新生児の血液中のカルシウム量が少なくなり、けいれんを起こす疾患
新生児テタニーとは、新生児の血液中のカルシウム量が少なくなり、上肢中心のけいれんを起こす疾患。新生児低カルシウム血症とも呼ばれます。
新生児テタニーは発症時期により、出生後48時間以内に発生する出生直後のテタニー(早発型低カルシウム血症)と、生後1週間前後に発症する古典的新生児テタニー(晩発型低カルシウム血症)、輸血時に血液に混合されたクエン酸ナトリウムが血中でカルシウムイオンと結合して起こる交換輸血によるテタニーに分けられます。
新生児、特に未熟児は出生後に血清カルシウムが一時的に低下することが多く、それに伴って筋肉が異常な収縮を起こして硬直し、けいれんなどの症状を起こすものを出生直後のテタニーといいます。副甲状腺(せん)ホルモンの分泌低下やビタミンDの不足なども、原因になります。早産、新生児仮死、帝王切開、母親が糖尿病の場合にも、発症率が高くなります。
古典的新生児テタニーは、リン酸含有量の多い牛乳や乳製品を飲むことが原因と考えられ、母乳栄養児にはまず起こりません。
症状としては、意識障害を伴わない、上肢中心のけいれんが特徴で、数分間持続します。重症の場合は、全身のけいれん、無呼吸、不整脈、チアノーゼ、むくみなども現れます。
新生児は不安状態になり、四肢を震わせ、泣き叫びます。興奮状態が過ぎると、急に手足をだらりとして動かさず、嗜眠(しみん)状態になります。このような嗜眠が繰り返して起こります。症状は外部からの刺激に誘発されて現れ、泣くと症状が悪化する場合があるので、泣かせない工夫が必要です。
新生児テタニーの検査と診断と治療
新生児テタニーは、声門けいれん、てんかんなどほかの原因によるけいれん発作と区別できないことがあります。区別できない場合は、血清および尿中カルシウム濃度の測定が役立ち得ます。
なお、検査や診察で、症状が全くない潜在性のテタニーが初めて発見されることもあります。
治療では、症状の程度に応じて、グルコン酸カルシウムの点滴や乳酸カルシウムの内服によるカルシウム投与、鎮けい剤投与などが行われます。その後も経過を観察し、その原因に合った検査と治療が行われます。
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