常染色体優性遺伝性を示し、10歳未満で発症する視神経症
常染色体優性遺伝性視神経委縮とは、常染色体優性遺伝性の形で遺伝し、10歳未満で発症する視神経症。優性遺伝性若年性視神経委縮症、若年性家族性視神経委縮とも呼ばれます。
種々のものがあり、いずれもまれで、難治な疾患である遺伝性視神経症の一種で、その中では最も多いと考えられており、有病率は1万人から5万人に1人の割合とされています。
日本で確認された家系数は少なく、男女差はないとされます。遺伝性ですが、必ずしも同一家系内に類似した症状の発症者がみられるとは限りません。
発症の初期には、早発の視神経の変性により両眼の視力障害が生じます。中心視カの低下のほかに中心視野が侵されるために、第3色覚異常様の色覚異常を示し、青と黄と灰色が同じに見える青黄色盲の症状を生じます。網膜の変化は少なく、視カ低下は緩やかに進行し、多くのケースでは0・2〜0・3以上の視カを保持します。
しかし、やがて視力の回復を十分に示さぬまま、視神経が委縮を強めていきます。網膜の神経線維が集まっている視神経乳頭は、耳側から次第に退色して蒼白(そうはく)となり、血管が見られないのが特徴です。
通常、晩年に至るまで視力低下は軽度ですが、高齢になると視力低下がさらに進行するケースもあります。
ほとんどの発症者は神経症状を合併しないものの、時には、自分の意思とは関係なく眼球が動く眼振(がんしん)、及び難聴を合併する場合もあります。
常染色体優性遺伝性視神経委縮の検査と診断と治療
眼科の医師による診断では、蛍光眼底造影検査、視力検査、視野検査、画像検査、電気生理学的検査、心電図検査が行われます。確定診断のために、遺伝子検査が利用可能です。
眼科の医師による治療では、明らかな有効性が確認された治療法はないので、ビタミン剤、循環拡張剤などの処方が行われます。
色覚異常に関しても、遺伝子の変異であるため、明らかな有効性が確認された治療法はありません。
2002年までは学校健診で色覚検査が行われていたため、異常が見付かった人が色覚異常の確定診断のために眼科を訪れていました。しかし、確定診断に必要なアノマロスコープを装備する眼科は多くないため、実際は不十分な診断が行われて問題がありました。
2003年以降は、学校健診での色覚検査は廃止され、希望者のみが検査を受けるようになりました。検査で異常が出たら、専門の医療機関で遺伝子相談や職業適性についてのアドバイスを受けることが可能になっています。
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