ある常染色体の一部分が欠損していること、また、それが原因で引き起こされる重度の先天性障害
常染色体部分モノソミーとは、22対ある常染色体のうち、ある染色体の短腕や長腕の一部分が欠損していること、また、それが原因で引き起こされる重度の先天性障害。
染色体はX型をしていて、短腕(p)と長腕(q)があります。例えば、5番染色体のうち片方の短腕の一部分が欠損している場合は5pモノソミーといい、これを「5p−(ごぴーまいなす)」と表記します。
人間の常染色体部分モノソミーとしては、4p(よんぴー)モノソミー、5pモノソミー、5q(ごきゅー)モノソミー、9p(きゅうぴー)モノソミー、18p(じゅうはちぴー)モノソミーなどがあります。
4pモノソミーは4番染色体の短腕の一部分が欠損していること、また、それが原因で引き起こされる重度の先天性障害
4pモノソミーは、22対ある常染色体のうち、4番染色体の短腕(4p)の一部分が欠損していること、また、それが原因で引き起こされる重度の先天性障害。4p欠失症候群、4pー症候群、ウォルフ・ヒルシュホーン症候群とも呼ばれます。
常染色体は性染色体以外の染色体のことであり、人間の体細胞には22対、44本の常染色体があります。それぞれの常染色体はX型をしていて、短腕(p)と長腕(q)という部分があり、4番染色体の短腕の一部分が欠損している状態が、4pモノソミーに相当します。
4pモノソミーは、常染色体の一部分が欠けている常染色体部分モノソミーの一種で、常染色体部分モノソミーが起こった場合は、胎児が生きて生まれても知的障害を含む重い先天性障害を併発します。通常、2本で対をなしている常染色体が1本になる常染色体モノソミーが起こった場合は、胎児が生きて生まれることはできません。
4pモノソミーの主な原因は、突然変異による4番染色体の変化が原因で、欠損が短腕の約半分に及ぶものから、欠損が微小なものまであります。なぜ突然変異が起こるのか、どの遺伝子がどの症状と関係しているのかまではわかっていません。
まれに、両親からの遺伝が原因で起こります。転座といって、ほかの染色体の一部分が4番染色体の短腕に間違ってくっついていることにより起こり、この場合は両親の片方が染色体異常の保因者であることがあります。
従来、5万人に1人程度の新生児に4pモノソミーが発症するとされてきましたが、医師に誤診されていたり、認識されていない発症者もいることから、頻度はもっと高いと推測されます。
4pモノソミーの新生児は、鼻筋の高く通った幅広い鼻や、弓状の眉毛(まゆげ)、両眼隔離、小さい顎(あご)などを特徴とする顔立ちをしています。また、子宮内から始まる成長障害、重度精神遅滞、筋緊張低下、難治性てんかん、ほ乳障害、摂食障害を認めます。そのほかにも、骨格異常、先天性心疾患、聴覚障害、視神経異常、唇裂口蓋(こうがい)裂、尿路奇形、脳の構造異常などの症状を示します。
体重の増加もゆっくりで精神と運動の発達遅滞がみられますが、個人差はあっても年齢とともに、食事、着衣、脱衣など日常の家庭内での単純な作業の分担もできるようになります。疾患自体による生命予後は比較的良好で、個々の予後は合併症の重症度によります。
小児科、遺伝科の医師による4pモノソミーの診断は、特徴的な顔立ち、成長障害、精神遅滞、てんかん発作により疑いを持ち、染色体検査により4番染色体の短腕欠損を検出することにより確定します。大人になってから4pモノソミーと診断されたり、子供のうちに診断される数は増えています。
小児科、遺伝科の医師による治療は、対症療法が基本となります。てんかんのコントロールが最初の重要な治療で、抗けいれん薬(バルプロ酸など)を投与します。嚥下(えんげ)障害があれば、経管栄養や摂食訓練が必要となることもあります。
精神遅滞のためにコミュニケーションが困難ですが、仕草や表情である程度の意思疎通は可能で、運動発達、認知、言語、社会性の能力を伸ばすための訓練を行います。
骨格異常、先天性心疾患、聴力障害、眼科的異常などの合併症に対しては、標準的な対症療法を行います。
5pモノソミーは5番染色体の短腕の一部分が欠損していること、また、それが原因で引き起こされる重度の先天性障害
5pモノソミーは、22対ある常染色体のうち、5番染色体の短腕(5p)の一部分が欠損していること、また、それが原因で引き起こされる重度の先天性障害。5p欠失症候群、5pー症候群、猫(ねこ)鳴き症候群、レジューン症候群とも呼ばれます。
常染色体は性染色体以外の染色体のことであり、人間の体細胞には22対、44本の常染色体があります。それぞれの常染色体はX型をしていて、短腕(p)と長腕(q)という部分があり、5番染色体の短腕の末端の一部分が欠損している状態が、5pモノソミーに相当します。
5pモノソミーは、常染色体の一部分が欠けている常染色体部分モノソミーの一種で、常染色体部分モノソミーが起こった場合は、胎児が生きて生まれても知的障害を含む重い先天性障害を併発します。通常、2本で対をなしている常染色体が1本になる常染色体モノソミーが起こった場合は、胎児が生きて生まれることはできません。
5pモノソミーの主な原因は、突然変異による5番染色体の変化が原因で、なぜ突然変異が起こるのかまではわかっていません。
まれに、両親からの遺伝が原因で起こります。転座といって、ほかの染色体の一部分が5番染色体の短腕に間違ってくっついていることにより起こり、この場合は両親の片方が染色体異常の保因者であることがあります。
5pモノソミーは、フランス人のジェローム・レジューンによって1963年に初めて発見されました。レジューンは、1959年にダウン症の原因を発見したことでよく知られる人物です。
5pモノソミーの新生児は、出生時に子猫の鳴き声のような甲高いニャーニャーという泣き声を発します。特有の泣き声は喉頭(こうとう)の変化が原因とされ、数週間継続して消失します。
新生児は子宮内発育不全のため低出生体重であり、医学的な症状としては重度の精神発達遅滞、小頭症、成長不全、筋緊張低下、両目の離れた円形の顔、眼瞼(がんけん)裂斜下、内眼角贅皮(ぜいひ)、外斜視、鼻根部偏平、耳介低位、副耳などが認められます。多指、心奇形、腎(じん)奇形、脊柱側湾などが認められることもあります。発語は3歳以降で、言葉の出ないこともあります。
身体的な合併症がみられる場合は、専門医による適切な治療が必要ですが、乳幼児期の頻繁な呼吸器感染症、筋緊張が弱いことによる便秘を除けば、おおむね健康に育っていき、多くが成人期まで生存します。
5qモノソミーは5番染色体の長腕の一部分が欠損していること、また、それが原因で引き起こされる障害
5qモノソミーは、22対ある常染色体のうち、5番染色体の長腕(5q)の一部分が欠損していること、また、それが原因で引き起こされる障害。5q欠失症候群、5qー症候群とも呼ばれます。
常染色体は性染色体以外の染色体のことであり、人間の体細胞には22対、44本の常染色体があります。それぞれの常染色体はX型をしていて、短腕(p腕)と長腕(q腕)という部分があり、5番染色体の長腕の末端の一部分が欠損している状態が、5qモノソミーに相当します。
5qモノソミーでは、骨髄にある血液細胞の源に当たる造血幹細胞に異常が生じて造血障害を起こすため、赤血球が通常よりも大きくなる大球性貧血を特徴とする骨髄異形成症候群の一種を起こします。まれに急性骨髄性白血病に進行することもあります。
一般に男性に多く、大球性貧血を特徴とする骨髄異形成症候群の中では、5qモノソミーが引き起こす骨髄異形成症候群の一種は珍しく女性に多く、とりわけ中高年女性に多くみられます。
原因は、5番染色体の長腕の一部分が欠損しているために、リボソーム(リボゾーム)タンパク遺伝子を欠失し、細胞質内のタンパク質合成の場となる細胞小器官であるリボソーム合成の機能不全に陥ることにあります。
発症すると、倦怠(けんたい)感や、青白い顔色、息切れ、動悸(どうき)といった一般の貧血と同じ症状が出てきますが、輸血が不可欠になるほどの高度な貧血を示すことが多く認められます。
内科の医師による5qモノソミーの診断では、血液検査により、芽球といわれる未熟細胞の増加を認めず、白血球に形態異常を認め、中でも小型で単核の巨核球の増加により5qモノソミーを疑い、染色体検査により、5番染色体の長腕欠損を検出することにより確定します。
内科の医師による治療は、高度な貧血を示すことが多いため、輸血を中心に行います。輸血で貧血症状の緩和は容易ですが、継続的に輸血が必要となり輸血依存性のさまざまな問題が生じることがあります。
近年、新規に開発されたレナリドミド(レナリドマイド)という薬の服用が極めて有効であることが確認され、貧血が改善し輸血が不要になるという高い有効率を示しています。
しかし、レナリドミドは睡眠鎮静剤のサリドマイドの改良薬で、妊婦が服用することによって胎児に奇形を生じたサリドマイドの催奇形性を軽減したもので、妊婦は絶対に服用できません。
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