顔、体、腕などに薄い赤みがかった円形の発疹ができる疾患
亜急性皮膚エリテマトーデスとは、顔、首、腕、体幹などに薄く赤みがかった円形の発疹(はっしん)ができる疾患。
現れる症状はさまざまであり、発熱を伴って突然発症することもあれば、数カ月から数年の期間にわたって関節痛や倦怠(けんたい)感などを繰り返しながら、潜行的に進行していく場合もあります。また、血管性頭痛やてんかん、精神症状が現れることもあり、あらゆる器官系統に関係した症状を示します。特に再発性の発疹が顔、首、腕、体幹とさまざまな部位に出現します。日光に当たって赤くなる光線過敏性を示したり、色素脱失を示すことがあります。関節炎や疲労感は多くの発症者にみられますが、重篤な腎(じん)障害や中枢神経症状はあまりみられません。
男性より女性に多くみられ、特に40歳前後の中年女性に認められます。
亜急性皮膚エリテマトーデスの原因は、はっきりとは解明されていないのが現状です。皮膚症状の現れ方に人種差が大きいことから、遺伝的要因が関係しているとの報告があります。併せて発症の要因として、紫外線が関係しているとされ、紫外線にさらされることで免疫細胞(白血球)が不適切に活動して発疹が出現すると推測されています。この亜急性皮膚エリテマトーデスは、膠原(こうげん)病の一つである全身性エリテマトーデスと症状が重なる疾患です。全身性エリテマトーデスの場合は膠原病科を受診しますが、亜急性皮膚エリテマトーデスの場合には皮膚科、皮膚泌尿器科を受診します。
亜急性皮膚エリテマトーデスの検査と診断と治療
皮膚科、皮膚泌尿器科の医師による診断では、特徴的な皮膚の発疹の症状から判断しますが、同じ発疹が見られる全身性エリテマトーデスやシェーグレン症候群などの膠原病がないか調べる必要があります。この発疹を認める約半数は、全身性エリテマトーデスの診断基準を満たします。
膠原病がないか調べるため、血液検査や皮膚生検といって皮膚の一部を採取して顕微鏡で調べる検査を行います。膠原病を除外するためにX線検査、CT検査、MRI検査、心電図などの検査を行うこともありますが、画像検査で亜急性皮膚エリテマトーデスそのものを診断することはできません。
皮膚科、皮膚泌尿器科>の医師による治療では、全身性エリテマトーデスやシェーグレン症候群がある場合は、これらに対する治療を優先します。ない場合には、ステロイド薬(副腎〔ふくじん〕皮質ステロイド薬)の軟こうを用いて、発疹の症状を和らげる対症療法を行います。
ステロイド薬の軟こうのみで改善しない場合は、ステロイド薬の飲み薬を用いたり、免疫抑制薬を用いて炎症をコントロールすることもあります。
ただし、適切な治療を行っていても症状を抑えるのに時間がかかったり、発疹が再発を繰り返す傾向を示すことがあります。
/p>亜急性皮膚エリテマトーデスの治療や予防に有効的なのは、紫外線による発症の可能性があるため、日光または紫外線への皮膚露出を最小限にすることです。屋外に出る際、強い日焼け止めを使用することや長袖(ながそで)の衣服を着用することなどが、必要となります。
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