2025/12/21

🟥アメリカFDA、淋病治療用の経口抗菌薬2種類を承認 薬剤耐性と戦う待望の新薬

 アメリカ食品医薬品局(FDA)は12日、淋(りん)菌による性感染症である「淋菌感染症(淋病)」向けの2種類の経口治療薬を承認したと発表した。

 一つ目は、アメリカのエンタシス・セラピューティクスが開発した経口顆粒剤「ゾリフロダシン(商品名:ヌゾルベンス)」で、成人および12歳以上で体重35kg以上の患者が対象である。泌尿生殖器における単純性淋菌感染症の治療に使用される。

 患者930人を対象としたゾリフロダシンの臨床試験では、単回投与で、標準治療(セフトリアキソン注射とアジスロマイシン錠の併用療法)と同等の効果が認められた。

 二つ目は、イギリスのグラクソ・スミスクラインが開発した経口錠剤「ゲポチダシン(商品名:ブルジェパ)」で、12歳以上で体重45kg以上の単純性淋菌感染症患者が対象である。

 患者628人を対象としたゲポチダシンの臨床試験では、ゲポチダシンの2回投与に標準治療と同等の有効性があることが確認されたものの、安全性に関する臨床データが限られているため、他に治療の選択肢がほとんどない患者に対して使用される予定である。なお、ゲポチダシンは今年3月に尿路感染症の治療薬として初めて承認された。

 単純性淋菌感染症は、尿道や子宮頸部などの局所的な淋菌感染を指し、治療せずに放置すると生殖器への感染拡大や不妊につながる恐れがある。淋菌は多くの薬剤に対して耐性を獲得しつつあり、これまで使われていた抗菌薬が効かなくなってきていることが懸念されている。

 2025年12月21日(日)

🟥神奈川県、はしか患者と接触した人にワクチン無料接種 蔓延防止のため22日から実施 

 感染力が非常に強いはしか(麻疹)患者が増加していることを受け、神奈川県は22日から患者の接触者を対象に予防ワクチン「麻疹・風疹混合ワクチン(MRワクチン)」の無料接種を始める。保健所から自身が接触者との連絡があった場合などに、来年3月末まで県が指定する10の拠点医療機関で緊急接種できる。免疫を持たなかったり不十分だったりする人を主な対象とした取り組みで、県によると全国で初めてという。

 県によると、県内の感染者は2019年が94人だった一方、新型コロナウイルス禍の2020~2024年は0~1人を推移。しかし今年になって全国的に急増し、県内でも1~6月が39人、7月から11月末までが2人となっている。海外から入ったウイルスが広がったためとみられている。

 はしかは麻疹ウイルスに感染することで発症し、重症化の恐れがある。予防接種法では小学校入学前までに2度の定期接種を受けることになっている。県内の接種率は第1期が94・8%、第2期が90・4%(いずれも2024年度)。2度の定期接種を受けなかったことなどを理由に、免疫を持たない人や不十分な人が感染すると、ほぼ100%発症するとされている。

 患者に接触後、72時間以内にワクチンを接種すれば発症を防げる可能性があるものの、8000円~1万2000円程度の自己負担が課題だった。そこで県は9月補正予算で2240万円を投じ、280人分のワクチンを確保した。

 感染が確認された場合、医療機関から届け出があった保健所が患者からの聞き取り調査で接触者をリストアップし、ワクチン接種の対象者に連絡するという。報道発表などを通して患者と接触したと疑われることが判明した場合は、各自で保健所に問い合わせてもらうことも想定している。

 黒岩祐治知事は、子供の定期接種の大切さを説明するとともに、感染拡大防止に向けて「早め早めに手を打つことが大事」と呼び掛けた。

 2025年12月21日(日)

2025/12/20

🟥アメリカが新生児検査の推奨疾患追加 協和キリンが治療薬を販売

 協和キリンは17日、重い病気を抱えた赤ちゃんを早期に治療するための「新生児スクリーニング検査」について、アメリカ保健福祉省が検査を推奨する病気に希少疾患の「異染性白質ジストロフィー(MLD)」を加えたと発表した。協和キリンの子会社がMLDの治療薬を手掛けており、普及につながると見込む。

 MLDは10万人当たりで1人程度にみられる希少疾患で、患者の半数が乳幼児期に発症し、多くが5年以内に亡くなっている。協和キリンの子会社であるイギリスのオーチャード・セラピューティクスが治療薬「レンメルディ」をアメリカで販売しており、2024年の売上高は全世界で33億円だった。投与対象となる発症前の患者を見付けにくいのが課題とされる。

 新生児スクリーニング検査では赤ちゃんが重い先天性の病気を抱えているか発症前に調べられ、早期の治療につなげられる。レンメルディが普及するにはスクリーニング検査の対象にMLDが加わることがカギといわれてきた。アメリカ当局の推奨を受け、各州は今後MLDを検査対象に加えるか検討する。

 2025年12月20日(土)

2025/12/19

🟥しらすパックにフグ稚魚混入、毒があり自主回収 福岡市のスーパー「種類が違うもの入っていたら通報を」

 福岡市のスーパーで販売されたパック詰めの「釜揚げしらす」に、フグの稚魚とみられる魚が混入していたことがわかった。毒を持っている可能性があり、販売店が自主回収を進めている。

 福岡市によると、17日、福岡市西区小戸のフードウェイ小戸店でパック詰めの「釜揚げしらす」を購入した客から「フグの稚魚が混入していた」と保健所に連絡があった。

 購入客は離乳食を作ろうとしていたところ、別の魚が混ざっていることに気が付いたということである。

 連絡を受けた福岡市の職員が店舗の在庫を確認したところ、新たにもう1パック、フグの稚魚とみられる魚が混入しているものが見付かった。釜揚げしらすは加工された状態で店舗に入荷され、売り場で小分けして販売されていたということである。

 フードウェイ小戸店では12月3日以降、同様の商品を少なくとも270パック販売したが、今のところ健康被害の報告はないということである。

 フグは猛毒のテトロドトキシンを持っている可能性があり、フードウェイは自主回収を進めている。

 福岡市は購入者に対して、「違う種類の魚が混入していた場合は、食べずに販売店や保健所に相談してほしい」と呼び掛けている。

 2025年12月19日(金)

2025/12/18

🟥北極が観測史上最も暑い年を記録 アメリカ海洋大気庁報告書

 アメリカ海洋大気庁(NOAA)は16日、年次報告書「北極圏報告カード」を公表し、北極が観測史上最も暑い年を記録したことを明らかにした。

 報告書によると、北極の気温は2024年10月から2025年9月の間、1991年から2020年の平均より1・60度高かった。報告書は1900年まで逆上るデータを基に構成された。

 共同執筆者でアラスカ大学のトム・バリンジャー氏は、「これほどの短期間で急速な温暖化が見られるのは警戒すべきことだ」と述べ、このような傾向は「近年では前例がなく、数千年単位でも前例がない可能性がある」と指摘した。

 報告書によると、北極では過去1年間に、1900年以降最も暖かい秋、2番目に暖かい冬、3番目に暖かい夏が記録されたという。

 人為的な化石燃料の燃焼により、北極の温暖化は地球全体の平均をはるかに上回る速さで進行している。「北極温暖化増幅」として知られるこの現象は、複数の要因によって引き起こされているという。

 また、北極海氷は春に最大となるが、2025年3月には過去47年で最小のピークが観測された。予測モデルによると、北極は2040年、あるいはそれよりも前に、ほぼ海氷のない夏を迎える可能性があるとされた。

 2025年12月18日(木)

2025/12/17

🟥「臍帯」使い傷付いた神経再生、京都大などが治験開始へ 「バイオ3Dプリンター」で管を作製

 京都大などの研究チームは、臍帯(さいたい)(へその緒)を使って、手指の末梢(まっしょう)神経が傷付いた患者を治療する治験を2026年1月に始めると発表した。臍帯の細胞を培養し、立体的に組織を作る「バイオ3Dプリンター」で神経を覆う管を作製し、傷付いた部分に移植する。

 臍帯には、組織を修復する細胞が含まれている。他人へ移植しても、拒絶反応を起こさないとされる。研究チームは動物実験で、神経が再生するのを確認した。治験では、指の神経が傷付いた3人の患者に対し、作製した管を移植する。経過を約9カ月観察し、安全性と有効性を確かめる。臍帯は、東京大医科学研究所の臍帯血・臍帯バンクが保管しているものを活用する。

 事故などで、手指の神経を損傷した患者に対しては、患者自身のほかの場所の神経を移植する治療が行われている。だが、神経を採取した場所にしびれや痛みが出ることがある。

 このため研究チームは当初、患者の皮膚の細胞を取り出し、バイオ3Dプリンターで神経再生を促す筒状の組織を作る方法を模索したが、培養に時間がかかり、作製するまでに約2カ月かかった。臍帯の細胞を使えば、期間を半分程度に短縮できるという。

 研究チームの池口良輔・京都大教授(手の外科)は、「欠損した神経の長さや太さによっては、神経の再生を諦めざるを得ない場合もあったが、治療ができるようになる可能性がある」と話している。

 2025年12月17日(水)

2025/12/16

🟥老眼の点眼薬、アメリカで承認 薬物治療に新たな選択肢

 アメリカの製薬企業レンズ・セラピューティクスは、同社が開発した老眼治療用の点眼薬「VIZZ」がアメリカ食品医薬品局(FDA)に承認されたと発表した。アメリカでは2021年に他社製品の「VUITY」が承認されており、老眼の薬物治療に新たな選択肢が加わった。

 日本には今のところ老眼用の承認薬がないが、老眼は加齢に伴ってほぼすべての人がかかる疾患だけに、眼鏡や手術に頼らない簡便な対策として注目されそうだ。

 正常な目は「毛様体筋(もうようたいきん)」という筋肉が伸縮し、レンズの役割をする水晶体の厚みを変えることでピントを合わせる。しかし年齢を重ねると毛様体筋が衰え、水晶体の弾力性も失われる。その結果、ピントを合わせにくくなり近くがぼやける。これが老眼だ。

 同社によると、VIZZの有効成分アセクリジンは毛様体筋ではなく、瞳孔(黒目)の大きさを調節する虹彩の筋肉「瞳孔括約筋(どうこうかつやくきん)」に作用し、瞳孔径を2ミリ未満に縮小する。これによって「ピンホール効果」が生じ、近くに焦点が合いやすくなる。1日1回の点眼で30分以内に効果が表れ、最長10時間持続する。

 先行したVUITYも同様に瞳孔を縮小させるが、その有効成分ピロカルピン塩酸塩が瞳孔括約筋と毛様体筋の両方を収縮させるのに対し、アセクリジンは瞳孔括約筋に選択的に働くため副作用を軽減できるという。

 臨床試験では刺激感やかすみ目、頭痛などの副作用が報告されたが、同社は「大部分は軽度かつ一過性で、自然に消失した」としている。

 ピロカルピン塩酸塩の点眼薬は、日本では緑内障の治療に使われているが、老眼の改善目的では自由診療扱いとなり、保険は適用されない。

 2025年12月16日(火)

🟥アメリカFDA、淋病治療用の経口抗菌薬2種類を承認 薬剤耐性と戦う待望の新薬

 アメリカ食品医薬品局(FDA)は12日、淋(りん)菌による性感染症である「淋菌感染症(淋病)」向けの2種類の経口治療薬を承認したと発表した。  一つ目は、アメリカのエンタシス・セラピューティクスが開発した経口顆粒剤「ゾリフロダシン(商品名:ヌゾルベンス)」で、成人および12歳...