摩擦を受ける皮膚に生じる小型の良性腫瘍
軟性線維腫(なんせいせんいしゅ)とは、皮膚に生じる直径1センチ程度の小型の良性腫瘍(しゅよう)。線維性軟疣(なんゆう)とも呼ばれます。
皮膚と同じ肌色、あるいは少し濃い褐色をした、半球状から有茎性の軟らかいはれ物で、あまり目立たないこともあります。わきの下やまぶた、首、胸、鼠径(そけい)部、しり、外陰部などにできやすく、痛みやかゆみは伴いません。かゆみがある場合も軽度です。
この軟性線維腫がさらに巨大になり、皮膚面から垂れ下がるようになったものは懸垂性線維腫です。
わきの下や首、鼠径部など皮膚と皮膚、あるいは衣類やアクセサリーと皮膚がこすれて摩擦を受ける個所で、皮膚の角質が増殖して少し飛び出すために、線維や脂肪や血管で構成された軟性線維腫や懸垂性線維腫ができます。
感染性はなく、皮膚の老化や体質でできるもので、中年以降に多く発生し加齢とともに増えてきますが、早ければ思春期のころから認められます。特に更年期をすぎた女性や、肥満者に好発します。
がん化するなど特に心配な疾患ではありませんが、衣類やアクセサリーでこすれて炎症を起こすことがあります。
目立って外見が悪い、衣類の脱着時に引っ掛かって赤みを帯びヒリヒリとした痛みが生じるという場合は、皮膚科、皮膚泌尿器科、あるいは形成外科、美容外科の医師を受診することが勧められます。ただし、まぶたにできた場合は、眼科を受診したほうがいいでしょう。
軟性線維腫の検査と診断と治療
皮膚科、皮膚泌尿器科、あるいは形成外科、美容外科の医師による診断では、特に検査は行わず、視診を中心に確定します。
ごくまれに、皮膚がんが軟性線維腫のように見えたり、ホルモン障害の予兆として軟性線維腫が生じることもあり、組織の一部を採取して顕微鏡で調べる生検を行うこともあります。
皮膚科、皮膚泌尿器科、あるいは形成外科、美容外科の医師による診断では、塗り薬や食生活の改善で完治させるのは難しいため、一般的には、取り除くための処置を行います。
取り除くための方法はいくつかあり、麻酔シートを張ってから電気メスで焼灼(しょうしゃく)する、-200℃近い超低温の液体窒素で冷凍凝固して小さくした後に電気メスで焼灼する、ハサミやメスなどの道具を使って切除するといった方法が一般的です。軟性線維腫の数が多い場合は、液体窒素療法を何度か繰り返します。
処置に要する時間は場合によりますが、短時間ですむことがほとんどです。処置した場合、1~2週間後に、かさぶたになります。かさぶたはかなり色が濃く、治療後はかなり目立つこともありますが、自然に脱落し、半年くらいすると赤みもひいて、きれいになります。
なお、完ぺきに取り除いたとしても、再発したり別の個所に生じることもあり得ます。
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