大阪大学発の製薬ベンチャー「アンジェス」(大阪府茨木市)は7日、武漢型を標的にした新型コロナウイルスワクチンの開発を中止すると発表しました。今後は、オミクロン型を標的にした新型コロナワクチンをアメリカのスタンフォード大学と開発します。
山田英社長は、「臨床試験(治験)中の中間解析結果を確認し、メッセンジャーRNA(mRNA)ワクチンの有効性を上回ることは厳しいと判断した」と話しています。
アンジェスは2020年3月、コロナワクチンの開発を始めると表明。ウイルスの遺伝情報をDNAを使って体内に送り込む「DNAワクチン」を開発していました。2020年6月に第1段階の治験を始めたものの、期待通りの効果を得るのが難しいと判断しました。薬剤濃度を上げた追加治験を始め、第2段階の治験を進めていました。
2020年4月に吉村洋文・大阪府知事が「(2020年)9月にも実用化したい」と発言したことで注目を集めました。開発中止で、大阪大学やタカラバイオなどとの共同研究も終えます。
アンジェスは研究開発や生産体制整備のため、日本医療研究開発機構(AMED)や厚生労働省から計74億5000万円の補助金を受け取っていますが、返還の義務はないといいます。
スタンフォード大学と開発するオミクロン型を標的にしたワクチンは、鼻から投与するDNAワクチン。「室温で保存できる可能性があるほか、鼻粘膜を通して抗体を作り、鼻腔からの感染や感染拡大を防ぐことが期待できる」といいます。2年後の治験入りを目指します。
2022年9月8日(木)
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