足の甲の部分に5本存在する中足骨の頭の太くなっている部分に痛みが出る症状
中足骨骨頭(ちゅうそくこつこつとう)痛とは、足の甲の部分に5本存在する中足骨の骨頭の太くなっている部分、特に真ん中の中足骨骨頭に痛みが出る症状。
中足骨骨頭痛を起こす原因としてまず挙げられるのは、開張足(かいちょうそく)です。 開張足は、足の前半分の前足部が扇状に広がって足の指同士が広くなり、足の甲の幅が普通より広くなった足。
足の裏にはアーチと呼ばれる緩やかな盛り上りがあり、内側の縦アーチ、外側の縦アーチ、横アーチ(メタタザールアーチ)の3つから構成されています。内側の縦アーチは土踏まずとして知られていますが、3つのアーチのうち、足の親指の付け根から小指の付け根までを結ぶ横アーチの機能が低下したものが、開張足に相当します。
横アーチの機能低下により、横アーチの盛り上がったラインが下がって落ちるため、ラインの中央部に、くぼみがなく、ベタッとした平らな足になります。
この開張足の人は、横アーチのラインの中央部が靴底の圧迫を受け、たこや魚の目ができやすくなります。開張足かどうかは、靴の内底や中敷(インソール)を見てもわかります。足指の第2指と第3指の付け根の当たる部分などが汚れていたり、擦り減っていれば、そこに力が掛かっていることになります。最近、足の幅が広くなって、スリムな靴が履きにくくなったと感じることがあれば、それは開張足かもしれません。
生まれ付き関節や靭帯(じんたい)などの結合組織が弱いために、開張足になりやすいという先天的な原因もあります。後天的な開張足の原因としてよくみられるのは、運動不足と立ち仕事などによる疲労です。運動不足、特に歩くことをあまりしないと、足の甲に5本ある中足骨をつなぐ靱帯が弱ってきます。その状態で立ち仕事などを続けていると、疲労のために靱帯が伸び切った状態になり、横アーチを支える筋肉である横アーチ筋の緊張が衰えることで、開張足を起こします。
体重が重すぎたり、足に合わない靴や高いヒールの靴、底が固い靴を履いていたり、急激な運動によって足に高負荷がかかったりした場合は、それが増悪因子となります。
開張足になると、足の甲に5本ある中足骨の間が均等に広がるのではなく、特に第1中足骨と第2中足骨の間と、第4中足骨と第5中足骨の間が広がります。また、横アーチの機能が低下すると、第1中足骨と第5中足骨が持ち上げられ、第2中足骨と第3中足骨の骨頭で体重を支えるようになりますので、足指の第2指と第3指の付け根に、たこや魚の目ができやすくなります。
同時に、第2中足骨と第3中足骨の骨頭の太くなっている部分に、痛みが出ることもあり、これが中足骨骨頭痛です。
初めは違和感を覚える程度ですが、徐々に痛みが強くなります。特に、歩く際のけり出しの時に痛みを感じることが多く、ひどくなると、歩くたびに足指の付け根に痛みが走り、歩くことがとてもつらくなります。
同じ部分に、繰り返し刺激が加わると、中足骨頭の周辺にある腱(けん)や腱鞘(けんしょう)が炎症を起こして、はれたり、足指の第2指と第3指の近くを通る神経が押しつぶされて、趾間(しかん)神経痛(モートン病)を起こし、足指や足指の付け根にしびれ、痛みを生じます。
さらに、開張足になると、横アーチの機能低下が2つの縦アーチの機能低下を誘発して扁平足(へんぺいそく)を起こしたり、外反母趾(がいはんぼし)も起こしやすい傾向もあり、中足骨骨頭痛を悪化させることになります。
中足骨骨頭痛の検査と診断と治療
整形外科、ないし足の外科の医師による診断では、外観上の変形から容易に判断できます。骨の状態を把握して重症度を判定するためには、X線(レントゲン)検査が必要で、通常、立って体重をかけた状態で撮影します。
整形外科、ないし足の外科の医師による治療は、専ら保存的に行われ、下がって落ちた横アーチをできるだけ正常な状態に近付けるために、横アーチの補正パッドやパッド付き中敷(インソール)を靴に装着したり、横アーチの形をつけるように足底に装具を入れた治療靴を用いたり、足の筋肉の強化などを行います。
なお、中足骨骨頭の原因となる開張足は、自分である程度は治すことができます。床にフェイスタオルを広げ、その端に裸足の足を乗せます。そして、足指でタオルをたぐり寄せる練習をします。よりハードなものでは、フローリングの床に裸足で立ち、指で床をつかむようにして前進します。どちらも開張足の改善、予防だけでなく、血行をよくして足の疲労回復にもつながります。
また、足に負担をかけないためにも適切な体重を維持するとともに、自分の足に合った靴を選ぶことも大切です。お勧めの靴は、つま先に1~1・5cmくらいの余裕があり、靴紐(ひも)かマジックベルトが付いていて、靴底は硬めで、ある程度の重さのあるタイプ。
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