アメリカなどの国際研究チームが7月26日付のアメリカの科学誌「サイエンス」に、そんな内容の研究論文を発表しました。
主要なメンバーが同じ別の研究チームが、同時に発表したもう1本の研究論文では、流行の初期のデータを分析した結果、タヌキなど生きた哺乳類が売られていた中国・武漢市の「華南海鮮卸売市場」が、種を越えた感染の「発生地」と考えられるとしています。
新型コロナの「起源」は、動物から人へ、種を越えて感染したウイルスだとする説が有力。しかし、いつ、どのように種を越えた感染が起きたのかは、直接的な証拠がなく、よくわかっていません。
世界でも最初の流行は中国・武漢市で起こり、およそ5万人が感染し4000人近くが死亡しました。この武漢市の複数の患者の検体を分析した結果から、初期の新型コロナウイルスは2つの系統に大別できることがわかっています。
野生のコウモリから見付かったコロナウイルスに進化的により近い「A系統」と、A系統より早く感染拡大を起こし、その後の世界の流行の中心になった「B系統」。
B系統は、いわゆる「武漢型」とも呼ばれ、今も世界中で拡大するオミクロン型などの変異型の「親」に相当し、ワクチン開発の最初のターゲットにもなりました。
研究チームは今回、種を越えた感染がどのように起これば、AとB、2つの系統が生まれ、実際の感染拡大を再現できるかシミュレーションしました。
まず、種を越えて感染した単一の「起源」から、AとB、2つの系統が派生したと仮定して検討すると、実際の感染拡大パターンと整合しませんでした。
一方、2つの系統にそれぞれの「起源」があると仮定すると、A系統が動物のコロナウイルスにより近く、B系統による感染拡大がより早く起きたことをうまく再現できました。
種を越えた感染の時期は、B系統が2019年11月中旬、A系統は同月下旬と推計されました。
また分析では、種を越えた感染が起こっても、多くの場合でそのウイルスは次の人に感染できず、自然に消滅すると予測されました。
現実に起こったように、最終的に、AとB、2つの系統が生き残るには、少なくとも2回、最大23回の種を越えた感染が起きた可能性があるとされました。
2022年7月27日(水)
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