周期が長い揺れが何度も続く地震で起きやすい、乗り物酔いのような症状
地震酔いとは、地震でもないのに大地が揺れているようなめまいや、ふらつきなどを感じる、乗り物酔いのような症状。周期が長い揺れが何度も続く地震を体験した際に起きやすく、2011年3月11日に発生した東日本大震災地震では、揺れた時間が6分と長く、しかも大きな余震も続いたことが原因となって、1週間たっても症状が抜けない人も多くみられました。
実際には大地が揺れていないのに、まだ揺れているという感覚が止まらなかったり、座っていても、めまいや、ふわっとした気持ち悪さがなかなか消えずに、気分が悪くなったりします。ひどくなると、顔面蒼白になったり、首や額、手のひらに冷や汗をかいたり、手足に冷感を覚えたりし、吐き気を伴うこともあります。
地震酔いのメカニズムは、船酔いや車酔いを始めとする乗り物酔いと同じです。大地が揺れている時の振動などによって、耳の奥にある内耳の三半規管と前庭という平衡器官が連続的に刺激されて、起こると考えられます。
体の平衡、すなわちバランスは、静止時でも運動時でも、脳やほかの神経系、目でも調節されますが、耳がたいへん重要な役割を果たしています。耳では、三半規管と前庭が体の平衡を調節しており、三半規管は主に回転運動に関係し、前庭は上下、前後の運動に関係しています。三半規管と前庭が病的に侵されると、立つことも歩くこともできず、めまいが起こります。
三半規管と前庭が強く刺激された例が乗り物酔い、そして地震酔いであり、この平衡器官は呼吸や循環器をつかさどる自律神経系とも連絡しているために、めまいを感じたり、気分が悪くなったり、冷や汗、吐き気などの症状が出てくるのです。
不安感なども、地震酔いの原因です。乗り物酔いをする人がバスの中のにおいや、たばこなど苦手なにおいがすると酔いやすくなるのと同じで、「また地震が起こるかも」、「親戚、家族は大丈夫だろうか」といった不安感が、余震による酔いを増幅させていると考えられます。
地震酔いが苦しい人は、深呼吸をし、冷たい水や温かいお茶を飲むなど、リラックスできる工夫をしてみて下さい。
軽い症状の場合は、まず、深呼吸をしてみて下さい。目を開けた状態で、ゆっくり深く息を吸い、息を吐き出します。次に、目を閉じた状態で、ゆっくり深く息を吸い、息を吐き出します。最後に、冷たい水や温かいお茶を飲みます。
睡眠不足も、地震酔いの要因になります。不安でなかなか寝付けない、寒くて眠れない場合もあるかと思います。暖房器具が使えない場合は、ペットボトルにお湯を入れて簡易カイロの代わりにするのも一案です。
目からの情報と体で感じる揺れ情報のズレが、地震酔いを引き起こすこともあります。読書や携帯メール、携帯ゲーム機のプレイなど、眼球の動きを細かくするような行為をしている時に起きやすいので、しばらく目を使うのはやめて、なるべく遠くの景色、できればあまり変化のない遠くの景色をぼんやり眺めるようにしましょう。歩いたり、軽いストレッチをするのも効きます。
子供などでは、極度の緊張から地震酔いになることもあります。そんな時は、腹を圧迫してはいけないので、体を締め付ける服装は避けます。ベルトやネクタイを外し、衣服を緩め、靴を脱ぎ、手足を伸ばして、体をリラックスさせて下さい。
乗り物での移動中や外出中に地震酔いになってしまった時には、地震酔いに効くツボというものがあります。手の甲を上にして、親指と人差し指の付け根の間にある「合谷」がツボですので、もう片方の手の親指と人差し指で挟むようにして、少し痛さを感じるくらい押してみましょう。
また、空腹すぎても、地震酔いが起こることもあります。そんな時は、梅干しを食べたり、紅ショウガをかじったり、きつめのミントガムやペパーミントガムをかんでいると治るケースがあります。
上記のすべての方法が効果を発揮しない際は、酔い止めの薬を飲みます。この内服薬は抗ヒスタミン剤が代表的で、眠気やだるさの副作用が伴うために、これに無水カフェインを含ませている薬もあります。内服液になっているものや、水なしで内服できるチュアブルタイプの薬もあります。
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