爪の甲の先端の部分が、薄く層状にはがれたり、割れたりしていく状態
二枚爪(にまいづめ)とは、爪の甲の先端部分が薄く層状にはがれたり、割れたりしていく状態。爪甲(そうこう)層状分裂症とも呼ばれ、爪甲剥離(はくり)症の一種に分類されています。
爪の甲は三枚の層からなっており、表面を覆う第一層のエナメル質や第二層が少しずつはがれたり、割れたりしていく二枚爪は、さほど珍しくはなく、女性によく起こる一般的な爪のトラブルです。
痛みはありませんが、爪の先端がもろくなるため、外見上に問題が出てきます。また、一度治っても、何度も同じ症状が現れることがよくあります。
二枚爪になる原因は、いくつかあります。
まず、爪の乾燥が原因になります。つまり、爪の甲の水分含有量が低下することによって生じるため、日本では空気が乾燥している冬に二枚爪になりやすいといえます。正常な爪の甲の水分含有量は16パーセントほどですが、爪は成長するに従い、先端に向かって伸びていくと水分量は減っていき、爪の甲の先端部分の水分含有量が12パーセント以下になると、二枚爪が起りやすくなります。
また、水仕事の多い主婦、手の爪に施すマニキュアや、足の爪に施すペディキュア、除光液(エナメルリムーバー)を使用する機会の多い女性では、爪の甲の水分保持能力が低下して、二枚爪が起こりやすくなります。洗剤や、マニキュアなどを落とす除光液に含まれるアセトンが外的刺激になって、二枚爪を誘発することになります。
次に、食事での栄養バランスの偏りやダイエットなどで蛋白(たんぱく)質不足になることが、二枚爪の原因になります。爪の主成分は蛋白質の一種のケラチンなので、体調が悪かったり栄養バランスが悪いと、爪の色が変色したり線が入ったり、二枚爪になります。
偏った食生活や過度なダイエットによって鉄欠乏性貧血になり、これが原因で二枚爪になることもあります。血行不良や、甲状腺(こうじょうせん)機能高進症の発症も、二枚爪の原因になります。
爪切り、爪やすりの使いすぎ、間違った使い方の継続が、二枚爪の原因となる場合もあります。爪切りなどを使用したショックで、三枚の層からなっている爪に目に見えないヒビが入り、何か力が加わった時に二枚爪になったりします。
水をよく使ったり、指先の細かい操作を必要とする職業も、二枚爪の原因になります。職業は、料理人、理髪師、美容師、庭師、パソコンのオペレーター、ギタリスト、ピアニストなど。
二枚爪の検査と診断と治療
皮膚科、皮膚泌尿器科の医師による診断では、爪の甲の先端部分に層状の剥離を起こし得る外的物質や薬品、あるいは皮膚疾患や全身疾患を検査して、原因がわかるようであれば、それを除去ないし治療します。
皮膚科、皮膚泌尿器科の医師による治療では、一般的には、爪の角質に浸透しやすい保湿剤やステロイド剤(副腎〔ふくじん〕皮質ホルモン)をこまめに塗ったり、ビタミンEの飲み薬を使用する場合があります。
爪の乾燥が原因で二枚爪を発症している場合は、日常生活で爪の乾燥を避けるようにしてもらいます。例えば、水仕事の多い人は、水を使う回数を減らしたり、使い終わったらきちんと水分をふき取り、保湿剤を塗ることです。
蛋白質不足が原因の場合は、まずは爪に必要な栄養をしっかり摂取してもらいます。いくら爪の保湿ケアを行っていても、栄養不足のままでは二枚爪を繰り返すだけなので、蛋白質、コラーゲン、さらに野菜や海藻類に多く含まれるミネラル類をしっかり摂取してもらいます。
鉄欠乏性貧血が原因の場合は、鉄剤を内服してもらったり、食べ物やサプリメントから鉄分を摂取するように心掛けてもらいます。ただし、手の爪が新しくなるまでに3カ月~6カ月かかりますので、すぐに効果を実感することは難しいでしょう。
血行不良や甲状腺機能高進症が原因の場合は、その治療を行えばよくなります。
日常では、保湿剤などを使ったネイルケアにより治療、ないし予防することが、重要となります。爪も皮膚の一部であり、主に蛋白質の一種のケラチンが角質を構成しているのですから、マニキュア、除光液、洗剤などを使いすぎるとダメージを受けるので、その使用を控えます。
爪切り、爪やすりの使いすぎ、間違った使い方で二枚爪になることもあるので、まずは使用をやめます。入浴後や指を温めるなどした後に、紙やすりで丁寧に爪の甲の先端部分を削り、爪にハンドクリームやキューティクルオイルなどの保湿剤を塗って、擦り込むようにマッサージします。
足の爪は爪切りで切っても構いませんが、その後で爪の先を紙やすりで削って形を整え、爪にハンドクリームやキューティクルオイルなどの保湿剤を塗って、擦り込むようにマッサージします。また、足の爪の伸ばしすぎも爪の先に衝撃を与える原因になったりしますので、適度な長さを保ちます。
二枚爪の進行中は、水仕事の際にはゴム手袋の着用を心掛けます。
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