2025/11/15

🟥狂犬病ワクチン通年可能に 4~6月限定規則見直しへ

 犬の狂犬病ワクチンを巡り、厚生労働省の感染症部会は14日、接種期間を4〜6月の3カ月間としている現行の規則を見直し、通年接種を可能とする方針を了承した。国は狂犬病予防法施行規則を改正し、2026年4月に公布、翌2027年4月に施行される見通し。

 現行の施行規則では、生後91日以上の犬の所有者に対し、毎年1回、4月1日〜6月30日に予防注射を受けさせるよう義務付けている。自治体からは、飼い主の利便性向上や年度初めの業務が多い時期に重なるとして、見直しを求める提案が出ていた。

 厚労省が2024年に、都道府県と市区町村にアンケートをしたところ、約7割が通年接種に賛成だった。

 2025年11月15日(土)

2025/11/14

🟥東京都がインフルエンザの流行警報 11月は16年ぶり、学級閉鎖も相次ぐ

 東京都は13日、インフルエンザの流行警報を出した。直近1週間(3〜9日)に定点医療機関から報告があった患者数が警報基準を超えたためで、11月までに警報が出るのは2009年以来16年ぶり。6シーズンぶりに都内で警報が出た昨年と比べても6週早い。

 都によると、3~9日に定点医療機関から報告された患者数が、31保健所のうち12保健所(都内人口の46%)の管内で「1機関当たり30人」の警報レベルを超えており、都全体への警報基準に該当した。都内全体の患者数は1医療機関当たり29・03人まで増えている。

 今シーズンの幼稚園、小中高校などの学級閉鎖や臨時休校は1125件に上り、昨シーズン同時期の99件と比べて11倍超になっている。

 都は、こまめな手洗い・消毒やマスク着用といった対策のほか、感染が疑われる際は早めに医療機関を受診するよう呼び掛けている。

 2025年11月14日(金)

2025/11/13

🟥脱毛症など引き起こす遺伝子変異を発見 患者の症状改善に成功

 脱毛症や重いアトピー性皮膚炎などを引き起こす遺伝子変異を発見し、この遺伝子の働きを抑える薬を患者に投与して症状を改善することに成功したと、国立成育医療研究センターなどのグループが発表した。

 アレルギーの病気には生活環境だけでなく、遺伝的な要因が影響するものもあり、原因となる遺伝子を調べる研究が進められている。

 国立成育医療研究センターの森田英明研究部長らのグループは、脱毛症やアトピー性皮膚炎など重いアレルギーの症状があるものの、炎症を抑えるステロイド剤など一般的な治療で症状が改善しなかった男の子の患者について、原因を調べようと遺伝子を詳しく解析した。

 その結果、「JAK1(ジャック・ワン)」という遺伝子にこれまで知られていなかったわずかな変異が見付かり、細胞を使った実験でこの変異が炎症反応を引き起こしているとわかったということである。

 この遺伝子の働きを抑える薬はすでに実用化されていて、男の子に投与したところ、約5カ月後には脱毛症がほぼ治り、皮膚炎も改善したということである。

 森田研究部長は、「アレルギーの原因を調べる遺伝子検査は実用化されておらず、今回の患者のように対応する薬があっても治療に結び付かないケースは一定数あるとみられる。薬がない場合も開発につなげることができるので、遺伝子検査の実用化を目指すべきだ」と話していた。

 2025年11月13日(木)

2025/11/12

🟥市販薬2成分、販売規制対象に追加へ オーバードーズ対策でせき止めなど

 若者を中心に市販薬の過剰摂取、オーバードーズが問題となる中、せき止めなどの2種類の成分について新たに販売が規制される見通しとなった。

 販売が規制される見通しとなった成分は、せき止め作用のある「デキストロメトルファン」と、アレルギー症状を抑える「ジフェンヒドラミン」で、11日に開かれた厚生労働省の調査会で了承された。

 乱用の恐れがあるとして規制の対象となっている医薬品には現在、6種類の成分が指定されているが、昨年度、厚労省の研究班が行った調査で、「デキストロメトルファン」と「ジフェンヒドラミン」も直ちに規制対象にするべきだという見解がまとめられていた。

 若者を中心に広がるオーバードーズが問題となる中、乱用の恐れのある医薬品は、来年5

月から施行される改正医薬品医療機器法で、「指定乱用防止医薬品」として販売規制が強化される。

 規制されるのは錠剤などの飲み薬が対象で、18歳未満の若者への販売は、多量の購入を防ぐため、薬剤師が購入者の氏名や年齢のほか、他の薬局で購入していないかどうかを確かめることが義務付けられるほか、5日から7日分以下の製品1箱までとされる見通しである。

 厚労省は、今後、パブリックコメントを行った上で、今回の2種類の成分について規制の対象に正式に指定する方針である。

 市販薬の乱用は、孤立やストレスから逃れる手段として若者を中心に広がっていて、身体への深刻な影響が懸念されている。厚労省の研究班の2024年度の調査では、過去1年間に市販薬を乱用した経験がある高校生は1・4%、中学生は1・8%と推計されている。

 2025年11月12日(水)

2025/11/11

🟥神経性過食症、半数で回復 オンライン認知行動療法、福井大チーム開発

 食べ過ぎを繰り返し、太ることを恐れて吐いたり下剤を乱用したりする神経性過食症は、深刻な健康被害を伴う精神疾患である。考え方や行動のゆがみを直す認知行動療法が有効であることはわかっているものの、専門家が少なく、地方では受けにくい問題もある。福井大など国内7医療機関からなるチームは、自宅で手軽に受けられるオンラインの認知行動療法を開発し、約半数の女性患者で日常生活に支障がない程度に回復させる効果があったとアメリカの医学誌に発表した。

 神経性過食症は食事をコントロールできずに短時間に大量の食べ物を食べてしまう症状で、嘔吐(おうと)や下剤乱用、絶食、過剰な運動といった代償行動を繰り返す。体重に対する過度のこだわりがあり、健康の悪化だけでなく、体形を意識しすぎてうつ病になるなど、自傷や自殺のリスクも高い。20代女性で多く、女性の最大3%が生涯に発症するとされる。

 福井大は、東北大、千葉大、独協医大埼玉医療センター、徳島大、鹿児島大、国立精神・神経医療研究センター(東京都小平市)と共同で研究を実施。一般的なカウンセリングや抗うつ剤の処方など通常の外来治療を受けている15~54歳の女性の神経性過食症患者61人をほぼ半々に分け、一方のグループには外来治療に加え、独自に開発したオンライン認知行動療法を受けてもらい治療効果を検証した。

 認知行動療法は、心と行動の問題を続けさせている物の考え方や行動様式を特定し、それらを改善させることに焦点を置いた精神療法。通常は公認心理師などが担当し、8~16回にわたり個人やグループで、対話形式で行う。

 今回の検証では、パソコンやスマートフォンから好きな時間にログインできる週1回、計12回の治療プログラムを提供した。

 プログラムでは、過食に走る心理的な過程や健康的な食習慣などの知識を学ぶだけでなく、どんな食べ物を目の前に置いた時、どんな衝動を感じるか、どれだけ我慢できるかを実験したり、トラウマとなった体験を書き出したりして、認知や行動の修正を図る。

 患者はプログラムに取り組みながら、質問があればその都度、できるだけ早いタイミングで治療者からチャットによる回答や助言を受ける。

 検証に参加した患者の平均年齢は27・8歳、平均病歴は9・3年で、約半数が就業者だった。

 約3カ月後の評価で、過食と代償行動の合計回数は通常の外来治療のグループでは減らなかったのに比べ、プログラム参加者は週当たり平均19回から11回へと大幅に減少した。また、摂食障害の重症度を測る国際的な質問票による評価で、日常生活に支障がない症状にまで回復したと判断された患者の割合は、通常治療で13%、プログラム参加で45~55%だった。

 プログラムを開発した福井大「子どものこころの発達研究センター」の浜谷沙世助教(認知行動療法)によると、プログラムを受けた患者からは「自分のペースで進められるため、学習の振り返りや復習がしやすくて助かる」「対面でのカウンセリングが苦手なため、ストレスを感じることなく進めることができた」といった感想があった。

 同センターの水野賀史准教授(小児発達学)は、「自宅で専門的な治療を受けられる新たな選択肢として活用が期待できる。今のところ、保険診療や遠隔医療の制度が利用できるところまで至っておらず一般的には受けられないが、まずはこういう治療法があることを知ってほしい」と話している。

 2025年11月11日(火)

2025/11/10

🟥政府、自治体の検診情報をビッグデータ化して医療研究に活用へ 受診者もスマホで結果確認できるメリット

 厚生労働省は、市区町村が行う検診のデジタル化を進め、検査結果などを匿名化してデータベースに集約する事業に乗り出す。ビッグデータは大学や専門機関での医療研究に活用したい考えだ。住民側もスマートフォンで検診結果などを確認できるメリットがあり、受診率の向上も期待される。

 来年3月にも東京都千代田区や大阪府吹田市、宮崎県都城市など8市区町で、がんや歯周病など一部の検診を対象に実証事業を開始する。情報連携システムを構築し、自治体、医療機関、受診者の情報連携の検証を行い、2029年度には全国での実施を目指す。

 検診情報については、氏名などの個人情報がわからないように匿名化の処理をした上で、データベース化を進める。役所が持つ難病など公費負担医療の受診記録や予防接種の履歴などの情報と集約するほか、診療報酬明細書(レセプト)や特定健診などの情報を集めた別のデータベースとひもづけることも想定している。

 こうした医療情報を一元化することで、膨大なデータの分析が可能となる。大学や研究機関にデータを提供することで、病気の予防方法の発見などに結び付けたり、医療政策の立案に生かしたりする狙いがある。

 自治体の検診は、健康増進法に基づいて行われ、住民は低価格や無料で受けられる。現在は郵送などで受診券が届き、紙の問診票に記入する仕組みだ。

 デジタル化により、マイナンバーカードでの受診や、スマートフォンでの問診票入力が可能となる。マイナカードの専用サイト「マイナポータル」で検診結果を確認することもでき、住民側の利便性が高まることで、受診率の向上につながりそうだ。役所や医療機関は紙の資料送付といった作業の省力化を図ることができる。

 厚労省は2026年度予算の概算要求に24億円の関連費用を計上している。

 2025年11月10日(月)

2025/11/09

🟥アトピー角結膜炎、治療薬開発へ 富山大など世界初

 富山大、佐賀大、日大の研究グループは6日、アレルギー性結膜炎の一種「アトピー角結膜炎」の原因となるタンパク質を特定し、皮膚のかゆみに有効な既存の化合物が目の症状にも効果があることを突き止めたと発表した。アトピー角結膜炎はハウスダストなどが原因で、人口の20人に1人と患者が多くいる中、副作用が少なく、患部のみに作用する世界初の薬の開発につながる成果という。

 研究グループがアトピー角結膜炎を発症させたマウスを観察した結果、通常のマウスと比べると、皮膚のかゆみの原因物質として知られるタンパク質「ペリオスチン」が目に多く現れていることを確認した。

 さらに、アトピー性皮膚炎の治療薬として佐賀大などが開発中のペリオスチン阻害剤をマウスに点眼剤として投与したところ、目の炎症が抑えられた。マウスが後ろ足で目をかく動作も少なくなり、目のかゆみが消えたことがわかった。

 研究グループによると、花粉症を含むアレルギー性結膜炎の罹患(りかん)率は全人口の約45%で、慢性的なアトピー角結膜炎は5・3%。空気中の細かなほこりやダニが原因とされ、目に強いかゆみや異物感を伴って角膜を傷付け、悪化すると失明につながる場合もある。

 現在の治療薬としてはステロイド点眼薬と抗アレルギー性点眼薬があるものの副作用が課題で、特定の分子に作用する分子標的薬は存在しない。今後、研究グループは製薬企業と協力し、人への臨床を経て早期の新薬開発を目指す。

 2025年11月9日(日)

🟥狂犬病ワクチン通年可能に 4~6月限定規則見直しへ

 犬の狂犬病ワクチンを巡り、厚生労働省の感染症部会は14日、接種期間を4〜6月の3カ月間としている現行の規則を見直し、通年接種を可能とする方針を了承した。国は狂犬病予防法施行規則を改正し、2026年4月に公布、翌2027年4月に施行される見通し。  現行の施行規則では、生後91...