2022/08/17

🇲🇬新生児壊死性腸炎

新生児の未熟な腸管に発症し、出血や壊死が起きる消化管疾患

新生児壊死(えし)性腸炎とは、未熟な腸管に発症する後天性の消化管疾患。

広範囲の腸管に出血や、組織や細胞の一部が死滅する壊死が起き、死亡率も高く、新生児医療における重い疾患の一つです。壊死の範囲や程度によって、重症度に幅があります。

原因は不明ですが、未熟な小腸と大腸への血液の流れが障害され、それに細菌などの感染症、人工ミルクによる腸管へのストレスなどの誘因が加わり、発症すると考えられています。症例の4分の3は、出生体重が1500グラム未満の極低出生体重児に発症しています。

生後4〜6日に発症することが多く、その多くは授乳開始後に発症しています。出生体重が1000グラム未満の超低出生体重児や、重度の子宮内胎児発育遅延が認められた新生児では、授乳開始前に発症するケースもあります。

症状としては、胃の中のミルク停滞、腹部膨満、粘血便などを認めます。腸管に孔(あな)が開く腸穿孔(せんこう)を起こすと、腹腔(ふくこう)内に腸管の内容物が漏れて腹部全体に炎症を起こす腹膜炎や、細菌が血管などに入り全身に感染する敗血症を生じ、重症になることがあります。

ほとんどが新生児特定集中治療室(NICU)に入院中の新生児に発症するため、全身管理を行い、必要であれば直ちに外科治療を行う必要があります。

新生児壊死性腸炎の検査と診断と治療

小児科、小児外科の医師による診断では、特徴的な症状に加え、腹部X線(レントゲン)検査を行うと、腸管拡張像、腸壁内ガス像、腸と肝臓をつなぐ門脈内ガス像が認められます。

非典型例では腸管内のガスが乏しく、腸管に孔が開く腸穿孔の後に初めて、新生児壊死性腸炎と判断されることもあるため、繰り返し腹部X線検査を行って経過観察することが重要になります。

小児科、小児外科の医師による治療では、早期診断、早期治療が重要で、新生児壊死性腸炎が疑われたら授乳を禁じ、胃管を入れて内容物を外に吸出して腸管の減圧を行い、輸液の点滴、抗生剤の投与を開始します。呼吸や血液循環の積極的管理も行います。

内科的治療で改善傾向が認められない場合や、腸が穿孔した場合には、手術を行います。穿孔が部分的であれば、穿孔した腸と壊死した腸管を可能な限りに切除し、切除した端と端をつなぐ手術をします。穿孔と壊死が広範囲に及んでいれば、切除した端と端を消化管ストーマ(人工肛門〔こうもん〕)にします。その後、状態や体重増加、時期をみて、消化管ストーマを閉鎖する手術を行います。

新生児壊死性腸炎の発症率は、新生児集中治療室(NICU)に入院中の新生児の0・2パーセント前後です。死亡率は30~40パーセントとされ、救命率は治療の時期や壊死範囲、出生体重で異なります。極低出生体重児では死亡率は依然として高く、予防と早期治療が最も大切です。

0 件のコメント:

コメントを投稿

🟪小中学生の体力調査、中学生男子はコロナ感染拡大前を上回る

 全国の小学5年生と中学2年生を対象に、50メートル走など8つの項目で体力や運動能力を調べる今年度の国の調査で、中学生の男子の合計点は新型コロナウイルスの感染拡大前を上回りました。一方で、小学生の男女は低下傾向にあり、スポーツ庁は運動の機会を増やす取り組みに力を入れていく方針で...