尿毒症がもとになって、末梢神経の感覚障害などが現れる疾患
尿毒症性ニューロパチーとは、体内の老廃物が尿と一緒に排出できなくなる尿毒症がもとになって、感覚障害が現れる疾患。
食物は体内で代謝され、大部分は水と炭酸ガスになりますが、たんぱく質などは尿素窒素、尿酸、クレアチニンなどの窒素代謝産物となり、正常では尿と一緒に排出されますが、腎(じん)機能の低下に伴って引き起こされる尿毒症では、十分排出できずに体内にたまり、体内にたまった老廃物の中に含まれる物質によって神経細胞が傷害されて、感覚障害が現れると考えられています。
尿毒症性ニューロパチーの症状としては、手足の先端を中心としたしびれ、灼熱(しゃくねつ)感、痛みが起こり、やがて感覚が鈍くなり、筋力低下などが現れます。
尿毒症性ニューロパチーの検査と診断と治療
泌尿器科の医師による尿毒症性ニューロパチーの治療では、原因疾患である尿毒症の治療が主体となります。適切な人工透析療法を行って、体内の有害な老廃物を排除すれば、神経の感覚障害なども改善されてきます。
人工透析療法で主流を占めるのは血液透析で、人工腎臓といわれる透析装置を用いて、血液を浄化する方法です。まず発症者の動脈から血液を体の外に導き出し、透析装置の中に送って、ここできれいにされた血液を静脈に戻します。
血液透析は一般的に、1回3~5時間、週2~3回の透析時間を必要とします。透析を始めて間もなくは、吐き気、嘔吐(おうと)、頭痛、血圧変動などの不均衡症候群で悩まされることもあります。食事や水分の摂取の制限など、厳しい自己管理も要求されます。
近年は、連続携行式腹膜透析法(CAPD)も行われています。あらかじめ腹腔(ふくくう)内に腹膜透析用の管を入れて固定し、プラスチックバッグに入った透析液を、この管で腹腔内に注入して血液を浄化します。体外の装置ではなく、自身の腹膜を透析膜として利用する手法のため自宅でできますが、一般的には、1日3〜4回、透析液の注入、交換が必要です。
頻繁な通院から解放されるという利点がありますが、腹腔に異物を留置することから腹膜炎の原因になることがあります。このため、若年者が長期に渡って腹膜透析を用いることは、奨励されていません。
人工透析療法はずっと定期的に行っていかなければなりませんが、腎臓を移植できれば開放される可能性があります。腎臓移植は、肉親などから2つある腎臓の1つをもらったり、死亡した人の腎臓をもらって、これを発症者に移植し、血管や尿管をつないで腎臓の代用にするものです。
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