熱中症シーズンが本格的に到来し、総務省消防庁によれば、今年5月の熱中症での救急搬送人数は前年同月を上回りました。新型コロナウイルス感染症の感染症法上の位置付けが変わり、人流や活動がコロナ禍前へと戻りつつあるのも一因です。湿度も高まる6月は熱中症リスクも高くなるとして、専門家も注意を呼び掛けています。
今年5月の全国の救急搬送人数(速報値)は3647人と、前年同月比1・37倍。消防庁が5~9月の調査を始めた2008年以降で年間歴代3位だった昨年を上回るペースです。
今年5月の天候は平年より気温が高めで、中旬には岐阜県で今年初の猛暑日(35度以上)、東京都も連日の真夏日(30度以上)を観測、下旬には北海道でも真夏日となりました。
熱中症に詳しい済生会横浜市東部病院の谷口英喜・患者支援センター長は、「季節外れの高温に身体も衣食住の環境も対策ができていなかった中で、観光やスポーツ、学校行事など、コロナ禍から解放されて活動量自体が増えたことも要因」と話しています。
一方、コロナ禍前の2019年5月(4448人)比では18%減。この年は5月の最高気温歴代1位の39・5度を観測するなど高温続きで、月間の「多照・高温・少雨」記録を更新した天候で熱中症が続出。2019年は5~9月でも歴代2位と異例ずくめの年でした。
一般的に6月は入梅で雨や曇りの日が多くなり、今年6月も平年と比べて高温が予想されています。谷口医師が「熱中症の起こりやすさは夏場が第1のピークで、梅雨時期の6月こそ第2のピーク」というように、暑さで体温が上昇すると体温を下げようとして汗をかくものの、湿度が高いと汗が乾きにくくなります。同温のドライサウナとスチームサウナではスチームサウナのほうが体にきついのと同じで、同温なら多湿のほうが発症率も高くなります。
熱中症対策として谷口医師は、自宅でエアコン空調が使えるなら除湿機能を活用して「湿度は50%以下」、「室温は27、28度程度」を勧めます。暑さに慣れるため汗をかく練習も重要で、「朝や夕方など気温が低い時のウォーキングやお風呂など、汗ばむ程度でいい」と話します。汗をかいたら「ハンカチやタオルで拭いて。そのほうが次の汗が出て体温は下がる」といいます。適切な水分補給に加え、体温調節機能をつかさどる自律神経のバランス維持のため、今日の疲れを明日に持ち越さない睡眠、食生活を推奨しています。
2023年6月8日(木)
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