九州7県の病院への納入用として、独立行政法人・国立病院機構(東京都目黒区)が発注した医薬品の入札で談合したとして、公正取引委員会は24日、医薬品卸大手のアルフレッサ(東京都千代田区)やアステム(大分市)など5社に対し、独占禁止法違反(不当な取引制限)で再発防止を求める排除措置命令と総額約6億2700万円の課徴金納付命令を出しました。今回、課徴金額の算定に当たって公取委の調査への協力度合いで減免する制度が初めて適用されました。
命令を受けたのはほかに、スズケングループの翔薬(福岡市)、東邦薬品グループの九州東邦(福岡市)、富田薬品(熊本市)。5社は、メディパルグループのアトル(福岡市)とともに、遅くとも2016年6月以降、会合を開くなどして入札前に受注予定業者を決めていたと違反認定されました。この計6社で発注分全体の約9割を落札していたといいます。
こうした受注調整は、独立行政法人・地域医療機能推進機構(東京都港区)発注の医薬品を巡る談合事件で、アルフレッサなど東京都の業者が主に立ち入り検査を受けた2019年11月まで続いたとみられます。
今回、違反認定された6社のうちアトルは公取委の調査開始前、最初に談合を公取委に自主申告したとして、課徴金減免制度(リーニエンシー)に基づき、課徴金納付命令と排除措置命令を免れました。
また、5社への課徴金額は2番目以降の自主申告の順番や調査への協力度合いから50~25%減免され、額が大きい順にアステムが1億9119万円、翔薬が1億3328万円、九州東邦が1億2759万円、富田薬品が1億2445万円、アルフレッサが5077万円となりました。
課徴金の減免に公取委の調査への協力度合いが反映される仕組みは2020年12月に導入され、今回、アルフレッサ、アステム、富田薬品の3社に初適用されました。
公取委の担当者は、「今回は、東京以外に地方でも違反が確認され、医薬品流通において卸売業者による談合行為が根深く浸透していたことが明らかになった」と指摘しています。
2023年3月24日(金)
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