アキレス腱の周囲組織に炎症性変性や肥厚が起こり、踵の上が痛みを伴ってはれる疾患
アキレス腱(けん)周囲炎とは、アキレス腱の周囲組織であるパラテノン(疎性結合組織)に炎症性変性や肥厚が起こり、踵(かかと)の上が痛みを伴ってはれる疾患。
アキレス腱は、ふくらはぎの筋肉である下腿三頭筋(かたいさんとうきん)とヒラメ筋の腱部分で、踵の骨である踵骨(しょうこつ)に付着しており、足首を足底側に曲げる働きをしています。
アキレス腱自体の細かい部分断裂、変性により炎症が起こるアキレス腱炎と同様、アキレス腱周囲炎は非感染性の炎症で、主にスポーツなどによる使いすぎ(オーバーユース)で起こります。
長時間の立ち仕事や、足に合っていない靴を履くことなどによって、生じることもあります。扁平足(へんぺいそく)などの足部変形が原因の一つになって、生じることもあります。
アキレス腱周囲炎はアキレス腱炎と同時に発症していることも多く、厳密に区別することは難しいこともあります。
アキレス腱周囲炎の急性期は、アキレス腱が踵に付着している部分に赤いはれ、熱感がみられます。アキレス腱を押さえると、痛みがあります。
進行すると、歩行開始時や運動開始時にアキレス腱が踵に付着している部分より2~6cm上方に痛みが生じ、歩行中や運動中はアキレス腱を包むパラテノンの温度が上がり、柔軟性が出るため、痛みが和らぎます。
慢性化すると、歩行中、階段の上り下りでも絶えず痛みが生じます。走ったり、運動をすると、強い痛みが生じます。アキレス腱が踵に付着している部分からふくらはぎにかけて、はれを原因とする血行不良やしこりが生じたり、足関節の動きが悪くなり、足関節を動かすとアキレス腱にきしむような摩擦音が聞こえることもあります。
アキレス腱周囲炎の検査と診断と治療
整形外科、ないし形成外科、足の外科の医師による診断では、X線(レントゲン)検査を行うと、アキレス腱が膨らんでいるのがわかることがあります。 MRI(磁気共鳴画像撮影)検査を行うと、アキレス腱が膨らんでいるのがよくわかり、変性の程度などの詳細もわかります。
整形外科、ないし形成外科、足の外科の医師による治療では、保存療法を行います。まず、スポーツや立ち仕事などのアキレス腱に刺激を与えている原因を避けて、患部を安静に保ち、消炎鎮痛剤の内服や湿布剤の塗布を行います。
痛みが強く現れている場合には、患部へのステロイド剤の注射や、ギプスなどによる装具固定を行います。
痛みが治まったら、温熱療法やアキレス腱のストレッチ、靴への足底板の装着で症状の慢性化を防ぎます。
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