がんの遺伝子の変化を網羅的に調べて対応する治療を探す、がん遺伝子パネル検査を国内で受けた5万人超についての分析を、国立がん研究センターなどの研究チームが発表した。検査に基づく治療を受けられたのは8%で、がんの種類によっても差があった。
がんは遺伝子の変化によって起きることから、近年は遺伝子の変化を調べ、それに合った治療をするゲノム医療が推し進められている。100種類以上の遺伝子を同時に調べるがん遺伝子パネル検査は2019年に保険診療になった。
研究チームは、2019~2024年に検査を受けた約5万4000人について分析した。
検査の結果、治療法のある遺伝子の変化が見付かったのは73%に上ったが、国内未承認薬や治験段階のものも含まれ、実際にその治療を受けられたのは8%だった。ただ、経年的に改善してきており、2019~2020年には6%だったが、2023~2024年には10%に増えていた。
がんの種類によっても治療に結び付く割合には差があり、患者が多く薬剤開発が進んでいる肺がんは20%、甲状腺がんは35%と高かった。一方で、薬剤の開発が進みにくい膵(すい)がんや肝臓がんは2%に満たなかった。
患者の生存期間との関係を見ていくと、科学的根拠が強く国内承認済みの薬がある遺伝子変化が見付かった人は、最も予後が良かった。有効性のある薬が国内未承認薬だった場合でも、予後が良い傾向にあった。治験などを通じて未承認薬が使えれば、患者が恩恵を受けられる可能性がある。
国立がん研究センター研究所分子腫瘍(しゅよう)学分野の片岡圭亮・分野長は、「がん遺伝子パネル検査の有用性と限界、がんの種類によって違いがあることも明らかになった。今後、薬剤開発が進みエビデンスが確立されていくことが重要だ」と話す。
論文は6日、医学誌「ネイチャー・メディシン」の電子版に掲載された。
2026年1月9日(金)