睡眠中に手や足の筋肉に瞬間的なけいれんや、ぴくつきが起こり、眠りが中断される疾患
周期性四肢運動障害とは、睡眠中に手や足の筋肉に瞬間的なけいれんや、ぴくつきが起こり、眠りが中断される疾患。PLMD( Periodic Limb Movement Disorder )とも呼ばれています。
瞬間的なけいれんや、ぴくつきは周期的に反復し、特に下肢に現れます。足が瞬間的にけいれんする際に、親指、足首の関節、膝(ひざ)の関節、股(こ)関節を曲げ伸ばしし、この時に布団を上へ持ち上げたり、けることになります。
通常、20~30秒周期で足の動きを繰り返し、悪化すると回数が増え、多い人では1時間に100回以上起こる場合もあります。足の動きは、浅い眠りのノンレム睡眠の時に多くみられます。
この周期性四肢運動障害は、人口の1~4パーセントの人にみられるとされています。年齢とともに増えるので中高年に多く、また、妊娠中の女性の約2割にも起こっているとされています。疲れていたり、コーヒーやお茶に含まれるカフェインを多く取った時に、起きやすいともされています。
また、むずむず脚症候群を合併しやすいことが知られています。むずむず脚症候群とは、夜間の睡眠時などに下肢を中心に不快な感覚が起こり、むずむずする不穏な運動を生じて、慢性的に寝付けない疾患です。
周期性四肢運動障害の人は、手や足の瞬間的なけいれんや、ぴくつきのために深い眠りが妨げられ、眠りが浅くなったり、 中途覚醒(かくせい)が生じたりします。このため、熟睡感を得ることができず、日中、眠気を催します。
目が覚めない場合には、この症状によって自分の睡眠の質が低下していることに気付かないこともあります。朝起きると、前日に特に足を使ったわけではないのに足にだるさを感じることもありますが、このような自覚症状がないことも多くみられます。
疾患の原因はまだ十分解明されていませんが、むずむず脚症候群の人や、 抗うつ薬、抗てんかん薬、ベンゾジアゼピン系薬剤(睡眠薬、抗不安薬など)といった薬を飲んでいる人に多くみられ、 これらの薬を中断した時にもみられます。また、鉄欠乏性貧血や腎(じん)機能障害の人にも多くみられます。
周期性四肢運動障害や、むずむず脚症候群で起こる不眠は、睡眠薬を服用しても解消されません。睡眠障害を専門にしている医療機関を受診し、適切な治療を受ける必要があります。近くに睡眠障害の専門医療機関がない場合は、精神科もしくは神経内科に相談するのがよいでしょう。
医師による診断は、終夜睡眠ポリグラフ検査で、足の筋肉の動きをとらえることではっきりします。足の動きは、浅い眠りのノンレム睡眠の時に多くみられます。起きている時に足のけいれんを自覚している場合には、それだけで診断できることもあります。
周期性四肢運動障害の症状には波があるので、症状に合わせた治療が行われます。一般的な睡眠薬では効果はなく、治療にはむずむず脚症候群と同様、けいれんを止めるためにパーキンソン病の治療薬や抗てんかん薬などが用いられる。
薬で主に使われるのは、パーキンソン病の治療薬であるカルビドパ/レボドパ合剤(メネシット)。脳神経に指令を伝えるドーパミンの働きを改善する薬で、パーキンソン病の治療で使うよりも少ない量を服用します。十分な効果が得られない場合は、抗てんかん薬であるクロナゼパム(リボトリール、ランドセン)や、バルプロ酸をさらに用いることもあります。
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