尿道に移行する部分の膀胱の筋肉が硬くなって、排尿障害を起こす疾患
膀胱頸部(ぼうこうけいぶ)硬化症とは、膀胱の出口と尿道の境目にある膀胱頸部の筋肉が硬く厚くなって、排尿時に開きにくくなることが原因で、排尿障害を起こす疾患。主に男性にみられます。
前立腺(ぜんりつせん)炎や前立腺肥大症、膀胱炎から二次的に発症したり、前立腺の手術後などに発症します。まれに、先天性の膀胱頸部硬化症もみられます。
成人の膀胱頸部硬化症が起こる原因や仕組みに関しては、現在のところ解明されていません。先天的な筋肉の発生発育障害によるという説や、加齢・炎症など後天的要因に起因するという説など諸説があります。
症状としては、膀胱頸部の膀胱壁が硬く厚くなって排尿時に開きにくくなるために、尿が出始めるまでの時間が延長したり、尿の出が悪かったり、尿線が細かったり、尿が出始めてから終了までに時間がかかったりし、残尿感、頻尿が生じます。まれに、閉尿といって、尿が膀胱にあっても排尿できない状態になることもあります。
症状は前立腺肥大症によく似ていて、症状だけから見極めることはできません。
ほとんど男性にみられますが、時に女性でも慢性膀胱頸部炎などのため、膀胱頸部に慢性の刺激が加わり、同様の症状がみられることがあります。
成人の膀胱頸部硬化症では、しばしば尿路感染症や結石を合併し、小児にみられる先天性の膀胱頸部硬化症では、水腎症、腎機能障害を起こす場合があります。
尿の出が悪い、残尿感、頻尿などの症状がある場合には、前立腺肥大症も含めて検査する必要がありますので、泌尿器科で診察を受けて下さい。
膀胱頸部硬化症の検査と診断と治療
泌尿器科の医師による診断では、膀胱造影検査、膀胱鏡検査などが行われます。前立腺肥大症、前立腺がん、尿道狭窄(きょうさく)、神経因性膀胱など頻尿や排尿障害を起こす疾患でないことを確認し、膀胱頸部の硬化や狭窄などから膀胱頸部硬化症と確定されます。
泌尿器科の医師による治療では、膀胱頸部の緊張をとる目的で、交感神経遮断薬(α遮断薬)を使用する薬物療法、膀胱頸部を広げることのできるチューブ状の器具を用いる尿道ブジー療法などの保存的治療を行います。
根治的に治すためには、尿道から内視鏡を挿入して膀胱頸部を切開する場合が多いのですが、膀胱頸部を切除する手術を要することもあります。いずれにしても、処置後も比較的長期間、ある程度の拡張処置を外来で続ける必要があります。
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