2025/07/02

🟪糖尿病薬の服用で転倒リスク増 体重減少作用の強いタイプ

 転倒やそれに伴うけがは健康を大きく損ない、筋肉量の低下が転倒リスクを高めることが知られています。体重減少作用の強い糖尿病治療薬を服用した場合、転倒のリスクが高まる可能性があるとの研究結果を、筑波大や実践女子大のチームがイギリスの科学誌に発表しました。

 チームは、2014年から2021年に筑波大病院に入院した2型糖尿病患者471人に対して最長5年間にわたり、転倒の有無と体重変化に関するアンケートを1年ごとに実施し、転倒のリスク要因を抽出しました。患者の年齢の中央値は64歳で、退院後に1回以上転倒したのは173人でした。

 その結果、入院以前の転倒歴と退院時の年齢、糖尿病治療薬「SGLT2阻害薬」の服用が転倒のリスク要因として挙がりました。SGLT2阻害薬は血中の糖を尿に排出させる働きに加え、体重を減少させる作用もあります。服用していない人に比べ、転倒リスクは1・90倍でした。

 食欲を抑制することで体重減少作用がある別の糖尿病治療薬「GLP1受容体作動薬」については、単独の服用では統計的に有意な要因ではなかったものの、SGLT2阻害薬と併用した場合は、転倒リスクは3・13倍とより高まりました。

 チームによると、転倒歴や年齢はリスクとして知られていましたが、SGLT2阻害薬の服用が示されたのは初めて。調査結果をまとめた筑波大システム情報系の鈴木康裕特任助教は、「SGLT2阻害薬の服用やGLP1受容体作動薬との併用で、将来の転倒リスクが高まる可能性が示された。2型糖尿病患者にこれらの薬を処方する際には、適切な食事療法や運動療法を指導する必要性がある」と指摘しました。

 2025年7月2日(水)

2025/07/01

🟪熱中症予防に「経口補水液」を飲んではいけない!消費者庁が注意喚起 健康に大きな問題を引き起こす恐れ

 猛暑日や真夏日が続く折、熱中症対策にこまめな水分補給は欠かせません。しかし、脱水症に用いられる飲料「経口補水液」について、消費者庁は「スポーツドリンクのように普段の水分補給として飲むものではない」と注意を呼び掛けています。体に良さそうだからと日常的に飲んだり、熱中症の予防対策として摂取したりするのは間違いとしています。

 経口補水液とは、脱水時に体内から失われた水と電解質(ナトリウムイオン、カリウムイオンなど)を素早く吸収できる飲み物です。感染性胃腸炎による下痢や嘔吐(おうと)、発熱、過度な発汗などによって脱水症状が起きた場合に、水と電解質を効率的に吸収できるように特別な割合で成分が配合されています。

 「OS-1」(大塚製薬)、「アクエリアス 経口補水液 ORS」(日本コカ・コーラ)、「アクアソリタ」(味の素)などの商品が販売されています。ドラッグストアなどで手軽に購入できますが、病者向けの「特別用途食品」と国が定めており、脱水症状のない人が水分補給で飲むものではありません。

 ペットボトル入り清涼飲料水と見た目が似ているため、スポーツドリンク感覚で飲用している人もいますが、消費者庁は経口補水液の特徴や正しい飲み方について、次のように示しています。

(1)経口補水液はスポーツドリンクよりもナトリウムやカリウムが約3~4倍多く含まれています。

(2)脱水状態でない人が普段の水分補給として飲むものではありません。経口補水液は、医師や管理栄養士らと相談し、指導に沿って使用しましょう。

(3)ナトリウムやカリウムの摂取量を制限されている人は、飲み方を誤ると健康に大きな問題を引き起こす恐れもあるので、使用前に必ず医師に相談しましょう。また、ナトリウムやカリウム以外に糖質も含まれているため、医師から糖質の摂取量の制限を指示されている場合も注意が必要です。

(4)脱水を伴う熱中症に効果がある経口補水液もあるので、パッケージの表示をよく確認しましょう。

 2025年7月1日(火)

2025/06/30

🟩高齢者の安全な薬物療法ガイドライン改定 日本老年医学会、10年ぶり

 日本老年医学会は、「高齢者の安全な薬物療法ガイドライン」を10年ぶりに改定したと発表しました。高齢者に出やすい薬の副作用を防ぐために、慎重な投与が必要となる薬物のリストを更新。糖尿病や肥満症の治療に使われる薬が加わりました。

 高齢者はたくさんの診療科にかかり、薬が増えて副作用が生じる「ポリファーマシー」を引き起こしやすくなります。ガイドラインは、薬の効果や有害事象に関する論文などをもとに、「特に慎重な投与を要する薬物」や、高齢者が必要な医療を受けられなくなることを防ぐために治療の選択肢の一つとして検討するよう求める「開始を考慮するべき薬物」を示しています。

 「特に慎重な投与を要する薬物」には、糖尿病の治療薬の「GLP―1受容体作動薬」や「GIP/GLP―1受容体作動薬」が加わりました。吐き気や嘔吐(おうと)、下痢、食欲不振などに注意し、加齢に伴って心身の活力が低下した「フレイル(虚弱)」や全身の筋肉が弱る「サルコペニア」の患者では、体重減少に注意しながら投与の可否を慎重に判断する必要がある、としました。

 急に我慢できないほどの尿意を催したり、頻尿になったりする「過活動膀胱(ぼうこう)」の治療で使う「β3受容体作動薬」は、認知機能低下のリスクがないとして、「開始を考慮するべき薬物」に加わりました。

 ガイドラインの対象は75歳以上の高齢者や、75歳未満のフレイルの患者や要介護者。

 薬を自己判断でやめると、症状が悪化したり、予期せぬ副作用が出たりすることもあります。ガイドラインは医療者向けで、同学会は患者や家族、介護職に対して、自己判断で服薬を中止せず医師に相談するよう呼び掛けています。

 同学会理事長の神崎恒一・杏林大医学部高齢医学教授は、「暑くなると、脱水が引き金となり、腎機能の低下や薬物の有害事象が起こりやすくなる」と指摘し、「必要な薬を正しくのんでもらうためにも、重要なガイドラインだ」と話しました。

 2025年6月30日(月)

2025/06/29

🟩万博会場周辺の下水で感染症調査 はしか・MERSなど拡大予測の研究

 国内外から多数の人が訪れる大阪・関西万博を巡り、大阪健康安全基盤研究所(大安研)が会場周辺の下水に含まれる病原体を調べ、感染拡大を予測する実証研究を始めたことが29日、わかりました。万博会場などで体調不良で受診した患者の情報と合わせて解析することで、発生状況の早期探知や国内で流行するリスクがどれほどあるのか把握することが狙い。

 万博では半年の期間中、約350万人の訪日客を含む約2820万人の来場を見込んでいます。新型コロナウイルス流行後では最大級の国際的イベントで、大安研の朝野和典理事長は「技術を確立し、将来的な流行状況調査の負担軽減や医療提供体制の備えに生かしたい」としています。

 対象となる感染症は、はしかや中東呼吸器症候群(MERS)など約20種類。万博会場がある人工島・夢洲(ゆめしま)の周辺や、近隣の下水処理場でトイレなどの排水を週に1回採取し、ウイルスや細菌の遺伝子が含まれるかを調べます。

 2025年6月29日(日)

2025/06/28

🟩新型コロナ感染者、1医療機関当たり1人に 5月初め以来、前週比1・11倍

 厚生労働省は27日、全国約3000の定点医療機関から16~22日の1週間に報告された新型コロナウイルスの新規感染者数が3841人で、1医療機関当たり1・00人だったと発表しました。1人に達したのは、4月末から5月初めにかけての週以来。前週比は1・11倍で微増しました。

 新型コロナは、感染の規模が徐々に小さくなっているものの、例年夏と冬に流行を繰り返しています。

 1医療機関当たりの感染者数が最も多かったのは沖縄県で、前週の3・89人から5・87人に増加。愛媛県1・92人、埼玉県1・52人と続きました。少なかったのは島根県0・25人、秋田県と山形県が0・28人などでした。

 2025年6月28日(土)

2025/06/27

🟩訪問介護事業所、107町村でゼロ 中山間地や離島多く、経営難など

 ヘルパーが高齢者宅を訪れて身の回りの世話をする訪問介護サービスを提供する事業所がゼロの自治体が、2024年末時点で32都道府県の107町村に上ることが25日、わかりました。人口減少や高齢化が進む中山間地や離島の自治体が目立ちました。物価高などに伴う経営難やヘルパー不足が影響したとみられます。団塊世代が75歳以上となり、介護需要が高まる中、過疎地でのサービス提供の脆弱さが浮き彫りとなりました。

 利用者が必要なサービスを受けられない状況を避けるためにも、事業所の広域連携や経営の効率化を進めることが有効との指摘があり、行政による支援の強化が求められます。人手を確保するためヘルパーの賃上げなど待遇改善も重要となります。

 厚生労働省が公表している事業所の全国一覧に基づき集計。訪問介護事業所がゼロの自治体は2022年末は93町村、2023年末は97町村で増加傾向にあります。2024年末の107町村を都道府県別で見ると、北海道の14町村が最も多く、長野県10町村、沖縄県10町村、福島県8町村、高知県8町村が続きました。

 2025年6月27日(金)

2025/06/26

🟩「赤ちゃんポスト」設置へ補正予算可決、大阪府泉佐野市 慈恵病院の視察費など800万円計上

 大阪府の泉佐野市議会は25日、市が取り組む方針の「内密出産」や「赤ちゃんポスト」の関連予算を含む一般会計補正予算案を可決しました。市は近く連携する医療機関を明らかにし、早ければ来年度から導入するとしています。

 望まない妊娠に悩む女性が病院の担当者にのみ身元を明かして出産する「内密出産」や、育てられない新生児を匿名で預かる「赤ちゃんポスト」には、熊本市の慈恵病院と東京都墨田区の賛育会病院が取り組んでいます。泉佐野市で導入されれば全国3例目となります。

 可決された予算は、市による両病院への視察費など約800万円。市は今後、連携する病院に必要な設備の費用などを負担する方針です。ふるさと納税を原資とする基金を充てます。

 可決後に報道陣の取材に応じた千代松大耕市長は、行政主導で取り組むことで、病院と行政機関との調整が「スムーズにいくのではないか」と述べました。

 2025年6月26日(木)

🟪 6月の平均気温が過去最高を更新 、「観測史上最も暑い6月」に

 気象庁によりますと、今年6月の日本の平均気温は平年と比較して2・34度高く、統計を開始した1898年以降で最高を更新しました。  寒気と暖気の境目である偏西風が平年より北を流れ、日本上空が暖かい空気に覆われやすかったことなどが原因だということで、全国の122地点で歴代1位の高...