録しました。

 1947〜49年生まれの「団塊の世代」が70歳代半ばに差し掛かり、後期高齢者の75歳以上は2005万人と初めて2000万人を超えました。総人口の16・1%を占めます。80歳以上は1259万人で10・1%となり、10人に1人の割合。

 日本は総人口に占める高齢者の割合が世界で最も高くなっています。人口10万人以上の200カ国・地域で比べると、日本は1位の29・1%、次いでイタリアの24・5%、フィンランドの23・6%と続きます。

 2023年9月18日(月)

2023/09/17

🟧コロナ感染が不安な父親はうつ病のリスク2倍に パートナーが出産前後の男性調査

 パートナーの女性が出産前後の男性が新型コロナウイルス感染症に強い不安を感じていたり、家族や周囲のサポート体制が不足していたりする場合、うつ病のリスクが約2倍に高まるとの調査結果を国立成育医療研究センター(東京都世田谷区)などの研究チームが発表した。

 同センター社会医学研究部の帯包エリカ研究員は、「父親は支援を求めにくい傾向がある。父親もメンタルに不調が出やすいことを認識して予防や対策に役立ててほしい」と述べました。

 研究チームは新型コロナ流行中の2021年8月、パートナーの女性が出産前後の男性約1700人に調査。産前産後ともに「新型コロナへの強い不安」があると最も高リスクで、強い不安がない人と比べて発症リスクが2倍超でした。また、困った時に家族の助けが得られにくい「家族機能の低さ」があると2倍弱でした。

 産前は医療や行政などの「ソーシャルサポートの低さ」があると約2倍、「子供時代の困難な体験」があると約1・6倍などが、高リスクでした。産前産後ともにうつ病既往歴がある男性も、高リスクでした。

 父親の産前産後のうつ病発症率は約10%前後といわれ、母親と同様な頻度で起こり、自身や子供の健康に影響を与える重要な問題ですが、父親に関する要因については明確になっていないことが多くあります。

 2023年9月17日(日)

🟧65歳以上の高齢者が推計3623万人に 1950年以降で初の減少、総人口に占める割合は過去最高

 総務省は17日、敬老の日の18日に合わせ、65歳以上の高齢者の推計人口(15日現在)が3623万人で、前年比1万人減だったと発表しました。比較可能な1950年以降で初めて減少したものの、総人口に占める割合は前年比0・1ポイント増の29・1%と過去最高となりました。

 高齢者人口の減少は、第1次ベビーブーム(1947~49年)世代が70歳代半ばを迎え、死亡者が増えていることなどが要因だといいます。一方、総人口(1億2442万人)も前年から54万人減ったことから、高齢者の割合は上昇しました。

 高齢者人口が横ばい傾向なのは、一時的だとみられています。国立社会保障・人口問題研究所は、第2次ベビーブーム(1971~74年)世代が65歳以上となる2040年には、高齢者が総人口の34・8%、3928万人に上ると推計しています。

 男女別では、男性が1572万人で、男性人口での割合は26・0%。女性は男性より479万人多い2051万人で、女性人口の32・1%を占めました。

 年代別でみると、75歳以上の人口は前年比72万人増の2005万人で、初めて2000万人を超え、総人口の16・1%を占めました。第1次ベビーブーム世代が2022年から75歳を迎え始めたためです。80歳以上は1259万人で、総人口に占める割合は前年比0・2ポイント増の10・1%と初めて10%を超え、10人に1人は80歳以上となりました。単身で暮らす人も多く、生活サポートの充実が課題です。

 国連の推計によると、日本の高齢者人口の割合(29・1%)は、人口10万人以上の200の国・地域の中で最も高くなっています。2位はイタリア(24・5%)、3位はフィンランド(23・6%)の順でした。

 一方、総務省の労働力調査によると、仕事をしている高齢者は19年連続で増加し、2022年は912万人と、過去最多を更新しました。就業者全体に占める割合は13・6%で、仕事をしている人のおよそ7人に1人は高齢者となっています。

 2023年9月17日(日)

2023/09/16

🟧東京都、10月以降の新型コロナ医療体制を見直し 入院調整や宿泊療養施設は終了

 東京都は14日、感染症対策連絡会議を開き、新型コロナウイルスを巡る10月以降の対応方針を確認しました。重症化リスクの高い高齢者らを受け入れる医療支援型施設の運用は継続する一方で、保健所や都の入院調整本部による入院調整、利用が少なくなっている宿泊療養施設の運営は終了します。

 外来や救急医療の逼迫(ひっぱく)を避けるため、最大750回線の新型コロナ相談センターの運営は続け、高齢者施設などの職員に対する集中的検査や検査キットの備蓄、専門家による感染状況の分析なども継続します。

 維持してきた酸素・医療提供ステーションについては、高齢者らの医療支援型施設に機能を集約して終了します。

 上田哲郎・医療体制戦略監は、「幅広い医療機関での患者受け入れを促進するなど、通常体制への移行を着実に進めていきたい」と述べました。

 新型コロナとインフルエンザの同時流行も懸念されていることから、小池百合子知事は「冬の感染拡大から都民の命と健康を守るため必要な体制はしっかりと確保していく」としています。

 2023年9月16日(土)

🟥茨城県の救急電話相談、2カ月間で最多2万9170件 選定療養費徴収が影響か

 救急車を呼ぶか迷った際に助言を受けられる茨城県の「救急電話相談」で、昨年12月と今年1月の2カ月間の相談は前年同期比約12%増の2万9170件に上り、過去最多となったことが11日、県への取材でわかりました。12月に始まった緊急性のない救急搬送患者から「選定療養費」を徴収する制...