世界保健機関(WHO)は14日、コンゴ民主共和国(旧ザイール)中部カサイ州で感染が判明したエボラ出血熱の拡大を防ぐため、現地でワクチン接種が始まったと発表した。ただ届いたのは400回分にとどまり、AP通信は資金不足などで「接種が妨げられている」と指摘。対応が遅れると封じ込めが困難になるとの見方も出ている。
カサイ州で8月下旬に最初の感染が確認され、少なくとも16人が死亡している。コンゴ国内のワクチン備蓄は2000回分で、WHOなどは追加の約4万5000回分の輸送を急ぐが、コンゴでは交通インフラが脆弱(ぜいじゃく)なため配布に時間がかかる可能性がある。
ロイター通信によると、支援団体関係者は、アメリカのドナルド・トランプ政権による国際開発局(USAID)廃止の影響で、「効果的な対策が取れない恐れがある」と指摘した。WHOの担当者は「封じ込めは可能だが、好機を逃せば難しくなる」と警告し、支援を訴えた。
コンゴでは過去にもエボラ熱発生が相次いでおり、2018~2020年に東部で流行した際には2200人以上が死亡した。
2025年9月15日(月)