厚生労働省の専門部会は29日、イギリスの製薬大手アストラゼネカ製の新型コロナウイルス抗体薬「エバシェルド」の薬事承認を了承しました。発症後の治療のほか、感染前の投与で発症抑制効果も期待できる国内初の予防薬となります。厚労省は、早ければ30日にも緊急時に審査を簡略化できる「特例承認」で対応します。
「エバシェルド」は、アストラゼネカが6月に製造販売承認を求めて申請していました。ウルスが体内で増えるのを防ぐ抗体薬を2種類、それぞれ筋肉に注射します。発症後に投与する場合は、重症化リスクを持つ軽症から中等症患者が対象。予防薬としては、体質によりワクチンが打てない人や、接種しても持病で十分な免疫が得られない人などが使用できます。感染者と接触後の発症抑制効果は示されておらず、濃厚接触者は対象外となります。
アストラゼネカは臨床試験(治験)で、軽症から中等症の外来患者に対して発症から3日以内に投与し、重症化や死亡のリスクを88%減らしています。予防薬としては、投与から6カ月時点の感染が83%減ることを確認しており、これまでにアメリカやヨーロッパ連合(EU)、イギリスなどで使用が認められています。
オミクロン型の派生型「BA・2」への有効性は確認されている一方、現在主流の「BA・5」では効果が下がる恐れがあるとして「ほかの治療薬が使用できない場合に検討する」としました。
2022年8月29日(月)
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