北海道中標津(なかしべつ)町の「やまだ動物病院」の獣医師山田恭嗣さん(56)と国立感染症研究所が、新型コロナウイルスに感染し、発症した飼いネコの症例を論文にまとめ、今年4月に日本獣医師会雑誌で報告しました。新型コロナウイルスに感染した動物の発症の報告は国内初といいます。
山田獣医師は飼い主からネコに感染した可能性があるとし、「動物に接する際も感染防止を」と呼び掛けています。
ネコは、根室管内の住民が室内で飼育する12歳の雌。2021年8月、飼い主を含め同居する家族5人が新型コロナに感染して発症し、その10日後にネコにくしゃみや鼻水などの症状が出ました。飼い主はネコの発症の3日後、動物病院に電話し、自身の新型コロナ感染についても伝えました。
山田獣医師はネコにも感染した可能性があると考え、飼い主に採材キットを送付。ネコの口内などから採取した粘液を国立感染症研究所で遺伝子や中和抗体を分析したところ、ネコが飼い主らと同じデルタ型ウイルスに感染していたことがわかりました。
ネコは発症8日後に食欲減退など症状が悪化。山田獣医師が抗菌剤や抗ウイルス剤などを投与すると翌日に症状が緩和しました。風邪と症状が似ているため、山田獣医師は「症状だけで新型コロナと診断するのは難しく、飼い主の感染などの申し出が不可欠。情報がなく見過ごされた例もあるのではないか」とみています。
2022年11月14日(月)
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