アメリカ食品医薬品局(FDA)は12日、淋(りん)菌による性感染症である「淋菌感染症(淋病)」向けの2種類の経口治療薬を承認したと発表した。
一つ目は、アメリカのエンタシス・セラピューティクスが開発した経口顆粒剤「ゾリフロダシン(商品名:ヌゾルベンス)」で、成人および12歳以上で体重35kg以上の患者が対象である。泌尿生殖器における単純性淋菌感染症の治療に使用される。
患者930人を対象としたゾリフロダシンの臨床試験では、単回投与で、標準治療(セフトリアキソン注射とアジスロマイシン錠の併用療法)と同等の効果が認められた。
二つ目は、イギリスのグラクソ・スミスクラインが開発した経口錠剤「ゲポチダシン(商品名:ブルジェパ)」で、12歳以上で体重45kg以上の単純性淋菌感染症患者が対象である。
患者628人を対象としたゲポチダシンの臨床試験では、ゲポチダシンの2回投与に標準治療と同等の有効性があることが確認されたものの、安全性に関する臨床データが限られているため、他に治療の選択肢がほとんどない患者に対して使用される予定である。なお、ゲポチダシンは今年3月に尿路感染症の治療薬として初めて承認された。
単純性淋菌感染症は、尿道や子宮頸部などの局所的な淋菌感染を指し、治療せずに放置すると生殖器への感染拡大や不妊につながる恐れがある。淋菌は多くの薬剤に対して耐性を獲得しつつあり、これまで使われていた抗菌薬が効かなくなってきていることが懸念されている。
2025年12月21日(日)