2023/04/25

🟩潰瘍性大腸炎の患者に腸内細菌を移植 順大など先進医療で国内初実施

 健康な人の腸内細菌を、難病の「潰瘍性大腸炎」の患者に移植して症状の改善を目指す治療法「腸内細菌叢(そう)移植療法(FMT療法)」について、順天堂大学などは19日、公的な保険が適用される治療と併用できる「先進医療」として初めてとなる移植を行ったと発表しました。今後、保険が適用される治療法としての承認を目指すとしています。

 安倍晋三元首相を辞任に追い込んだ疾患でもある潰瘍性大腸炎は、大腸の粘膜に炎症が起き、激しい腹痛や下痢などを繰り返す国指定の難病で、患者は国内に22万人以上いると推計されています。薬による治療効果は以前より大幅に向上したものの、その副作用や長期的な回復が課題となっています。

 順天堂大学などのグループは、潰瘍性大腸炎の患者に対する健康な人の便から採った腸内細菌の移植を、保険が適用される治療と併用できる先進医療として17日に初めて行ったと発表しました。

 今回は、血便や下痢などの症状がある30歳代の男性患者に、健康な人の腸内細菌を移植したということで、グループは今後1年間で患者47人に対して腸内細菌の移植を行って安全性や有効性を確認し、保険が適用される治療法としての承認を目指すとしています。

 腸内細菌は体の免疫機能を調節するなど、さまざまな病気にかかわっていると考えられるようになっており、移植によって治療を目指す研究は世界的に進んできているということで、順天堂大学の石川大准教授は「移植した腸内細菌叢が患者の体内で適合するならば、高い効果が期待できると考えている」と話しています。

 2023年4月25日(火)

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