大阪市に本社を置く「田辺三菱製薬」は3日、開発を進めていた新型コロナウイルスのワクチンの事業から撤退すると発表しました。
ほかの製薬会社が開発したワクチンがすでに普及していることや、量産化に向けた課題があり、撤退を決めたとしています。
田辺三菱製薬では、カナダにある子会社の「メディカゴ」が、イギリスの製薬会社と共同で開発した新型コロナウイルスのワクチンが2022年2月に現地で承認され、日本国内でも臨床試験を進めていました。
しかし、他社が開発したコロナワクチンの普及や、世界的な需要の減少に加えて、商用化に向けた大量生産体制の構築に課題があるとして、ワクチンの開発から撤退しメディカゴのすべての事業を清算すると、3日発表しました。
開発を進めていたワクチンは、生育が早いタバコ属の植物にウイルスの遺伝子を組み込み、葉の細胞から粒子を抽出する手法で作られており、2度から8度の温度で保存できるため、運びやすいメリットがあるとされていました。
メディカゴは現在、田辺三菱製薬の100%子会社ですが、カナダで承認を受けた時点ではアメリカのたばこ大手フィリップ・モリス・インターナショナルが出資していたため、たばこ産業に厳しい対応を取る世界保健機関(WHO)が緊急使用承認を認めない方針を示したという経緯もありました。
国内の製薬会社が開発を進める新型コロナのワクチンを巡っては、塩野義製薬と第一三共がそれぞれ国に承認を求める申請を行っていて、対応が分かれる形となりました。
2023年2月4日(土)
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