2022/09/06

🇩🇪心臓病

■突然の胸の痛みは心臓病?■

心臓病は、日本人の死亡原因の第二位です。いつもの出勤途中の階段なのに、なぜか息が上がってしまったら、要注意です。

 私たち人間の心臓は、筋肉でできた袋のような臓器。一日に約10万回収縮し、全身に血液を循環させて、酸素や栄養を送り届けています。もちろん、心臓の拍動にも多くの酸素や栄養が必要ですが、心臓自身は心臓の中を通る血液からではなく、心臓の表面を取り巻く冠動脈から、血液を受け取っているのです。

この冠動脈が動脈硬化などによって狭くなったり、詰まったりすると、心臓が酸欠状態に陥ってしまいます。これが狭心症や心筋梗塞であり、突然死を招くことにもなる、いわゆる急性冠症候群です。 

人間は加齢に伴って、心臓病のリスクが高まります。急性冠症候群や不整脈など、近年、増加傾向にある心臓病をチェックしてみましょう。

●チェックすべき身体症状

 □いつも歩いている駅やバス停までの距離で、いつもと違って息が切れる。

 □階段の上り下りが、つらい。

 □胸骨(胸の中央、ネクタイの上半分あたり)の裏側が痛む。

 □肩凝りが、ひどい。

 □食後や飲食後に胸焼けや胃痛に似た痛み、異常な発汗がある。

 以上の、いつもと違う症状があったら、念のため内科医を受診しましょう。 

●心臓病が起こりやすい状況 

 □入浴時など、急に寒い所に出た時。

 □興奮したり、緊張した時。

 □病院、診療所で来院者が多い時期は12月と3月で、ストレスが関係すると見なされる。来院者が多い曜日は月曜と土曜で、多い時刻は午前 9時前後と午後9時前後。

●急性冠症候群

 ■労作性狭心症■

動脈硬化などで冠動脈が狭くなっている際に、一定の強さの運動や動作をすることで、心臓が酸欠状態になって、発症します。  

 ■安静狭心症■

  就寝中や早朝など、比較的安静にしている際に、発症します。心不全などを合併することも多く、労作性狭心症よりも重症です。 

 ●狭心症の症状●

  胸が苦しくなる。胸に圧迫感がある。

 胸の中央部、顎、肩、腕(特に左腕内側)などが痛む。 

 息切れや呼吸困難を伴うこともある。 

 発作は2~3分、長くても10分程度である。

 >>>>>>>初めての発作は見過ごしがちだが、一週間以内に心筋梗塞を起こす可能性もある。「治まったから」といって安心せずに、すぐ病院へ。          

 ■心筋梗塞■

  血栓や狭窄(きょうさく)などで、冠動脈が完全に詰まってしまい、心筋細胞が壊死(えし)してしまう。狭心症から移行するケースもあ れば、何の前触れもなく突然、起こる場合もある

  朝、活動して一息ついた際や、一日の活動を終えて、くつろいだ際などに起きやすい。朝方に、胸が苦しくて目が覚めた時も、要注意。

 ●心筋梗塞の症状●

 ◎「このまま死んでしまうのではないか」と思うほどの激痛がする。

 ◎胸全体、または中央が痛む。

 ◎激しい呼吸困難、冷や汗、吐き気がする。

 ◎発作は30分~数時間も続き、いったん治まっても、断続的に繰り返す。

 >>>>>>>一刻も早く病院へ。CCU(心臓疾患集中治療室)のある医療機関で、すぐ治療すれば助かる。 

●不整脈

 ■心室性期外収縮、心房性期外収縮■

  急に「ドキン」として、拍動が一回飛んだような打ち方をする。薬で治まり、それほどの心配はない。

 ■心房細動■

   心臓弁膜症などがあるとなりやすい。心不全や、心臓内に血栓ができて脳に飛び、脳塞栓を起こす危険がある。 

 ■心室細動、心室頻脈■

  命にかかわる危険な不整脈。拍動数が急上昇し、突然死を招くことも。特に心室細動という不整脈は危険で、心臓突然死の8割前後の原因 となっている。約3分以内に電気ショックを与えれば、4人に3人が救命できるとされているが、大半は間に合わず、年間の死者は約3万人 に上る。

 ●不整脈の症状●

  脈の速さや、リズムが乱れる。

 脈の乱れ方は、さまざまなパターンがある。

 めまいや息切れ、強い動悸がしたら、危険である。  

 >>>>>>>治療の必要はない安全なものがほとんどだが、中には危険な不整脈も。加齢による症状も多い一方、高血圧、腎不全、甲状腺の病気、貧血、無痛性の心筋梗塞などが見付かる場合もあるので、一度、病院で検査を。

■予防・対策へのアドバイス■

●発作が起きたら安静に

 発作が起きた時には、安静が原則です。直ちに動作を中止し、歩行中ならば立ち止まって休みます。

 横になると、下半身の血液が大量に心臓に戻ってきて、心臓に負担をかけます。立っている場合は、何かにつかまって前かがみの姿勢で休むようにします。寝ている場合は、上体を起こして座り、布団などにもたれるようにします。

 そして、なるべく早く病院へ行くことです。

●生活習慣病にならない注意を

 狭心症や不整脈などの心臓病は、男性は40代、女性は閉経後の50代から増加し始めますので、年一回は定期検診を受けましょう。心電図や心拍数の変動、連続心電図などで、潜在的な心臓病の有無を調べられます。

 高血圧、高脂血症、糖尿病などの生活習慣病が心臓病のリスクを高めるため、生活習慣病にかからないように留意し、もしかかってしまった場合には、そちらの治療をすることが先決となります。 

また、腹囲の大きい人も、要注意です。肥満は生活習慣病の危険因子であり、動脈硬化の原因にもなるからです。まず、身長(センチ)マイナス100(キロ)までの減量を心掛けて下さい。

●禁煙を必ず実行

たばこの煙を吸うと、血管が収縮して血圧が上昇、心拍数も増えて、心臓が急激に酸素を要求します。

喫煙者が狭心症や心筋梗塞で死亡する危険度は、非喫煙者の1・7~3倍ともいわれています。心臓に不安を抱えている人は、必ず禁煙の実行を。

他人にたばこの煙を吸う受動喫煙も、心臓病のリスクを高めてしまいます。

●動脈硬化を予防する食生活を

青魚に含まれるEPA(エイコサペンタエン酸)やDHA(ドコサヘキサエン酸)という成分は、血栓を溶かす作用があり、動脈硬化を予防します。タマネギに含まれる硫化アリルも、血液をサラサラにする作用があります。

血管の弾力性を保つ蛋白質、抗酸化作用のある緑黄色野菜と大豆製品も、必要不可欠です。

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