皮膚に赤く、ガサガサする円形や楕円形の発疹ができる慢性の皮膚疾患
局面状類乾癬(るいかんせん)とは、皮膚に赤く、ガサガサする円形や楕円形の発疹(はっしん)ができる非感染性の慢性炎症性皮膚疾患。
一見、乾癬という皮膚疾患、すなわち表皮の細胞の新陳代謝が異常に早くなり、皮膚の細胞が垢(あか)になる角化が早く進む皮膚疾患に、よく似ていることから類乾癬の一種とされていますが、かゆみは乾癬より少ないのが一般的です。
乾癬との大きな違いは、発疹部に集まっている白血球のタイプの違いで、発疹を表面から見ただけではなかなか区別はつきません。
この局面状類乾癬は中高年に多くみられますが、原因は乾癬と同じくいまだ不明で、疾患の分類も明確な解釈が定まっておらず、はっきりしない部分の多い疾患です。
発疹の大きさから、小局面状類乾癬と大局面状類乾癬の2つに分類されます。
小局面状類乾癬は、直径5センチ以下で赤く、円形の発疹が腹部や背中、尻(しり)などの体幹や大腿(だいたい)部といった日光の当たりにくい部位にできるもの。表面はガサガサとして、細かいしわが見られることがあります。やがて、発疹の表面は垢のような銀白色の鱗屑(りんせつ)となり、その一部がポロポロとはがれ落ちます。
一方、大局面状類乾癬は、直径5~10セント以上で赤く、やや角ばった輪郭の楕円(だえん)形の発疹が腹部や背中、尻などの体幹や大腿部といった日光の当たりにくい部位にできるもの。表面はガサガサとして、細かいしわが見られます。やがて、発疹の表面は垢のような銀白色の鱗屑(りんせつ)となり、その一部がポロポロとはがれ落ちます。
徐々に発疹の数が増えて皮膚の委縮が進んだ場合は、網目状の色素沈着を生じるようになり、多形皮膚委縮(ポイキロデルマ)と呼ばれる状態になります。
多形皮膚委縮を生じたり、かゆみが強くなった大局面状類乾癬が進行すると、菌状息肉症(皮膚悪性T細胞リンパ腫〔しゅ〕)に移行する場合もまれにあります。
菌状息肉症は、リンパ球のT細胞が悪性化し、皮膚に現れてくるものです。悪性度は低いのですが、発疹が出る状態が長く続き、中には10~20年経過して硬く盛り上がって腫瘍(しゅよう)になったり、リンパ節や内臓に転移することもあります。
悪性化の可能性もあるので、局面状類乾癬の症状に気付いたら、早めに皮膚科、皮膚泌尿器科を受診しておくと安心です。
局面状類乾癬の検査と診断と治療
皮膚科、皮膚泌尿器科の医師による診断では、乾癬の場合と同じように、特徴的な発疹とその分布、経過から判断します。悪性化しているかどうかを判断するために、発疹の一部を切って顕微鏡で調べる組織検査も行います。
乾癬やジベルばら色粃糠疹(ひこうしん)との区別が、必要です。
皮膚科、皮膚泌尿器科の医師による治療では、原因が不明で、根本的に治す方法が今のところはっきりしていないため、経過をみながらの対症療法を行います。
対症療法としては、主に炎症を抑制するステロイド(副腎〔ふくじん〕皮質ホルモン)の外用薬を用います。そのほか、皮膚の細胞が増殖するのを阻害する活性型ビタミンD3外用薬も、ステロイド外用薬ほどの速効性はありませんが、副作用が軽微なので併せて使用します。
内服薬としては、ビタミンA類似物質であるエトレチナート(チガソン)や、免疫抑制薬であるシクロスポリン(ネオーラル)が用いられ、一定の効果が得られています。
外用薬で大きな改善がみられない場合は、PUVA(プーバ)療法という光線療法を用い、紫外線の増感剤であるメトキサレン(オクソラレン)を発疹部に塗り、長波長紫外線UVAを当てることもあります。PUVA療法に代わる光線療法として、特定の紫外線波長を利用したナローバンドUVB療法を用いることもあります。
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