福岡県筑紫野市の老舗旅館「二日市温泉 大丸別荘」が、週1回以上必要な浴場の湯の取り換えを年2回しか行わず、調査で基準値の最大3700倍のレジオネラ属菌が検出されていたことが24日、明らかになりました。旅館は湯の交換頻度を虚偽申告していた疑いがあり、福岡県は公衆浴場法に基づく罰則の適用も視野に入れて調べています。
ホームページによると、旅館は江戸時代の慶応元(1865)年創業。二日市温泉の中でも老舗の旅館として知られ、昭和天皇が宿泊されたこともあるとしています。
福岡県によると、昨年8月の筑紫保健福祉環境事務所の検査で、大浴場で基準値の約2倍に相当するレジオネラ属菌が検出されました。この際、旅館側は湯の交換頻度や消毒用塩素注入は適正だと説明。さらにこの後10月の自主検査でも菌は基準値以下だったと県に届け出ました。
しかし、11月の福岡県の再検査で基準値の最大3700倍の菌を検出。旅館側は今年1月下旬、交換は年2回の休館日のみで、塩素注入も怠っていたと福岡県に改めて報告。違反状態は4年ほど前から続けていたといいます。福岡県は昨年末、旅館に改善指導をしました。
レジオネラ属菌は、河川や湖水などの自然界に生息する細菌で、感染すると「レジオネラ症」を引き起こすことがあります。同症を巡っては、国内では入浴施設などを発生源とした感染例が多数報告されており、過去には死亡した人もいます。
厚生労働省によると、レジオネラ症の潜伏期間は、2~10日。同症の主な病型として重症の肺炎を引き起こす「レジオネラ肺炎」と、一過性で自然に改善する「ポンティアック熱」が知られています。
レジオネラ肺炎は、全身の倦怠(けんたい)感や頭痛などに始まり、咳や38度以上の高熱といった症状もみられるようになります。抗菌薬で治療が可能ですが、早期診断と早期治療が重要なのはいうまでもありません。
また、大酒家、喫煙者、透析患者、移植患者や免疫機能が低下している人は、レジオネラ肺炎のリスクが高いとの報告もあります。
2023年2月24日(金)
0 件のコメント:
コメントを投稿