下肢に点状の紫斑ができ、慢性化して褐色調の色素斑ができる皮膚疾患
特発性色素性紫斑(しはん)とは、点状の紫斑が主に下肢にたくさんでき、慢性化するうち、次第に褐色調の色素斑をみるようになる皮膚疾患。慢性色素性紫斑とも呼ばれます。
中年以降の人に好発し、やや男性に多くみられます。時に小児、若年者にもみられます。皮膚に出血がみられますが、血液学的に異常はなく、内臓などの全身臓器からの出血はありません。予後も心配ありません。
いくつかの型があります。不規則な斑(まだら)ができるシャンバーグ病、環状の斑ができる血管拡張性環状紫斑(マヨッキー紫斑)、丘疹(きゅうしん)状の皮疹をみる紫斑性色素性苔癬(たいせん)状皮膚炎、かゆみの強い瘙痒(そうよう)性紫斑などです。
いずれも真の原因は不明ながら、微小循環障害と血管壁の弱さが関係するものと考えられます。症状の違いが何によるのかは、今後の解明を待たねばなりません。シャンバーグ病の原因については、うっ血による静脈内圧の高進や毛細血管を脆弱(ぜいじゃく)化する要因が存在するという説などがあります。また、何らかの遅延型過敏反応であるという説もあり、衣類の接触、扁桃(へんとう)炎などからの病巣感染、ある種の薬剤の関与などを指摘する報告などがあります。
特発性色素性紫斑は基本的に下肢、特に下腿(かたい)の裏側が好発部位で、おおかたは両脚に発症します。点状の紫斑で始まり、毛細血管が拡張し、次第に進行して大小の紅褐色の斑となります。大きくなると、辺縁は不規則な形になりますが、境界は明白です。色はやがて薄れてゆきますが、しばしば新生を繰り返して慢性化し、数年に渡ることもあります。紅褐色の斑が大腿、腰臀(ようでん)部へと拡大することもあります。
表面は平滑ですが、時にはカサカサしている場合もあり、かゆみを伴うこともあります。シャンバーグ病では、斑と斑の間に拡張した静脈あるいは静脈瘤(りゅう)の存在が認められることがあります。
特発性色素性紫斑に気付いたら、疾患を正しく把握するためにも、皮膚科、ないし皮膚泌尿器科の医師に相談してみることが勧められます。
特発性色素性紫斑の検査と診断と治療
皮膚科、ないし皮膚泌尿器科の医師による診断では、出血傾向の一般検査を行ない、血液学的に異常をみないことを確認します。組織を病理検査すると、慢性的な出血性の炎症がみられます。病変部は明らかな色素の沈着を残すので、診断は比較的容易です。
積極的な治療の必要はありません。症状の程度によって、血管強化剤、止血剤、抗炎症剤などが使用されます。病因を絶つ根本治療ではなく、対症的治療にとどまります。副腎(ふくじん)皮質ホルモン剤(ステロイド剤)の外用が有効なことがあります。静脈瘤を伴う例には、弾力包帯、弾力ストッキングを使用します。
慢性かつ進行性で一進一退を繰り返し難治性ですが、自然軽快もあり得ます。
衣類の接触とともに、使用中の薬剤などが疾患を悪化させているかどうかを観察し、日常生活の中で関係していると思われるものがあれば、それを避けるようにします。下肢の血液の循環に負担をかけないように心掛けることが大切で、長時間の歩行、立ち仕事などは避けるようにします。
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