発熱とともに、痛みを伴う隆起性の紅斑が急に発生する疾患
急性熱性好中球性皮膚症とは、急な発熱、痛みを伴う隆起性の紅斑(こうはん)、血液中での好中球の増加を特徴とする炎症性の疾患。難治性の皮膚疾患で、スウィート病とも呼ばれます。
1964年、イギリスの皮膚科医であるスウィート氏が初めて報告しました。原因は、細菌などに対して、白血球の一種である好中球の機能が高まって生じる過敏反応と考えられます。
約20パーセントのケースで、血液疾患や悪性腫瘍(しゅよう)を伴います。特に白血病や骨髄異形成症候群などの血液疾患を伴うことが多く、関節リウマチや膠原(こうげん)病を始めとする自己免疫性疾患を伴うこともあります。内臓病変と関係する皮膚変化を意味するデルマドロームの一つと考えられています。
上気道感染、いわゆる風邪に似た症状が先行して現れ、数日から数週間で39度前後の発熱とともに顔、首、四肢に、境界がはっきりした、周囲から隆起した紅斑、または毛穴の炎症である毛嚢(もうのう)炎に似た丘疹(きゅうしん)が多発します。
紅斑の大きさは1センチから3センチで、しばしば痛みや圧痛がみられます。紅斑の上に、水膨れや、膿(うみ)を持った水膨れである膿疱(のうほう)を伴うこともあります。
色調は鮮紅色ですが、経過とともに暗紅色ないし紫紅色に変わります。治療をしないと、高熱が続き、紅斑が小さくなったり大きくなったりを繰り返します.
急性熱性好中球性皮膚症の症状に気付いた場合、できれば入院可能な病院の皮膚科を受診することが勧められます。急性熱性好中球性皮膚症が治った後に、白血病や骨髄異形成症候群などの血液疾患が発症することがあり、注意が必要です。
急性熱性好中球性皮膚症の検査と診断と治療
皮膚科、皮膚泌尿器科の医師による診断では、病変部の皮膚を数ミリ切り取って調べる病理組織検査である皮膚生検を行い、真皮に好中球やその核の破片が密に浸潤していること、血管炎がないことを確かめます。
血液検査を行うと、好中球を主体とする白血球数の増加、赤沈(血沈)やCRPなどの炎症反応の高進が認められます。CRPは蛋白( たんぱく)質の一種で、体内に炎症が起きたり組織の一部が壊れたりした場合に、血液中に現れます。
時に、原因不明の膠原病類縁疾患であるベーチェット病などとの区別が難しいことがあります。
皮膚科、皮膚泌尿器科の医師による治療では、軽症の場合、非ステロイド系消炎鎮痛剤などの内服を行います。一般的には、副腎(ふくじん)皮質ステロイド剤の点滴注射、または内服を行います。ヨウ素を補給するヨードカリや、皮膚の組織を守るDDS(レクチゾール)も、多くの症例で有効です。
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