高齢者に多くみられる続発性緑内障の一つ
水晶体嚢性(のうせい)緑内障とは、偽落屑(ぎらくせつ)症候群の目であることが原因となって、眼圧が上昇するタイプの続発性緑内障。眼圧が上昇することによって視神経が侵され、視野が狭くなったり欠けたりします。
偽落屑症候群は70歳以上に約5パーセントみられ、その約半数に水晶体嚢性緑内障がみられます。偽落屑症候群は、片目ないし両目の水晶体の前嚢、虹彩(こうさい)、隅角(ぐうかく)などに、フケのような白い物質である偽落屑が粉状から膜状に沈着している状態で、この偽落屑が線維柱帯という、眼内液である房水(ぼうすい)の排出路に詰まることで、房水が流出しにくくなって眼圧が上昇します。偽落屑の本体は、不明です。
偽落屑症候群の眼球では、瞳孔(どうこう)の縁が白く見え、そうでない眼球よりも緑内障、白内障になりやすい性質があります。また、水晶体を回りから支えているチン小帯という多数の細い線維が弱くなることが多く、白内障手術の際にチン小帯断裂という合併症を起こしやすくなります。
水晶体嚢性緑内障の検査と診断と治療
偽落屑症候群だけでは何の自覚症状もなく視力も視野も正常ですので、他の疾患でたまたま眼科を受診した時や、人間ドックの眼科検診で発見されます。偽落屑症候群といわれても治療の必要はありませんが、眼科医の指示通りに定期検査を受け、水晶体嚢性緑内障の合併を早期に発見することが大切です。
眼科の医師による水晶体嚢性緑内障の検査では、30〜40mmHgの高めの眼圧上昇と、水晶体、虹彩、隅角などにフケ状の偽落屑が沈着しているのを認めます。
治療としては、眼圧を下降させるために薬物療法、レーザー治療、手術療法を適宜行います。薬剤としては、局所に投与する点眼剤(縮瞳剤)や全身に作用する炭素脱水酵素阻害剤やグリセリンを用い、房水圧の抑制によって眼圧を下げます。
主に点眼剤でコントロールできなくなった水晶体嚢性緑内障に対しては、レーザー治療のレーザー線維柱帯形成術が行われ、隅角の先にある線維柱帯にアルゴンレーザーを照射し、熱凝固により房水流出抵抗を減少させ、眼圧下降を図ります。
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