低出生体重児が生まれて2〜3時間後に発症する、呼吸不全の一つ
新生児呼吸窮迫症候群とは、低出生体重児が生まれて2〜3時間後に発症する、呼吸不全の一つ。新生児肺硝子(しょうし)膜症とも呼ばれます。
発症する大部分は、1500グラム以下の低出生体重児で、特に生まれた時の体重が少ない場合ほど、発症しやすくなります。成熟児はまれにしか発症しないものの、母親に糖尿病があると、比較的発症しやすくなります。
普通、新生児は生まれた瞬間に産声を上げ、自発呼吸を始めると肺が広がります。新生児呼吸窮迫症候群では、主として肺が未熟なため、肺を広げておく肺サーファクタントという物質が欠如していて、そのために肺がよく広がらず、肺に空気が入りにくくなって呼吸不全が起こります。
肺が広がっているところも一部分あり、顕微鏡で見ると、その部分にガラスのような膜ができているので、新生児肺硝子膜症とも呼ばれます。
生まれて2〜3時間後に呼吸数が1分間に60以上と速くなり、息を吸う時に肋骨(ろっこつ)の間や胸骨の下部がへこんだり、息苦しそうにうめき声を出すなどの呼吸困難が現れます。酸素不足のために、皮膚は紫色になります。
呼吸困難は次第にひどくなり、生後24〜48時間が最も重くなる時で、呼吸が停止したり、死亡したりします。
生後3~4日目になると肺サーファクタントの産生が始まるため、4日目まで生き延びることができれば、呼吸困難は次第に軽くなり、治ります。
新生児呼吸窮迫症候群の治療
極めて高度の呼吸管理が必要なので、設備と要員の整った新生児特定集中治療室(NICU)を備えた医療機関に搬送し、そこで治療を行うことが必要です。
新生児特定集中治療室(NICU)では、小児科、新生児科の医師などが肺に管を入れて人工呼吸器による呼吸補助を行いながら、できるだけ早期に人工肺サーファクタントを気管から肺に注入します。胎便の吸引や、新生児仮死などが原因にある場合は、肺の洗浄、強心薬などによる循環の補助などの治療も、同時に行います。
多くは、2〜3日で改善しますが、数週間の治療が必要になることもあります。
予防的な治療として、妊娠33~34週以前に早産となりそうな場合には、出産前に母体にステロイド剤を投与して胎児の肺サーファクタントの産生を促すことが行われています。
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