外耳道に耳垢をためた真珠腫という袋ができ、耳の器官や骨を破壊する疾患
外耳道真珠腫(がいじどうしんじゅしゅ)とは、耳の穴の入り口から鼓膜までの空洞である管腔(かんくう)、つまり外耳道に、上皮の脱落物である耳垢(みみあか)を異常にためた真珠腫という袋ができ、耳の器官や骨を破壊する疾患。
40歳以上の人の片側の耳に起こることが多い疾患ですが、両側の耳に起こることも、比較的若い人に起こることもあります。
外傷、耳垢からの刺激、炎症からの刺激などによって、外耳道の上皮の一部が深部の組織である間質のほうへ袋のような形で陥没し入り口が狭くなると、陥没した上皮が常に出す耳垢は出てゆくことができずに袋の中にたまり続け、耳垢をためた袋はどんどん大きくなっていきます。
このようにして、内部に耳垢をためた袋が外耳道にできたものを真珠腫と呼んでいます。感染を伴わない真珠腫は真珠のような白いきれいな色をしており、真珠腫が大きくなる様子も真珠が大きくなるのに似ているため、外耳道真珠腫という疾患名が付けられました。
真珠腫の増殖が止まらないと、外耳道の表面に露出を始めて管腔を狭くしてゆき、外耳道の下と後ろの壁にびらん(ただれ)を起こします。また、真珠腫は骨を溶かす性質が強いため、肥大化した真珠腫が間質のさらに奥の骨を破壊しながら増殖を続ける場合があります。
症状としては、慢性の鈍い耳の痛み、耳垂れ(耳漏)が起こります。鼓膜は正常なことが多く、真珠腫による外耳道の栓塞(せんそく)や難聴が起こることはありません。
しかし、骨の破壊が進行する方向によって中耳へ進展すると、難聴、めまい、開口障害、顔面神経まひなどを起こすこともあります。
外耳道真珠腫を放置しても、すぐに命にはかかわるようなことはありませんが、難聴やめまい、進行すると顔面神経まひの原因となることもあるので、早めに耳鼻咽喉(いんこう)科を受診して、真珠腫の除去を行ってもらうことが勧められます。
外耳道真珠腫の検査と診断と治療
耳鼻咽喉科の医師による診断では、処置用顕微鏡による観察で外耳道深部の拡大と白い真珠腫を認めれば、比較的容易に判断できます。外耳道深部の拡大が明らかで、処置用顕微鏡で死角が生じる部位の観察には、中耳内視鏡が有用です。真珠腫の進展範囲、骨破壊の有無は、CT(コンピュータ断層撮影)検査で評価します。
耳鼻咽喉科の医師による治療では、処置用顕微鏡やファイバースコープを用いて、増殖する真珠腫を定期的に除去し、抗生剤の点耳や内服を行います。
患部が広がっている場合や、骨が壊死(えし)を起こし骨破壊が進行している場合、手術によって真珠腫の摘出と病的骨組織の除去を行います。皮膚欠損部は上皮化を促進するために、側頭骨筋膜や人工皮膚を用いてカバーします。
外耳道真珠腫では自浄作用が落ちているため、真珠腫が増殖しやすいので数カ月ごとの定期的な除去が必要です。放置すると外耳道の骨の破壊が進行するため、必ず指示された受診頻度を守るようにしてもらいます。
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