2022/08/11

🐞回虫症

回虫が小腸に寄生することで引き起こされる寄生虫病

回虫症とは、線虫類に属する回虫が小腸に寄生することで、引き起こされる寄生虫病。

回虫は世界中どこにでもいる虫で、日本でも年齢や性別、住んでいる場所に関係なく感染することがあります。日本国内での感染率は現在、1パーセント未満と考えられています。昭和30~40年ぐらいまでは、40パーセント程度といわれていました。

感染が成立するケースでは、糞便(ふんべん)に混じって人体から出た虫卵が、次の宿主(しゅくしゅ)への感染能力を育てるための期間を外界で過ごした後、無農薬野菜や不潔な手指を介して再び、口から人体へ入ります。この虫卵は小腸で孵化(ふか)し、出てきた幼虫は腸の粘膜にもぐり込んで、血液やリンパ液の流れに乗って体内に散っていきます。

この後、成長しながら体内を移動し、最終的には肺を通過して気管内に入り、たんに紛れて口へ逆上り、そして飲み込まれて食道を下り小腸に戻ってきて、そこで成熟します。十分に成熟した成虫は、乳白色から淡紅色の糸状で、長さは20〜35センチ程度、太さは0.5センチ程度。メスのほうが大きくなり、産卵を開始します。寿命は1〜2年。

回虫の種類によっては、小腸で孵化して出てきた幼虫が腸の粘膜にもぐり込み、そこで成長して腸内に戻ってくるだけで、体内を移動しないものもあります。

比較的穏健な寄生虫で腸の粘膜に食いついて血液、体液を摂取することはないため、無症状のものも少なくありません。ただし、胆管や膵(すい)管の中に入り込むことが時々あり、この時は腹痛、下痢などの胃腸症状がみられます。無症状だったのに、突然、口から回虫を吐き出したり、肛門(こうもん)から回虫が出てくることもあります。

特異な例として、犬や猫あるいはアライグマなどの回虫が誤って人に取り込まれた時には、不適切な宿主の体内に入った成虫や幼虫の臓器への迷入や移動で、眼症状、神経症状、肺炎、腸閉塞(イレウス)、胆道炎、循環器症状が出現することもあります。

回虫症の検査と診断と治療

回虫症の症状に気付いたら、内科を受診します。同じ食事をしている人は同様に感染している可能性がありますので、同居の家族も内科を受診し、血液や便を検査して感染の有無を確かめることが必要です。

医師による診断では、検便をして便の中に虫卵が検出されれば、容易に診断がつきます。ただし、最近は回虫が1匹だけという例が増えており、検便しても虫卵を検出できないことが多くなっています。虫を口から吐き出したり、肛門から排出した時は、虫の形態で回虫と診断します。胃や腸の中から、乳白色から淡紅色で糸状の大きな虫が出てきた時には、まず回虫と考えて間違いありません。

近年では、胃や十二指腸の内視鏡検査で偶然、回虫を発見することが多くなっています。また、健康診断などの血液検査で偶然、好酸球という白血球が増えていることがわかった時には、抗体と便の検査を行います。

治療では、線虫駆除薬のパモ酸ピランテルの内服が主で、ほかに対症的に輸液、手術なども行われることがあります。

予防は、完全な糞便処理、集団検便と集団駆虫の実施、野菜類や手指などの洗浄、清潔などです。犬や猫の回虫症に気付いた場合には、獣医師を受診し、健康状態に応じて極力早い段階での虫下しが望まれます。

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