体のあちこちの筋肉が縮んで、けいれんを起こし、激しい痛みを生じる疾患
里吉(さとよし)病とは、全身の筋肉に、こむら返りが起きてけいれんし、激しい痛みを生じる疾患。全身こむら返り病とも呼ばれます。
1963年に、神経内科の里吉榮二郎・医師によって初めて報告された原因不明の疾患で、神経の伝わりが障害される自己免疫疾患の一種、あるいは経口摂取した栄養分の消化吸収が障害される吸収不良症候群の一種と考えられています。
大人になってから発症することもありますが、多くの場合10歳前後から発症し、進行性に症状が悪化します。
筋肉のけいれんのほかに、脱毛が特徴でほぼ全例にみられ、下痢も多くみられます。
これらの3兆候のほかに、骨や関節の変形、発育障害、内分泌機能の低下などもよくみられる症状で、10歳代の女性ではホルモンの異常を伴いやすく無月経がみられます。
筋肉のけいれんは最初、腕、太ももなどの一部にみられるだけですが、次第に全身に及び、頸筋(けいきん)から咬筋(こうきん)、側頭筋、舌筋にまで、けいれんがみられることがあります。
いわゆるこむら返りで、 ふくらはぎの筋肉がつるという状態と同じような現象が数秒から数分にわたって続き、1日に数回から、1日中全身のあちこちの筋肉に起きている状態まで、さまざまな程度に出現します。
予後不良で、10年前後から20〜30年にわたって、緩やかに進行し、呼吸まひ、栄養障害で死亡します。
里吉病の検査と診断と治療
内科、神経内科、内分泌代謝科、整形外科などの医師による診断では、全身の筋肉のけいれんや、脱毛、下痢、あるいは月経の有無で判断します。
内科、神経内科などの医師による治療では、疾患そのものを治す治療法は確立されていないため、症状を和らげる対症療法を行います 。
対症療法としては、筋弛緩(しかん)剤のダントロレンナトリウム(商品名ダントリウム)の内服療法や、ステロイド系抗炎剤のプレドニゾロン(商品名プレドニン)の内服療法、免疫抑制剤のタクロリムス(商品名プログラフ、グラセプター)とステロイド剤の併用療法、ステロイド剤を大量に点滴するステロイドパルス療法などが試みられており、筋肉のけいれん、脱毛、下痢の症状が多少軽快するのみです。
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